「もう無理かも」の弱気から甲子園出場へ。公立校・柴田が取り組んだ意識改革

「もう無理かも」の弱気から甲子園出場へ。公立校・柴田が取り組んだ意識改革
       

宮城の公立校・柴田が創部35年目にして、春夏通じて初の甲子園出場をつかんだ。93回を迎えるセンバツ大会の歴史で、宮城の公立校が一般枠で選出されたのは1967年の仙台商以来となる。仙台育英、東北の「東北2強」に阻まれてきた壁を打ち破った柴田。これまでの取り組みと平塚誠監督の軌跡、震災10年への思いに迫った。

「やったぜ!! 本当に夢が叶ったんだな」

 誰も見ていなかったら、その場でガッツボーズをして叫んだかもしれない。

 2021年1月29日、午後3時40分すぎ。春夏通じて初の甲子園出場が決まった。平塚監督は飛び上がりたいほどの興奮をグッと胸の中にしまい込んだが、「吉報」を待つ選手たちの顔を見た時は思わず涙がこぼれそうになった。「本当に選んでもらえるのか?」。不安な日々を過ごしながら、夢を信じて練習に取り組んできた33人だ。

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センバツ出場の吉報は1月29日に届いた photo by AFLO

 まず、土生善弘校長が選手たちに向かって言った。

「『夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし。故に、夢なき者に成功なし』。ただ今、センバツ出場の連絡を受けました」
 
 そして、三塁手の横山隼翔(2年)に視線を移しこう続けた。

「横山隼翔(はやと)。兄・航汰の分まで、甲子園の土に足跡を残してきなさい」

 横山は姿勢を正し、真っすぐな目で「ハイッ!」と返事をした。横山の兄・航汰は1学年上の遊撃手で主将。新型コロナウイルス感染症拡大による夏の選手権大会中止を経験した世代の一人だ。このセンバツ出場には甲子園出場の夢を絶たれた3年生の思いも込められている。グラウンドは小雪が降る寒さだったが、一足先に訪れた「春」を全員がかみしめた。吉田松陰の名言の引用といい、ちょっと感動的なシーンだった。平塚監督は語る。

「校長先生は競泳の元選手。2年前に赴任され、部活動を頑張る生徒をいつも応援してくれていました。今回のセンバツ出場で野球部だけじゃなく、学校全体としての夢、目標を1つ達成できた。柴田町にとっても明るい話題が届けられました」


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