3歳クラシックの最終戦となるGI菊花賞(阪神・芝3000m)が10月24日に行なわれる。

 ほとんどの馬にとって未知の距離となる3000m戦という長丁場の戦いであり、スピードとスタミナが求められる過酷な一戦とあって、昔から三冠(皐月賞日本ダービー、菊花賞)のなかでも「もっとも強い馬が勝つ」と言われているレースだ。

それゆえ、過去10年の結果を振り返ってみても、1番人気が6勝、3着2回と安定した強さを見せている。

 一方で、7番人気以下の伏兵も1勝、2着3回、3着4回と、しばしば馬券に絡んでいて、3連単では何度か好配当が生まれている。たとえば2017年には、1番人気のキセキが勝利し、2着に10番人気のクリンチャー、3着に13番人気のポポカテペトルが入って、55万9700円という高配当をつけた。

 となれば、穴狙いに徹するのも悪くない。そこで、過去10年の結果を参考にして、今年のレースで波乱を演出しそうな伏兵をあぶり出してみたい。なお、今年は京都競馬場の改修工事により、阪神競馬場での開催となるが、開催時期や距離は変わらないため、京都で行なわれた過去データをそのまま参照する。

 まず注目したいのは、ディープインパクト産駒だ。

 菊花賞では長距離戦とあって、古くから血統が重視されてきた。実際、スタミナ自慢の父や母を持つ馬が結果を出すことが多かったからだ。

 それが最近では、スタミナにプラスして、一段とスピードが重要視されるようになった。そうして、近年ではスピードとスタミナのバランスに秀でたディープ産駒が強さを発揮。過去5年で4勝、2着1回、3着2回と、ずば抜けた成績を誇っている。

 そうなると、今年もディープ産駒は無視できない。候補となるのは、ディープモンスター(牡3歳)、ノースザワールド(牡3歳)、レッドジェネシス(牡3歳)の3頭である。

 GII神戸新聞杯(9月26日/中京・芝2200m)を制したステラヴェローチェの人気が予想されるなか、どの馬も「穴馬」として魅力的な存在ではあるが、ノースザワールドは前走の2勝クラスで2着。過去10年で馬券に絡んだ馬のうち、前走が2勝クラス(旧1000万下)だった馬はすべて勝利を飾っているため、ここでは評価を落としたい。

 また、ディープモンスターはGI日本ダービー(5月30日/東京・芝2400m)からぶっつけ。過去10年でダービーからの直行で菊花賞に挑み、馬券に絡んだ馬はいない。

その点を考慮すると、同馬も推しづらい。

 ちなみに2018年、長期休養明けとなる変則ローテで臨んだフィエールマンがレースを制して話題となったが、それでも前走はダービーから約1カ月後の、7月のGIIIラジオNIKKEI賞(福島・芝1800m)だった。

菊花賞は血統と臨戦過程を重視。穴候補はディープ産駒と2勝クラ...の画像はこちら >>

菊花賞での勝ち負けが期待されるレッドジェネシス

 残ったのは、レッドジェネシス。過去10年で馬券に絡んだ30頭のうち、前走で神戸新聞杯(阪神・芝2400m。※昨年と今年は中京・芝2200m)を走っていた馬は、実に17頭を数える。このデータからも、同馬を強く推したい。

 次にピックアップしたいのは、前走で1000万下(現2勝クラス)を勝ち上がってきた馬である。なにしろ、そうした馬が過去に何度も台頭。好配当を生み出していることも多いからだ。

 2013年に3番人気で3着となったバンデ、2014年に7番人気で3着に入ったゴールドアクター、2017年に13番人気で3着となったポポカテペトル、2018年に10番人気で3着となったユーキャンスマイル、2020年に4番人気で2着に入ったアリストテレスらがいい例となる。

 そして今回、前走で2勝クラスを勝ってここに挑むのは、アリーヴォ(牡3歳)、ヴェローチェオロ(牡3歳)、エアサージュ(牡3歳)、ディヴァインラヴ(牝3歳)、ロードトゥフェイム(牡3歳)の5頭だ。

 このうち、過去10年で牝馬が馬券圏内(3着以内)に入っていないことから、ディヴァインラヴは外したい。

また、過去例として挙げた5頭は皆、芝2200m以上のレースを勝ってきた。ということで、前走が2000m戦だったアリーヴォの評価も落としたい。

 さらに、過去例に挙げた5頭はいずれも春に重賞かオープン特別への出走歴があった。このことから、ここまでオープン特別の出走はなく、今回が重賞初挑戦となるエアサージュも候補から外すことにする。

 残ったのは、ヴェローチェオロロードトゥフェイムの2頭。ヴェローチェオロは、GIII札幌2歳S(2020年9月5日/札幌・芝1800m)、GIII東京スポーツ杯2歳S(2020年11月23日/東京・芝1800m)、GII京都新聞杯(5月8日/中京・芝2200m)と、これまでに重賞出走経験が3度もある。

しかも、すべて5着と奮闘している。

 片や、ロードトゥフェイムも今春には重賞出走歴が2度あり、前走ではスタミナが要求される中山・芝2500mの2勝クラス・九十九里特別(9月25日)で古馬相手に1着同着という結果を残している。ともに当日の出来やレースの展開次第では、大駆けがあってもおかしくない。

 最後の一冠をかけた熾烈な争い。皐月賞馬とダービー馬不在の今年、新たに世代の頂点に立つのはどの馬か。ここに挙げた穴馬候補にも大いにチャンスはあるはずだ。