チーム事情から見るドラフト戦略2024~ロッテ編

 プロ野球の一大イベント、ドラフト会議が10月24日に開催される。各球団すでに指名選手をリストアップし、最終段階に入っていると思うが、チームの現状と将来を鑑み、今回のドラフトで本当に獲得すべき選手は誰なのか? CSファーストステージで日本ハムに敗れたものの、近年、安定した成績を見せているロッテ。

だが、エース・佐々木朗希はメジャー移籍の噂があり、実現すれば戦力ダウンは避けられない。だからこそ、そこを見越したうえで指名を考えたい。

【ドラフト2024】佐々木朗希のメジャー移籍を見越し1位は即...の画像はこちら >>

【去就が注目される佐々木朗希】

 今季のロッテで驚いたのは、とにかく佐々木朗希だ。メジャー挑戦を巡って、あれだけいろいろ言われ、誹謗中傷までされて、本人だって悩み、平常心を保つのも難しかったはずなのに、それでも2ケタ勝ってしまう(10勝5敗)"底力"。しかも10勝目は、CS出場権を争っていた楽天相手に5安打、10奪三振、無四球の1失点完投と、まさに独壇場だった。

 あれほどの才能を持った投手だから、ファンのなかには10勝どころか、15勝、20勝の期待もあっただろうが、ほかの投手が必死で目指してもなかなかたどり着けない2ケタのラインを、あの"喧騒"のなかであっさりやってのけるんだから、やっぱりモノが違うのだろう。

 開幕当初のロッテはなかなか調子が上がらず、4月には7連敗も記録。だが5月になると一転、破竹の11連勝で借金を返済すると、そこからは小さい波はありながら、安定して5割台をキープ。パ・リーグ2位だった昨年を上回る勝率.518で、直近の5年で4度目のAクラス。コンスタントにチーム力が備わってきつつある。

 そうは言っても、直面するのは、やはり「佐々木朗希問題」だろう。このオフにメジャー挑戦があってもいいように、ドラフト対策を立てたい。

 今季終盤の西武戦で、155キロに及ぶ速球を武器に、5回3安打無失点の好投で大器の片鱗をのぞかせた2年目の田中晴也をはじめ、同じく2年目の左腕・高野脩汰、4年目右腕の中森俊介と、ファームから一軍を目指す投手のたしかな足音は聞こえてくるが、まだ未知の部分が多すぎる。

 ならば1位は、即戦力に近い投手しかいない。それも、できることなら競合は避けたい。そんなわがままな要望に応え、しかも千葉に縁のある "快腕"がいる。篠木健太郎(木更津総合→法政大/投手/177センチ・80キロ/右投左打)が、4年の今季になってピッチングに"芯"のようなものが加わってきた。

 コンスタントに150キロ近い快速球を繰り出し、タテのスライダーに高速フォークを交えて、ファイティングスピリット丸出しで打者を攻め立てる投球スタイル。緊迫の場面で、打者だけに集中しすぎる傾向があるが、「投げてみないとわからない......」という不安要素は消えてきた。先発でもリリーフでも投げられ、50メートルを5秒台で走る全身のバネも、これからのさらなる成長にひと役買ってくるはず。

【中村奨吾の後継者と左腕】

 千葉に縁があると言えば、佐倉シニア出身の石塚裕惺(花咲徳栄/遊撃手/181センチ・82キロ/右投右打)がまず挙げられるが、篠木との"両獲り"はちょっと難しいところか。2016年以降、支配下ドラフトで獲得した高校生内野手は金田優太(2022年5位)だけなので、そろそろのタイミングなのだが、ここは篠木を最優先か。

 そこで1位を篠木、2位に千葉出身の宇野真仁朗(早稲田実業/遊撃手/177センチ・81キロ/右投右打)でどうか。宇野は高校通算64本塁打、プロ入りを視野に入れ、木製バットを早くから使用して、今夏の甲子園でも長打だけでなく、レフト前ヒットで二塁を陥れた俊足と野球勘も頼もしい。中村奨吾の後釜をそろそろ本気で探さなければならないだけに、宇野はぜひ獲っておきたい逸材だ。

 さらに千葉には、颯佐心汰(中央学院/遊撃手/175センチ・72キロ/右投右打)というプロでもショートを守れるスピード、強肩、フィールディングに長けた選手もいる。

 ロッテには「左腕獲得」というテーマがいつもついて回るが、今季も現場で戦っている首脳陣はその不足を感じたに違いない。

 先発では、小島和哉が12勝10敗、防御率3.58と"奮投"したが、彼に続くローテーション左腕はC.C.メルセデス(4勝8敗、防御率2.71)だけにとどまった。リリーフ陣も、4年目左腕・鈴木昭汰が51試合に登板し27ホールド、防御率0.73と孤軍奮闘の活躍を見せたものの、続く者がいなかった。

 今年の学生球界には、知名度は高くないが、たしかな実力を持った左腕がいる。

 佐藤爽(札幌山の手→星槎道都大/投手/176センチ・77キロ/左投左打)は、昨年、今年と大学選手権大会で2度の"炎上"はあったが、札幌大学リーグでのスピンが効いたストレートとチェンジアップの緩急は光るモノがある。

 一方、徳山一翔(鳴門渦潮→環太平洋大/投手/177センチ・86キロ・左投左打)は全国の大舞台で度胸満点のピッチングを披露。強豪相手に再三好投を見せてきた実績を持つ。今年春のリーグ戦は、ヒジ痛で登板を控えていたが、秋のリーグ戦で復活。スライダーとカーブ、チェンジアップと多彩な変化球を駆使し、持ち味の四球を出さない安定感ある投球を見せた。

 将来に備えて、今のうちからファームでも左腕を育てておきたい。

 ならば、昨年夏の甲子園で文星芸大付に打ち込まれたが、素質の片鱗を見せた河野伸一朗(宮崎学園/投手/190センチ・77キロ/左投左打)。

日本では大成した前例がないと言われている超長身左腕だが、河野はボディバランスのいい身のこなしと、スライダー、チェンジアップと操る器用な指先感覚を持っている。今年は足首やヒジの故障で実戦登板がなかったが、恵まれた素質に変わりはない。

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