2021年クラシック候補たち
第19回:クールキャット

 今年の3歳牝馬クラシックは、無敗でGI桜花賞(4月11日/阪神・芝1600m)を制したソダシが中心。続くGIオークス(5月23日/東京・芝2400m)でも、同馬の優位は動かないだろう。

 それでも、ここに来て成長を遂げて「打倒ソダシ」が見込まれる面々も少なからずいる。美浦トレセンの奥村武厩舎に所属するクールキャット(牝3歳/父スクリーンヒーロー)もその1頭である。

オークスでの台頭なるか。クールキャットは「もともと重賞クラス...の画像はこちら >>

フローラSを快勝し、オークスに挑むクールキャット

 同馬は昨年6月のデビュー戦を快勝。のちにリステッド競走の紅梅S(1月16日/中京・芝1400m)を完勝するソングラインに、2馬身もの差をつけてちぎっている。

 ただその後、休養に入って復帰してからは際立った結果を残せずにいた。2戦目で挑戦したGIIIアルテミスS(10月31日/東京・芝1600m)では5着に終わり、続くGIIIフェアリーS(1月11日/中山・芝1600m)では10着と馬群に沈んだ。

 さらに、4戦目となるGIIIフラワーC(3月20日/中山・芝1800m)でも、後方から追い込んだものの、5着にとどまった。結果、クラシック初戦となる桜花賞出走は叶わなかった。

 しかし、オークストライアルとなるGIIフローラS(4月25日/東京・芝2000m)で見事な復活を果たす。8枠15番という外枠発走ながら、鞍上のクリストフ・ルメール騎手による鮮やかなエスコートによって、好位の4番手を確保。直線に入って早々に先頭に並びかけると、最後は内で粘るスライリーを振り切って勝利した。

 ついに重賞制覇を遂げて、オークスへの出走権をつかんだクールキャット。

同馬については、陣営も早くから期待していたという。その様子を関東競馬専門紙のトラックマンが伝える。

「奥村調教師はクールキャットについて、『牝馬にしては骨量が豊かで、見栄えがある。もともと重賞クラスの器だと思っていた』と話しています。また、フェアリーSでは道中行きたがって、まくるような形から大敗を喫していますが、本質的には『折り合いにも不安はない』とのこと。距離延長もこなせると見ています」

 いよいよオークスに挑むクールキャットだが、実はその決断はフローラSを勝った直後ではなかったという。

トラックマンが続ける。

「フローラSのあと、短期放牧に出たクールキャット。アルテミスSからコンスタントに使われてきたこともあって、『オークス出走は、あくまでも回復次第』という状況だったようです。

 そうして、慎重に状態を見極めて、数日前にオークス出走が確定したとのこと。ならば、戦える準備が十分に整った、と見ていいのではないでしょうか。名手・武豊騎手が手綱を取ることも決まって、ますます楽しみな存在となりました」

 昨年もウインマリリンが7番人気で2着になるなど、フローラSの勝ち馬がオークスで好走するケースは多い。

クールキャットもそうした例に続くことができるのか、注目である。