秋のGIシリーズ開幕を翌週に控えた今週、3歳牡馬「三冠」の最終戦となるGI菊花賞(10月20日/京都・芝3000m)のトライアル、GII神戸新聞杯(中京・芝2200m)が9月22日に行なわれる。
菊花賞への重要なステップレースとあって、過去の勝ち馬にはそうそうたる面々の名前が並ぶ。
「今年で72回目を迎える伝統の菊花賞トライアルで、過去10年の勝ち馬には、2014年のワンアンドオンリー、2017年のレイデオロ、2018年のワグネリアン、2020年のコントレイルと4頭のダービー馬に加え、2019年には皐月賞馬のサートゥルナーリアらが名を連ねています。それ以前の10年間を見ても、2004年のキングカメハメハ、2005年のディープインパクト、2008年のディープスカイ、2011年のオルフェーヴル、2012年のゴールドシップなど名馬がズラリ。春の実績組が断然の成績を残してきたレースです」
現に過去10年で1番人気は5勝。実力馬が比較的安定した成績を残している。ただし、ここ3年は1番人気が3連敗。馬券圏内(3着以内)にも入ってない。その理由について、大西記者はこう分析する。
「3年前は不良馬場がその一因でしょう。一昨年、昨年は、皐月賞馬、ダービー馬が不在だったことがその要因ではないでしょうか。そして今年も、春のクラシックホースの登録がありません。ひと筋縄ではいかないように思います」
また、今年は阪神競馬場の改修工事の影響で、中京競馬場の芝2200mでの開催となる。
「中京競馬場で開催された3年間で馬券に絡んだ9頭はすべて、左回りで3着以内に入る好走実績がありました。それと、厳しい暑さが続くなか、そうした気候にも対応できる、状態のいい馬を選ぶことも(馬券攻略の)ポイントと言えそうです。ちなみに、中京開催3年間の3連単はすべて万馬券。今年も、波乱ムードが漂います」
こうした点を考慮して、大西記者は2頭の穴馬候補をピックアップした。
「1頭目は、ヴィレム(牡3歳)です。前走の1勝クラス(6月9日/東京・芝2000m)の勝ちっぷりが優秀でした。
今回と同じ左回りの東京コースで、中団やや後方からメンバー最速の上がり33秒1の末脚を駆使して快勝。半馬身差の2着に退けたスティンガーグラスが続く1勝クラスのレースを圧勝し、先週のGIIセントライト記念(9月16日/中山・芝2200m)でも5着と奮闘したことから、重賞のここでも上位争いできるポテンシャンを秘めていることは明らかです。
前走後は、放牧に出してリフレッシュも完了。復帰後は栗東坂路とCWを併用し、丹念に乗り込んできました。そして1週前追い切りでは、神戸新聞杯で手綱を取る松山弘平騎手を背に3勝クラスの僚馬と併せて、6ハロン80秒9-1ハロン11秒3とシャープな伸び脚を見せてきっちり先着しました。500kgを超える馬体にも、ここにきて芯が入ってきた印象。春から、一段と進化を遂げています。今なら、重賞初挑戦でもチャンスが十分にあると見ています」
大西記者が推奨するもう1頭は、春にはGI日本ダービー(5月26日/東京・芝2400m)へと駒を進めたショウナンラプンタ(牡3歳)だ。
「ダービーでは15着と惨敗を喫しましたが、それはその前走のGII青葉賞(2着。4月27日/東京・芝2400m)で目いっぱいの競馬をした直後だったこと、さらに17番枠を引いてしまったことが災いした、と見るのが自然でしょう。つまり、敗因は明確です。
その後は山元トレセンへ放牧に出して、しっかりと春の疲れを癒してから栗東へ帰還。坂路を中心に、しっかりと調整を積んできて態勢は万全です。
2歳時のGIホープフルS(中山・芝2000m)7着以来だった3走前の1勝クラス・ゆきやなぎ賞(3月9日/阪神・芝2400m)で勝っているように、休み明けも苦にしないタイプ。口向きに難しいところがありますが、そこはデビューから全6戦でコンビを組んできた鮫島克駿騎手なら心得ているでしょうし、同馬の持ち味をしっかりと引き出してくれるはずです。
キャリア初の中京コースとなりますが、同じ左回りの青葉賞で良血馬シュガークンからアタマ差2着と好走した走りが再現できれば、まったく問題ありません。ダービーの大敗で人気を落とすようなら、積極的に狙ってみたい1頭です」
確たる主役が不在の伝統の一戦。