F1第5戦カナダGPレビュー(前編)

 雨まじりのカナダGPは、アストンマーティン・ホンダに少しばかりの光明をもたらした。

 前戦マイアミGPでようやく"普通のレース週末"を送ることができるようになったことで、車体もパワーユニットもやっと性能向上のフェーズに入ることができた。

マイアミで得られたデータと知見から、車体セットアップもギアボックス制御も、そしてパワーユニットのセットアップも大幅に手を入れて、モントリオールへと持ち込んできた。

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 ホンダの現場運営を統括する折原伸太郎トラックサイド・ゼネラルマネジャーはこう語る。

「我々ホンダとして今回メインで持ってきた"改善ダマ"というのが、エネルギーマネジメントの最適化と、ドライバーから課題というコメントがあったドライバビリティの対策です。データ上は改善の傾向が見えて、ドライバー的にはまだまだ改善の余地があるとのことでしたが、正しい方向に進んでいるのは見えていますので、そこは今週末の大きな収穫だったと思っています」

 シミュレーションはあくまで理論上の最適値であり、ドライバーがコース上で速く走るために求めるものとは異なることが多い。現実のサーキットの路面や気温とは差異があり、マシン挙動は100パーセント同じではない。

 理論上可能だと算出される車速が必ずしも実走で再現できるわけではなく、それよりもドライバーが攻めて走ることでゲインできるコンマ数秒のほうがラップタイムにつながることも少なくない。本来ならば、開幕前テストで入念に走り込むことでその差異を詰めていき、シミュレーションの精度を上げていくものだ。

 しかし、アストンマーティン・ホンダは振動問題に端を発する信頼性懸念で走行距離がまったく稼げず、春休みに振動問題を解決したことでようやくマイアミGPからすべてが本来のペースで機能し始めた。ライバルたちが開幕前からやっていたことに、ようやく追いついたのだ。

「振動問題があった頃は走行距離もかなり限られていたので、どうしてもそちらにリソースを割かざるを得ませんでした。それがマイアミで解消されて走行距離も一気に増えましたし、ドライバーからのコメントも要求がさらに上がっていっているので、エネルギーマネジメントやドライバビリティのさらなる精度アップに注力できる環境になったと思います」(折原GM)

【土曜の予選では現実を突きつけられた】

 金曜のFP1ではフェルナンド・アロンソが10位、そしてスプリント予選では14位に入ってSQ1を突破。ついに中団グループのなかで戦えるようになった。

 アロンソはマシンの改善を前向きに評価している。

「今週末の僕らはおそらく少し速くて、コンペティティブだと感じられる。マシンとの一体感も増していて、セットアップもうまく決まっていて、マシンバランスも良好だ。パワーユニットのエネルギーマネジメントやギアボックスの制御もマイアミの時に比べて改善しているし、前進している」

 ただし、アロンソはターン3でロックアップして珍しくクラッシュし、それ以上走行はできなかった。残り1分46秒で出されたその赤旗が、ライバルたちのアタックとタイムアップを阻み、皮肉にもSQ1突破を助けることになった。トラブルで2台が出走できなかったことも大きな助けになった。

「FP1からセッションが赤旗で止まったり、SQ1も赤旗があって通常とは違うセッションの流れだったので、そういった要素に救われた面もあったと思います。ああいう結果になればチームとしてもいい雰囲気になりますし、いいステップが踏めたと思います。ただしそれが即、我々がやってきたことの結果だとは思っていません」(折原GM)

 それを証明するかのように、土曜の予選本番では18位・21位と、現実を突きつけられた。

 それでも前のウイリアムズとは0.345秒差、Q1突破に0.421秒差までギャップを縮めたことも確かだった。アロンソもこう語る。

「最終結果は今までと変わりはないし、Q1を突破するにはもう少し改善が必要だ。

それでもマイアミでは15位や16位との差が1.1秒や1.2秒だったのが、今週末は0.2~0.3秒になっている。小さな前進は果たせているということだよ。先はまだ長いけどね」

◆つづく>>

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