2021年クラシック候補たち
第13回:タイトルホルダー

 3月7日に行なわれたGII弥生賞(中山・芝2000m)は、昨年末のGIホープフルS(12月26日/中山・芝2000m)を無傷の3連勝で制した2歳王者、ダノンザキッドのレースぶりに注目が集まっていた。しかし、同馬は直線で伸び切れず、3着に終わった。

 代わって頂点に立ったのは、好スタートから見事な逃げ切りを決めたタイトルホルダー(牡3歳/父ドゥラメンテ)。クラシック最有力候補を下して、GI皐月賞(4月18日/中山・芝2000m)へ向けて弾みをつけた。

2歳王者を下したタイトルホルダー。激戦クラシックのカギ握る重...の画像はこちら >>

前哨戦の弥生賞を快勝したタイトルホルダー

 美浦トレセンの栗田徹厩舎に所属するタイトルホルダーは、昨秋にデビュー。初陣となる2歳新馬(10月4日/中山・芝1800m)でも鮮やかな逃げ切り勝ちを収めた。

 そして、2戦目には素質馬が集うGIII東京スポーツ杯2歳S(11月23日/東京・芝1800m)に参戦。ここで、ダノンザキッドと初めて対戦する。

 道中、タイトルホルダーは離れた2番手を追走。直線を迎えて、馬場の中央から抜け出しを図るが、外から仕掛けてきたダノンザキッドとの叩き合いに屈して2着に敗れた。

 続いて挑んだのは、ホープフルS。好スタートから3番手の好位につけて、リズムよくレースを進めていた。だが、直線入口で再びダノンザキッドに外から競りかけられて厳しい展開に。結局、ダノンザキッドに振り切られると、他馬の強襲にも屈して4着に沈んだ。

 その宿敵ダノンザキッドに一矢報いたのが、弥生賞。デビュー戦以来、久々に逃げの手に出ると、スローペースに持ち込んで悠々と快走し、直線に入った瞬間には後続をスッと突き放した。そのまま最内で粘って、ライバルたちの追撃を封鎖。3着に沈んだダノンザキッドを含め、2着以下に1馬身4分の1差をつける完勝劇を披露した。

 この結果、一躍脚光を浴びる存在となったタイトルホルダー。陣営の手応えも増しているようだ。

その様子を関東競馬専門紙のトラックマンが伝える。

「タイトルホルダーの姉メロディーレーンは馬体重が350kg以下。かなり小柄な競走馬として有名です。でも弟は、『まったく違うタイプで、体はしっかりしているし、力強さがある』と栗田調教師。同師が調教師になる前、母のメーヴェを担当していたこともあって、思い入れの強い一頭のようです」

 勝ったレースは、いずれも逃げてつかんだもの。その背景には、この馬の気性面も関係しているという。

トラックマンが続ける。

「栗田調教師によると、『もともと他馬を気にするところがある』とのこと。その分、先頭で引っ張る形が合っているのかもしれません。また、2番手に控えた東スポ杯2歳Sでは『少し行きたがっていた』というので、気性面の課題は若干あるようです。

 ともあれ、馬具の工夫などで『徐々にコントロールの課題は解消されてきた』と栗田調教師。本番へ向けて、レースの幅は広がりを見せており、陣営の期待も膨らんでいるのではないでしょうか」

 前哨戦で大本命を蹴散らしたタイトルホルダー。

本番の皐月賞ではどんな競馬を見せるのか。激戦のタイトル争いにおいて、カギを握る1頭であることは間違いない。