◆「11カ月ぶり代表戦の見どころ」>>

 オランダで行なわれる日本代表のカメルーン戦(10月9日)とコートジボワール戦(13日)。招集された25人は全員、欧州でプレーする選手だった。

ただし、欧州のクラブに所属していれば、実力が担保されているという時代ではない。所属するリーグやクラブの力と、そこでどれだけ活躍できているかが問われるだろう。

 コロナ禍により今季は各国リーグのスケジュールも異なっており、25人の現状はどうなのか。代表招集を辞退した岡崎慎司長友佑都も含めて、サッカーライターの中山淳氏、浅田真樹氏、杉山茂樹氏が1~5の5段階で評価した(カッコ内の数字は3人の平均)。

日本代表全員の現状を5段階評価。クラブの大黒柱から出場0まで...の画像はこちら >>

今季ここまで5戦連続で途中出場の久保建英(ビジャレアル)。代表でのポジションも注目される

 最高評価はこの人だった。

【5】

岡崎慎司(ウエスカ/スペイン) 
出場5(先発5)。第5節の試合中に負傷、代表招集を辞退した。昨シーズンは12ゴールをマークして1部昇格に貢献。念願のラ・リーガ初挑戦となった。今シーズンも開幕から1トップに君臨する。
■評価:中山5/浅田5/杉山5
「スペイン1部でプレーする姿は感動を誘う。

ただし、そもそも今回、選ぶ必要があったかどうかは疑問」(杉山)

【4.7】

酒井宏樹(マルセイユ/フランス) 
出場6(先発6)。今季も右SBで開幕から6試合連続でスタメン出場。パリSG戦ではネイマール封じに成功するなど、守備面で勝利に貢献した。
■評価:中山5/浅田5/杉山4
「リーグ、クラブのレベルを考えると現代表では最高の評価」(浅田)

冨安健洋(ボローニャ/イタリア) 
出場3(先発3)。右SBでプレーした昨シーズンから一転、今シーズンは本職の左CBとしてレギュラーに定着。開幕から3試合連続フル出場を続け、パフォーマンスも上々。

好調をキープしている。
■評価:中山5/浅田5/杉山4
「現代表のDFでは最も市場価値が高い選手だろう。順調にステップアップ」(浅田)

鎌田大地(フランクフルト/ドイツ) 
出場3(先発3)。昨シーズンはリーグ戦再開後にブンデス初ゴールを記録。今シーズンも開幕から3戦連続スタメン出場を飾り、第2節では2アシスト、第3節で初ゴールを記録した。
■評価:中山5/浅田5/杉山4
「トップ下に定着して順調にゴールを重ねており、好調を維持」(中山)

【4.3】

板倉滉(フローニンゲン/オランダ) 
出場4(先発4)。

不動のCBとしてシーズンを通して活躍した昨シーズンの勢いをそのままに、今シーズンも開幕から4戦連続フル出場。チームも直近のアヤックス戦に勝利するなど充実した状態にある。
■評価:中山5/浅田4/杉山4
「試合を重ねるごとに自信をつけている様子」(中山)

遠藤航(シュツットガルト/ドイツ) 
出場3(先発3)。昨シーズンは11月からレギュラーに定着してチームの主軸となり、今シーズンも開幕から3戦連続でフル出場。第2節マインツ戦では勝利の原動力となった。
■評価:中山5/浅田4/杉山4
「歩みはゆっくりだが、確実にステップアップしている」(浅田)

伊東純也(ゲンク/ベルギー) 
出場8(先発8)。

完全移籍を果たした今シーズンも開幕から8戦連続フル出場。第6節では1ゴール1アシストを記録して勝利に貢献し、不動の右ウイングに定着した。
■評価:中山5/浅田4/杉山4
「チームの中心となっており代表でもスタメンを狙える状態にある」(中山)

【4】

室屋成(ハノーファー/ドイツ) 
出場2(先発2)。海外初挑戦にもかかわらず、さっそく新天地で右SBの定位置を確保。開幕戦はスタメンフル出場、第2節もスタメンで73分までプレー。第3戦節は控えだった。


■評価:中山5/浅田3/杉山4
「実力を上げている。ブンデス2部ではもったいない?」(杉山)

植田直通(セルクル・ブルージュ/ベルギー) 
出場6(先発6)。昨シーズンの終盤に失った信頼を回復し、今シーズンは開幕からCBに定着。8試合中6試合でフル出場を果たしている。チームも好スタートを切っており、万全の状態にある。
■評価:中山5/浅田3/杉山4
「チームの主力として活躍している。大器晩成型か」(杉山)

南野拓実(リバプール/イングランド) 
出場3(先発0)。リーグ戦では出場時間が限られているものの、今シーズンは開幕前からユルゲン・クロップ監督の期待に応えてカップ戦で結果を残している。リーグ戦でも直近の第4節では後半開始から登場し、中盤でプレーした。
■評価:中山5/浅田4/杉山3
「パフォーマンスはハイレベルで状態はキレキレ」(中山)

久保建英(ビジャレアル/スペイン) 
出場5(先発0)。上位チームに活躍の場を移したことでベンチスタートが定番化しているが、短い出場時間の中でも及第点のパフォーマンスは披露している。
■評価:中山4/浅田4/杉山4
「昨季終盤の活躍は出色。さすがにビジャレアルでは苦労しているが、いい形で成長している」(浅田)

◆「スペインの慧眼がリーガの日本人に与えた評価」>>

鈴木武蔵(ベールスホットVA/ベルギー)
出場5(先発2)。第4節の77分にデビューを飾り、第5節も途中出場で1アシストを記録。第6節で初スタメン初ゴールを記録。続く第7節は途中出場で2試合連続ゴールを決め、直近の試合もフル出場。調子を上げて代表に合流する。
■評価:中山5/浅田3/杉山4
「底が割れていないアタッカー。欧州に渡りただちに出場機会を得た」(杉山)

