新型コロナウイルス蔓延による長引く自粛、4月からの期待と不安が混じる新生活...。悩みが尽きない日々は続く。
引退試合入場時の中西学。今回はお悩み相談のリングに上がる。
相談(1)コロナの影響でやりたいことがやれずに日々モヤモヤしています。モヤモヤ解消法を教えてください。
密にならんように、今できることをするしかないからなあ。例えば料理の研究をするとかええと思う! 高い食材やと大変やから、卵の料理を極めるとかええんちゃう? 卵は手軽なのでね! 半熟卵の味付けを色々増やすとか。
あとは、黒烏龍茶!自粛していると、どうしても太りやすくなるのもモヤモヤの原因やな。だから黒烏龍茶を煎じて僕も飲んでますよ。ただね、失敗談もあって...(笑)。
黒烏龍茶があれば、どれだけ食うてもいいやろって、SNSでの話題性も狙って、デカ盛りを食いまくってたんですよ。そしたら、今は現役時代よりも運動量が少ないっていうのもあって、痛風になってしもうて...。
相談(2)活躍する同年代を見て焦っています。どうしたらいいでしょうか?
人それぞれにいいところもあかんところもあるからな。当時はそんなふうに思えんかったけど(笑)。僕なんかもメンタル強そうに見えるかもしれんへんけど、「あー」って気になってしまうこともあるんですよ。
でもチャンスが来たら「ガッ」と一気に行かなあかんと思うので、自分のチャンスは必ず来ると思って様子を伺いながら、自分が得意なこととかできることを納得いくまで続けていくことやな。
あとはその同年代のやつを気にして嫌になるなら、そいつのことを考えないことやな。嫌いなやつのこと考えてる時間があったら、好きな子のこと考えてたほうがええやん。嫌い嫌いって気にしてたら、好きになるパターンもあるけどな(笑)。
相談(3)人生の目標が定まらずになんとなくダラダラとした日々を繰り返しています。自分を奮い立たせる方法はあるでしょうか
あんま考え込むとよくないんで、体動かしてすっきりすれば答えが出ることもある思うで!
そもそも毎日同じことを繰り返すのも大事やし、それができるのもすごいで! 小さいことをコツコツというか、新幹線乗った時の水場を使う前よりもきれいにするとか。毎日家の近くを掃除してくれているお爺さんとかも立派やわーと思う。
選手時代はロッカールームを来た時よりもきれいにしろって言われてて、その心構えで使ってたわ。もちろん清掃員の方がきちんと掃除してくれるんやろうけど、使う人たちが小さな心遣いできれいに使うから次の世代もきれいに使えると思う。...で、何の質問でしたっけ...?(汗)
相談(4)たまには背伸びしたお洒落なお店に食事に行きたいんですが、尻込みしてしまいます...。
たしかに高そうなお店で「ここ常連やで」って言いたい気持ちはようわかるわ(笑)。
僕も若い時は、良いところを見せようと高級レストランに彼女を連れて行こうとしたら断られて...。それで、彼女に実はそのお店の方から半額券をもらっていて、それで行こうと思ったんやって打ち明けたら「半額だったらいいわ」ってOKしてくれて(笑)。
不器用キャラであることはみんな知ってるから"実は器用"みたいに見せたかったけど、うまくいかんもんやな。でも器用な人は不器用な人に憧れるという話も聞いたことがあるし、ないものねだりやな(笑)。
相談(5)仕事やプライベートで挫けそうな時、乗り越え方を教えてください。
首の怪我をした時、周囲も先生も「寝たきりになる。良くても車椅子」って言うてて。
今思うとあの時に大怪我をしたことで目標ができて前に進めたってのはあるなあ。別の人の話になるんやけど、一緒にバルセロナ五輪に出場した古賀(稔彦)選手は、体調が良かったソウル五輪ではメダルが取れなくて、次のバルセロナ五輪本番直前に怪我をしてしもうて。でもその怪我があったから邪念が消えて目標に集中できて、結果的に(バルセロナ五輪で)金メダルを獲れたんちゃうかなって僕は思ってるんです。
文字通り「怪我の功名」ちゅうわけではないけど、挫折したおかげで次に進めるって思えばええと思うで!
中西 学(なかにし まなぶ)
1967年1月22日生まれ。京都市出身。レスリングで92年バルセロナ五輪出場。同年の8月に新日本プロレスに入門し、10月にデビュー。99年にG1 CLIMAX優勝、2009年にIWGPヘビー級王座を奪取するなどパワフルなファイトスタイルで活躍。東京スポーツ新聞社制定「プロレス大賞」では敢闘賞(99年)と最優秀タッグ賞(10年)を受賞した。2020年2月22日後楽園大会で引退。現役時は186センチ、120キロ。