3歳牡馬クラシック第1弾のGI皐月賞(中山・芝2000m)が4月18日に行なわれる。
昨年は、1番人気コントレイルがここから無敗の三冠ロードを歩んでいったが、今年は一転、混戦ムードとなっている。
「2歳王者のダノンザキッド(牡3歳)が前走のGII弥生賞(3月7日/中山・芝2000m)で初黒星を喫したことで、一気に"戦国・皐月賞"といった様相を呈してきました。
また、先週の桜花賞もそうでしたが、戦前は2歳GIからの"直行組"と、その後の新興勢力との力関係が判断しづらい状況にありました。その分、例年に比べて"激戦"と言われました。それは、皐月賞でも同じです」
ここ最近の3歳クラシック初戦においては、出走馬のローテーションが多様化しており、牝馬、牡馬ともに各馬の実力比較が難しい状況にある。それが、混戦模様に一段と拍車をかける一因にもなっている。
「先週の日曜日も中山の芝のレースは、内ラチから何頭分も空けて直線を走る馬が多く見られ、馬場がだいぶ荒れてきているのは間違いないですからね。力を要する馬場に向く馬に、伏兵の資格があると思います」
皐月賞での大駆けが期待されるアサマノイタズラ
そこで、坂本記者が伏兵の一番手として推すのは、前走のGIIスプリングS(3月21日/中山・芝1800m)で僅差の2着と奮闘したアサマノイタズラ(牡3歳)だ。
「デビューが昨年12月と遅かったこともあって、3歳馬5大特別登録をしていなかったため、皐月賞には追加登録料200万円を払っての出走。軽視は禁物です。
スプリングSでは重馬場のなか、道中6番手から4角2番手と積極的な競馬を披露。
同馬を管理する手塚貴久調教師も『馬が自信を持って、ここに来て雰囲気が出てきた。スプリングSの時も、パドックなんかで馬が気持ちで負けていなかった』と評価しています。鞍上がGI初騎乗の嶋田純次騎手ということもあって、前評判は低いですが、甘く見ていると痛い目に合いますよ」
坂本記者はもう1頭、GIホープフルS(12月26日/中山・芝2000m)の3着馬ヨーホーレイク(牡3歳)を穴馬候補に推奨する。
「デビュー2連勝を飾って、ホープフルSでも3着に好走。
前走のGIIIきさらぎ賞(2月7日/中京・芝2000m)でも2着に敗れはしたものの、荒れ馬場の大外から力強く伸びてきたのは力がある証拠。今の中山の馬場もうまくこなせると思いますから、人気以上の走りを見せても不思議ではありません」
一方、デイリースポーツの大西修平記者も、荒れ馬場の適性を考慮。前走のGIII共同通信杯(2月14日/東京・芝1800m)で5着に敗れたステラヴェローチェ(牡3歳)の巻き返しに期待を寄せる。
「週末の天気は下り坂の予報。ステラヴェローチェは良馬場でも高いパフォーマンスを見せてきましたが、3走前のGIIIサウジアラビアロイヤルC(10月10日/東京・芝1600m)は不良馬場で完勝。
前走の共同通信杯は、他馬より重い斤量57kgを背負ってのレース。勝負どころでスムーズさを欠くようなところもあったので、2着からコンマ1秒差の5着という結果なら、むしろ評価に値します。
中間の攻め過程も申し分なく、追い切りの動きや普段の様子などからは落ち着きが感じられ、精神的な成長が見受けられます。初の2000m戦という点においても、同馬を管理する須貝尚介調教師は『距離はまったく問題ない』と話しており、心配する必要はなさそうです。
今回、初めてコンビを組む吉田隼人騎手もすでに追い切りに乗って、好感触をつかんでいます。吉田隼人騎手と須貝厩舎と言えば、桜花賞を制したソダシと同じ。普段から密にコンタクトを取れている関係ですから、同馬についても持ち味をきっちり引き出してくれるでしょう。前走で初めて馬券圏内(3着以内)を外したことで人気を落すようなら、積極的に狙ってみたいです」
大西記者ももう1頭、気になる馬がいるという。
「2戦2勝でGIII京成杯(1月17日/中山・芝2000m)を制したグラティアス(牡3歳)です。良馬場で強調するような勝ち時計(2分3秒1)ではなかったことから、人気の盲点になっている印象がありますが、前半1000mが63秒7という超がつくスローペースだったことを思えば、このタイムも仕方がないところ。
前走で馬体重10kg増とまだまだ成長段階。レース後、放牧を挟んだことで、さらにパワーアップした印象です。レシステンシアの半弟と、血統的に秘めたスピードも魅力。加えて、その姉が重馬場の桜花賞や高松宮記念で2着に食い込んでいるように、グラティアスも道悪を苦にしない力強さを持っています。週末の天気が崩れそうなのも、プラスに働くでしょう。
父がハーツクライに変わったことで、スタミナも十分。デビュー2戦の内容が示すように、距離もまったく問題ありません。逃げても、控えても競馬ができるのが強み。3連勝でのGI制覇も十分にあると見ています」
「激戦」と言われた桜花賞は結局、人気馬2頭がワンツーを決めた。はたして皐月賞はどんな結末が待っているのか。波乱となれば、ここに挙げた4頭がその一旦を担う可能性は大いにある。