蘇る名馬の真髄
連載第48回:ドゥラメンテ

かつて日本の競馬界を席巻した競走馬をモチーフとした育成シミュレーションゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)。2021年のリリースと前後して、アニメ化や漫画連載もされるなど爆発的な人気を誇っている。

ここでは、そんな『ウマ娘』によって再び脚光を浴びている、往年の名馬たちをピックアップ。その活躍ぶりをあらためて紹介していきたい。第48回は、超良血馬として早くから注目され、2015年の皐月賞日本ダービーを制したドゥラメンテを取り上げる。

『ウマ娘』でも名家の出身として描かれているドゥラメンテ クラ...の画像はこちら >>
 優れたウマ娘を数多く輩出してきた名門一族の出身であり、将来を嘱望されるエリート。それが、『ウマ娘』のドゥラメンテだ。彼女にとって、勝つことは当然の"前提"。白星を重ねることを、当たり前の使命と捉えている。

 このキャラクターのモチーフとなったのは、2014年~2016年に活躍した競走馬のドゥラメンテ。同馬は日本屈指の良血の持ち主であり、レースでは名門出身にふさわしい走りでファンを魅了した。

 ドゥラメンテの血統を見ると、母系にはビッグレースを勝った名牝の名がずらりと並ぶ。母は、2003年と2004年のGⅠエリザベス女王杯(京都・芝2200m)を連覇したアドマイヤグルーヴ。祖母は、1996年のGⅠオークス(東京・芝2400m)の覇者で、1997年に一線級の牡馬相手にGⅠ天皇賞・秋(東京・芝2000m)を制したエアグルーヴ。

そして曽祖母には、1983年のオークスを勝利したダイナカールがいる。

 まさに日本を代表する名家の血筋を引くドゥラメンテ。その動向は、デビュー前から大きな注目を集めていた。

 初陣を飾ったのは、2014年秋。そこでは2着に敗れたものの、続く未勝利戦(東京・芝1800m)、500万下(現1勝クラス)特別のセントポーリア賞(東京・芝1800m)と連勝を飾った。いずれも、後続に6馬身差、5馬身差をつけての圧勝だった。

 次戦は、その勢いに乗って中1週でGⅢ共同通信杯(東京・芝1800m)に挑んだ。しかし、新馬戦を勝ち上がったばかりのリアルスティールを捕えきれず2着と苦杯。クラシック初戦となるGⅠ皐月賞(中山・芝2000m)への参戦は微妙な状況に追い込まれた。

 ところが、皐月賞の登録馬がフルゲートに満たず、無事に出走を果たしたドゥラメンテ。ここで、この馬自身が持つ本来の才能を存分に見せつけた。

 1番人気は、前哨戦のGⅡ弥生賞(中山・芝2000m)を無傷の3連勝で制したサトノクラウン。

リアルスティールが2番人気で続き、ドゥラメンテは3番人気だった。レースがスタートすると、リアルスティールが5、6番手につけて、サトノクラウンとドゥラメンテは後方の位置取りになった。

 よどみない流れでレースが進むなか、観客がどよめいたのは4コーナー。馬群の内から追い上げを図っていったドゥラメンテが突然、外へ大きくヨレたのである。他の馬が煽りを受けたのはもちろん、ドゥラメンテ自身も大きなロスを被ることになった。

 その間に抜け出したのは、リアルスティール。直線半ばで先頭に立つと、2番手のキタサンブラックを突き放す。勝つのはこの馬か――誰もそう思った瞬間、驚愕の末脚で外から追い込んできた馬がいた。

 ドゥラメンテだ。大きなロスをものともせずに再加速。文字どおり"他馬が止まって見える"ような凄まじい決め手を披露し、リアルスティールらを並ぶ間もなくかわして戴冠を遂げたのである。

 続くクラシック第2弾のGⅠ日本ダービー(東京・芝2400m)でも、ドゥラメンテは圧倒的な力を見せつけた。

18頭立ての中団8番手につけた同馬は、4コーナーまでじっくりとこの位置で追走。わずかな不利も受けないような安全策をとって、馬群の外、外を回っていった。

 迎えた直線、外から一気に仕掛けていったドゥラメンテ。残り400mをきって、坂下あたりで早々に先頭に立った。

 残りはまだ300mほどあった。だが、その時点で勝負は完全に決していた。後続からサトノラーゼン、サトノクラウンらが脚を伸ばしてきたものの、その差は一向に詰まらない。ドゥラメンテは最後まで力強い脚取りでゴール板を通過。完璧な競馬で二冠を達成したのである。

 しかし、その栄冠から束の間、秋に向けて放牧に出されたあと、骨折が判明。長期休養を余儀なくされた。

 復帰したのは、それから約9カ月後。

GⅡ中山記念(中山・芝1800m)だった。同レースで見事な復活劇を飾ると、海外のGⅠドバイシーマクラシック(UAE・芝2410m)に挑戦。発走前に落鉄するアクシデントに見舞われながらも、2着と健闘を見せた。

 帰国後は、GⅠ宝塚記念(阪神・芝2200m)に出走。1番人気の支持を受けるも、伏兵のマリアライトを捕えることができず、2着に敗れた。すると、レース直後に負傷が判明。数日後、競走能力喪失の診断が下されて引退することとなった。

 ダービー以降はケガに泣いたが、同馬がクラシックで見せた強さは間違いなく一級品だった。そして、その姿からはこの馬の血に宿る名馬の系譜がしっかりと示されていた。

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