広島東洋カープ
高信二二軍監督インタビュー 後編

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 昨シーズンまで5年にわたって一軍ヘッドコーチを経験し、今季から二軍を率いる高信二監督。2016~18年のカープ3連覇を支えた二軍の指揮官は、現在のカープをどう見るのか? 後編では、4月29日に一軍初登板を果たした玉村昇吾ら投手陣、期待の若手選手について聞いた。

「鈴木誠也そっくり」の育成ドラ1も。カープ二軍監督が期待する...の画像はこちら >>

4月29日にプロ初登板を飾った2年目左腕・玉村昇吾

―― 次に投手陣についてお聞きします。4月29日の対DeNA戦でプロ初登板を果たした玉村昇悟投手の評判が高いです。高監督はどのように評価していますか?

「彼は昨年1年間、特別強化指定選手として体力強化をメインに育ててきた選手で、試合に出たのも昨年のフェニックスリーグからだったんです。そこからいいものを常に出し続けてくれましたし、今年も春から故障なくずっと二軍の試合で投げてきました。コントロールが優れたピッチャーで、球のスピンもいい。高卒2年目の投手としてはすばらしい素材だと感じています」

―― 次にルーキーの小林樹斗(たつと)投手ですが、現状を教えてください。


「彼も昨年の玉村と同様に、今年は特別指定強化選手として育てています。2週間に一度のペースでファームで投げながら、そのなかでいいものを出してくれています。今年1年はじっくりと体をつくりながら、故障させないでデビューできるようにもっていく。これはうちに高卒で入ってきたすべての投手に対するチームの方針なので、焦らずじっくりと育てていきたいと考えています。今シーズン中の一軍はないでしょう」

―― ここまでの話に挙がってきた選手以外で、成長が著しいと感じている選手はいますか?

「キャッチャーの石原貴規ですね。この選手がキャッチャーで出るようになったら面白いと感じています。
バッティングもいいですし、ハートも抜群なので、すごく楽しみな選手。今は一軍に打力があるキャッチャーが多いですが、守備力やスローイングなどを見ていると、石原貴規に最も『キャッチャーらしさ』を感じます。

 あとみなさんに名前を覚えておいてもらいたいのが、二俣翔一(2020年育成ドラフト1位)です。彼の本職は捕手で、今、内野手もやらせてみようとサードの練習もさせているんですが、とにかくバッティングがいい。東出(輝裕)打撃コーチいわく『(プロに)入ってきた時の鈴木誠也にそっくりだ』と。それくらいパンチ力がありますし、この間も鳴尾浜球場でライトへスリーランを打ちました。
現在、育成枠ですけど、すごく伸びしろのある選手かなと思っています」

―― 期待の若手も出てきて、カープも世代交代が迫っているのを感じます。

「よくプロ野球の世界でいわれるのですが、5年経ったら支配下70人のうちの半分は選手が入れ替わっていると。それだけ新陳代謝が激しい世界なので、今いる選手は1年でも長くカープのユニフォームを着られるように頑張ってほしいと思います」

―― ほかに現在二軍の投手には、2017年にあわやノーヒットノーランの快投を見せた矢崎拓也投手もいます。

「矢崎は大学でウチの息子と同級生だったんですが、今年5年目で27歳になるので、年齢的にも一軍で活躍しなければいけない選手。フォアボールで自滅する傾向がある投手ですが、今は二軍でコントロールもだいぶ落ち着いてきましたし、一方でこちら側が『コントロール、コントロール』と言いすぎると、ガムシャラに腕を振る彼のよさを消してしまうことにつながるので、その点は気をつけています。今、一軍に近い投手の一人に入っていますね」

―― 中﨑翔太投手、一岡竜司投手、今村猛投手についてですが、彼ら中堅、ベテランの存在がいずれ一軍で必要になってくると思います。

彼らのモチベーションを保つためにどのようなアプローチを心がけていますか?

「彼らには登板間隔が空かないようにピッチングコーチが考えて投げさせています。私からは『君たちに細かいことは言わない。とにかく結果を出し続けてくれ』と話しています。任された1イニングを確実に0で抑え続けてくれれば、一軍の首脳陣も見ているわけですから声がかかるはず。ハードルが高いと感じるかもしれませんが、彼らに対する要求と、若手投手にする要求は自ずと違ってくるんでね。その辺はわかってくれていると思います」

―― 3選手にとって、3連覇に貢献した時期を"100"とするなら、今はどれくらいまで状態が戻ってきていますか?

「中﨑に関しては球の威力も出てきたので、9割近くは戻ってきているんじゃないかと思います」

―― いつでも一軍に推薦できる状態にあると。


「この3人でいえば中﨑が今、その時期に差しかかっていると思います」

―― 一方で先日、ネバラスカス投手とバード投手が来日しました。彼らの印象を聞かせてください。

「外国人については野手も基本そうですけど、試合のなかでどのようなパフォーマンスを出すかになるので、実戦にならないとわからない部分があります。彼らもコロナ禍の影響で実戦からだいぶ遠ざかっていたので、まずは二軍の試合で投げて、そこから様子を見てと考えています」

―― 外国人野手では、メヒア選手がファーム降格後、本塁打を量産しています。

「メヒアは日本に来て6年目。日本のピッチャーの特徴もわかっていますし、彼は『二軍で打って当然』と思っています。

あとは一軍レベルの投手に対して打てるかどうか。先日もファームで中日の梅津(晃大)投手と対戦していましたが、ああいった投手から打てるようになれば、自ずと一軍が近くなると思います」

―― 最後にファンの方へメッセージを。

「今年は新人投手も飛躍していますし、台頭した若手野手も一軍で出場しています。そういった意味ではまた、3連覇した時のように、面白く、スピードがある野球を体現していけると考えています。またカープが3連覇、4連覇と果たせるようなチームづくりができるよう、私もファームで頑張ります!」