チーム事情から見るドラフト戦略2024~DeNA編
プロ野球の一大イベント、ドラフト会議が10月24日に開催される。各球団はすでに指名選手をリストアップし、最終段階に入っていると思うが、チームの現状と将来を鑑み、今回のドラフトで本当に獲得すべき選手は誰なのか?
今永昇太、トレバー・バウアーが抜けたなか、新戦力の台頭もあり3年連続Aクラス入りを果たしたDeNA。
【先発ローテに厚みがほしい】
三浦大輔監督就任4年目の今シーズン、3年連続Aクラス入りを果たし、阪神とのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージでも勝利を納めたDeNA。就任1年目の最下位から一気にAクラスに定着した安定感は正直、すごいと思う。
興味深いことに、Aクラスのこの3年間、勝率もチーム打率もほぼ横ばいなのに、チーム防御率だけは年々ジワジワとよくなってきている。これはチームづくりをするうえで、大きな成果だろう。
そのなかでも、今季は外国人投手が頑張った。新加入のアンドレ・ジャクソンが先発で8勝を挙げ、アンソニー・ケイが6勝。また、昨季中継ぎで奮闘したJ.B.ウェンデルケンが今季も頑張り、そこに新加入のローワン・ウィックが加わり、リリーフ陣の厚みは一気に増した。彼らがAクラス入りの原動力になったことは間違いない。
一方で、日本人投手たちもリリーフ陣を中心に活躍。今季は中継ぎに回った守護神・山﨑康晃の立ち位置を森原康平(58試合/29セーブ/防御率2.41)が立派に担った。ほかにも、佐々木千隼(26試合/6ホールド/防御率1.95)、坂本裕哉(48試合/13ホールド/防御率2.20)、徳山壮磨(29試合/8ホールド/防御率2.45)、中川虎大(31試合/10ホールド/防御率3.19)といった、昨年は戦力になれなかった投手たちの働きが目立った、
ただ、絶対的エース・東克樹が孤軍奮闘状態に見える先発ローテーションはその時、その時の行き当たりばったりじゃ、さらなる上は望めない。
今年のドラフト候補のなかでは金丸夢斗(神港橘→関西大/投手/177センチ・77キロ/左投左打)がうってつけの人材に思えるが、競合するのは間違いない。競合覚悟で勝負に出るか、それとも単独でほかの選手を確実に狙うか悩みどころだ。
DeNAのファームには、育成ルーキーの庄司陽斗が1年目から台頭し、4年目の大器・松本隆之介も制球力がついて、ゲーム後半まで試合がつくれるようになった。左腕の先発タイプは明るい兆しが見えている。
ここは金丸も捨てがたいが、右の先発タイプでもいいのではないか。
最速159キロの中村優斗(諫早農業→愛知工業大/投手/176センチ・81キロ/右投右打)は大学生だが、まだまだ伸びしろが期待できる。70~80%の力感で、サラッと150キロ台を立て続けに投げられる高性能エンジンが頼もしい。下半身主導で投げるコツを覚えたら、高速フォークがさらに生きてくるのは間違いない。
【隠れた実力派投手】
今季、外野手の梶原昂希、蝦名達夫が走攻守で実力を伸ばし「1、2番コンビ」を形成。DeNAの新たな武器として、他球団の脅威となっている。ちなみに、彼らはいずれもドラフト6位指名である。今だから言うわけじゃないが、「どうしてどこも指名しなかったのだろう......」と、不思議に思ったものだ。
梶原や蛯名のように"盲点"みたいになっている選手は、必ずいるものだ。今年は投手で、そういった選手を探してみたい。
浅利太門(興国→明治大/投手/186センチ・89キロ/右投右打)は、チーム関係者が太鼓判を押す未完の大器。アベレージ140キロ後半の速球とその角度、なにより球質がすばらしい。
また高校時代から注目されていた寺西成騎(星稜→日本体育大/投手/186センチ・85キロ/右投右打)は最終学年を迎えて、安定感を増している。右ヒジの手術を克服し、ストレート、カーブ、ツーシームとの緩急で打ち損じを誘う。
さらに今春のリーグ戦は今ひとつだった超大型サウスポーの田代涼太(帝京→創価大/投手/189センチ・96キロ/左投左打)が、失点しない投球を取り戻しつつある。打者のタイミングを外しながら、徹底して低めを突く投球には高い実戦力がある。
彼らを2位から4位で指名できたら、投手陣の層をよりいっそう厚くすることができるはずだ。
チーム構成を見渡すと、各ポジション、高校出身の「若手」が少ないように思う。4年目左腕・高田琢登が退団し、来季を期待されていた2年目・森下瑠大も左ヒジをクリーニング手術......。先を見越して、高校生左腕を獲得しておきたい。
西川歩(山村学園/投手/172センチ・75キロ/左投左打)は、スピン量豊富な140キロ前半の速球が光る正統派左腕。スライダー、チェンジアップを自在に操る送球センスが光る。
打ちづらさなら、冨士大和(大宮東/投手/186センチ・78キロ/左投左打)だ。長い腕を生かしたスリークォーターはリリースが見えづらく、体感スピードは140キロ後半。体ができてくれば、さらなるスピードアップが期待できる逸材だ。
今シーズン、7年目の捕手・山本祐大がレギュラーマスクを獲ったが、先輩の伊藤光は来年で36歳、戸柱恭孝が35歳なら、次世代のレギュラー候補・松尾汐恩との間に、もうひとりいると心強い。
社会人3年目、都市対抗など大舞台の経験も豊富な城野達哉(武生商→中部大→西濃運輸/捕手/179センチ・84キロ/右投左打)に6位指名の「黄金枠」を使ってもいいのではないか。昨年5月のベーブ・ルース杯では驚異の5打席連続本塁打。それでも本人が語るアピールポイントは「スローイングとインサイドワーク」だという。
プロ野球はいざという時に、しっかりバックアップしてくれる選手がいるチームが強い。そういう意味で、城野の安定感プレ--は絶対にオススメだ。