北海道から群馬にやってきて普通の大学生活を送ろうと大学近くの部屋を借りた。かと言って特にすることもなく、近くの河川敷を歩くことにした。そこで大友の目に飛び込んできたのは、楽しそうに野球をする青年たちの姿だった。それが高崎経済大硬式野球部の練習だと知ると、その輪に加わるまで時間は要さなかった。
「高校では野球を楽しめず、試合に出るのが怖かったですし、グラウンドに行くのも心臓がバクバクするほどでした。だから大学で楽しんで野球を終えようと思いました」
最初は「楽しもう」と再開した野球だったが、谷口弘典監督は「基礎体力や身体能力が高かったので」と早くから大友を起用した。すると、大友の心境も大きく変化した。
「試合に出ると両親も喜ぶし、監督も信頼して使ってくれている。高校時代の経験で試合に出られない人の気持ちも知っていたので、試合に出るからには中途半端にはできないと取り組み方が変わりました」
チームの全体練習だけでなく、ひとり暮らしの部屋でもYouTubeを見てトレーニング法を調べるなどして地道に取り組んでいくと、どんどんと体つきが変わっていった。
また、高崎経済大OBで卒業後はアメリカ独立リーグでプレー、ロッテやBCリーグ群馬でもブルペン捕手やマネージャーを務めた谷口監督の指導方針もハマった。
谷口監督はあいさつや全力疾走を怠った時は厳しかったが、ミスに関しては「ミスして当たり前。10失敗して1成功して1、2年後に勝っていればいいんです」と積極的な失敗ならば怒ることはなかった。