【3.7】

原口元気(ハノーファー/ドイツ) 
出場3(先発3)。過去2シーズンと同様、今シーズンも主軸としてプレー。開幕戦では1アシストを記録して勝利に貢献し、敗れた第2節もフル出場を果たしている。第3節は1ゴール1アシストと大活躍を見せた。
■評価:中山5/浅田3/杉山3
「安定したパフォーマンスを発揮し、十分な活躍。ただし2部リーグのぶん、評価は割り引かれる」(浅田)

【3.3】

菅原由勢(AZ/オランダ) 
出場1(先発0) 加入初年度の昨シーズンは主に右SBでプレーしたが、スタメンを奪えず途中出場が続いた。今シーズンも第3節で68分から出場したのみ。代表へは初招集。
■評価:中山2/浅田4/杉山4
「CL本大会への出場逃したが、ハイレベルでプレーするところは評価」(杉山)

堂安律(ビーレフェルト/ドイツ) 
出場3(先発3)。PSVから心機一転、ブンデスリーガに新天地を求めたことが吉と出た。開幕から3戦連続でスタメン出場を果たしている。
■評価:中山5/浅田3/杉山2
「果敢な仕掛けが復活するなど調子は上向き。現地でも評価を上げている」(中山)

【3】

川島永嗣(ストラスブール/フランス) 
出場2(先発2)。開幕から2試合連続で先発出場したが、チームが連敗したことでその後は控えに。出場試合では何度か好セーブを見せている。
■評価:中山3/浅田3/杉山3
「プレーを見ると実戦感覚的な問題はまったくなさそう」(中山)

安西幸輝(ポルティモネンセ/ポルトガル) 
出場2(先発1)。昨シーズンは加入して即スタメンを奪い、右SBとウイングバックでプレー。ただ、後半戦に出場機会を失った。今シーズンは第2節に後半開始から出場、第3節に初先発フル出場を果たした。
■評価:中山3/浅田3/杉山3
「高い技術を生かしたマルチロールとして活躍するが、ステップアップの波に乗り切れない」(浅田)

中山雄太(ズヴォレ/オランダ) 
出場2(先発1)。DFとボランチでプレーした昨シーズンは、レギュラーを奪取するには至らず。今シーズンは第2節の途中に出場し、第3節はボランチで先発して1ゴールを記録している。
■評価:中山4/浅田2/杉山3
「出場機会や活躍度で物足りなさもあるが、経験を積んで成長につなげたい」(浅田)

三好康児(アントワープ/ベルギー) 
出場4(先発1)。昨シーズンは主に途中出場で14試合に出場。今シーズンも状況は変わらず途中出場が続いていたが、10月2日のメヘレン戦で初先発。1ゴールを含めた活躍を見せた。
■評価:中山4/浅田2/杉山3
「左利きのアタッカーで、久保、堂安とキャラが被るが......」(杉山)

【2.7】

長友佑都(マルセイユ/フランス) 
出場2(先発2)。コンディション不良を理由に代表招集を辞退。今夏にガラタサライからマルセイユに移籍。9月20日のリール戦で先発出場し、約9カ月ぶりに実戦復帰。続くメス戦でも先発した。
■評価:中山3/浅田2/杉山3
「CL出場チームに3回目の移籍。ステイタスは維持している」(杉山)

吉田麻也(サンプドリア/イタリア) 
出場2(先発1)。レンタルから完全移籍となった新シーズンの開幕戦は後半開始からの途中出場で、第2節はベンチ入りも出場なし。第3節にはスタメンを飾って勝利に貢献した。
■評価:中山4/浅田2/杉山2
「経験値は随一だが、出場機会は明らかに下降線。サンプドリアとの契約を勝ち取ったのは○」(浅田)

柴崎岳(レガネス/スペイン) 
出場4(先発2)。新天地を求めた今シーズンは開幕戦で後半開始から出場すると、第2節で初スタメン初アシスト。34分に負傷交代を強いられたが、第3節は62分から途中出場。第4節でスタメン復帰した。
■評価:中山4/浅田2/杉山2
「昨季、所属のデポルティーボ・ラ・コルーニャの3部降格の事実は重い」(杉山)

【2.2】

大迫勇也(ブレーメン/ドイツ)
出場2(先発1)。今シーズンは開幕戦でスタメン出場を果たすが、調子が悪く前半で交代。後半から出場した第2節も見せ場は少なかった。第3節の出場はなかった。
■評価:中山2/浅田3/杉山2
「トップフォームにはほど遠く、代表戦をきっかけに復調したい」(中山)

【1.7】

権田修一(ポルティモネンセ/ポルトガル) 
出場0。昨シーズンは終盤戦に正GKの座を奪って14試合に出場。途中就任したパウロ・セルジオ新監督の信頼を勝ち取ったが、今季は開幕2試合ともベンチ外、3戦目にベンチ入りした。
■評価:中山2/浅田1/杉山2
「出場機会はかなり限定的。日本代表での立場に釣り合った活躍はできていない」(浅田)

シュミット・ダニエル(シント・トロイデン) 
出場0。正GKの負傷により、昨シーズンの前半戦は先発に定着。しかし冬に負傷を負った影響で開幕に間に合わず、8月29日のオイペン戦から復帰。まだ出場はないが、ベンチ入りしている。
■評価:中山2/浅田1/杉山2
「所属するリーグ、クラブのレベルを考えれば現状は厳しい」(浅田)