今週の中央競馬は3日間開催。1月9日には3歳馬によるGIIIシンザン記念(中京・芝1600m)が行なわれる。

 過去10年の勝ち馬を見てみると、昨年のピクシーナイトをはじめ、アーモンドアイ(2018年)、ミッキーアイル(2014年)、ジェンティルドンナ(2012年)など、のちのGI馬がズラリ。出世レースのひとつと言っていいだろう。

 ただその一方で、1番人気の成績は3勝、3着1回と今ひとつ。おかげで、3連単では10万円を超える高配当が6度も生まれている。京都競馬場の改修工事によって、昨年も今年と同じ中京競馬場での開催となったが、馬連が万馬券となり、3連単も10万円超えの配当をつけて、過去の傾向どおりの結果となった。

 そうした状況ゆえ、日刊スポーツの太田尚樹記者も「(シンザン記念は)穴党向きのレースと言えるでしょう」と、こう続ける。

「実際、過去10年のうち、5番人気以下の馬が9回も連対。ジェンティルドンナ、アーモンドアイが勝った年も、2着には9番人気、7番人気の馬が突っ込んできて、馬連や3連単では好配当が生まれています」

 こうした結果に加え、「個人的には『日刊スポーツ賞』でもあるので、力が入るレースです」と語る太田記者は、今年も"荒れる"と踏んでいる。

「今年も例年と同じく、比較が難しいメンバー構成ですからね。さらに今年は、珍しくGI出走組が不在。波乱要素が一段と増しています。

 また、年明け初日(1月5日)の開催では、今回と同じ中京マイルを舞台にしてGIII京都金杯が行なわれましたが、結果は7番人気が1着、11番人気が2着という波乱の決着。

中京・芝コースは昨年末までのBコースからAコースに替わったことで、内を通った馬のほうが有利といった、紛れの多い馬場状態となっています。その点からも、ひと筋縄では収まらないと見ています」

 そこで、太田記者は穴馬候補として、ジャスティンヴェル(牡3歳)の名前を挙げた。

「同じ中京を走った、2走前のオープン特別・ききょうS(10月2日/中京・芝1400m)の内容が秀逸でした。レースは逃げきりが決まる、同馬にとっては不向きな展開だったのですが、中団後方から追うごとに伸びて、最後は2着まで追い上げました」

穴党向きのシンザン記念は今年も大荒れの予感。舞台合う2頭が高...の画像はこちら >>

シンザン記念での大駆けが期待されるジャスティンヴェル

 ただ、前走の1勝クラス・万両賞(12月25日/阪神・芝1400m)では2番人気に推されながら最下位の11着に沈んでいる。この結果をどう見るかだが、太田記者はこの一戦は「度外視していい」と言う。

「前走の万両賞は、およそ2カ月半の間隔があったせいか、行きっぷりがよくありませんでした。

管理する安田隆行調教師も『スッと行けなくて、全然競馬ができなかった』と振り返っていて、参考外にできる一戦です。

 それに、今回は2戦2連対の左回りに戻る点がプラス。前走の大敗で人気を落とすようなら、むしろ狙い目と見ていいのではないでしょうか」

 太田記者はもう1頭、ウナギノボリ(牡3歳)にも注目している。

「発馬に課題があり、初戦は出負け程度で済んで勝利を飾りましたが、以降の3戦は3~5馬身も出遅れ。そのため、なかなか結果を出すことができませんでした。今回と同じ舞台で行なわれた前走の1勝クラス・こうやまき賞(12月5日)でも、スタートで4馬身ほどのロスを強いられました。

 それでも、同レースではメンバー最速の上がりタイムをマークして、勝ち馬にクビ差の2着と奮闘。そもそも3走前の重賞、GIIIサウジアラビアロイヤルC(10月9日/東京・芝1600m)でも、出遅れながら4着と健闘しています。

 地力の高さは相当なもの。出遅れることなく、まともに走りさえすれば、ここでも十分に通用すると思います。

 今週の追いきりでも力強い動きを見せて、生野賢一調教助手は『仕掛けてからの反応がよかった』と前向きなコメント。その表情からは、同馬の好調ぶりがうかがえました。

 この中間は、鞍上の吉田隼人騎手が乗ってゲート練習をするなど、発馬改善にも努めていました。レース本番でその効果が出て、流れに乗った競馬ができれば、勝ち負けになると踏んでいます」

 東西の金杯はともに馬連が万馬券。2022年の中央競馬は波乱のスタートとなった。週中には都心でも雪が積もり、競馬界の"大荒れ"ムードにも拍車がかかるようなら、ここに挙げた2頭がアッと驚く高配当を演出してもおかしくない。