この記事をまとめると
■スバルのSUV、新型クロストレックが登場■先代まではXVだったが、現行型より世界共通の車名となった
■今回はクロストレックの各グレードの違いや選び方について解説
クロストレックの選び方を解説!
先代がスバルXVと名乗っていたスバル最新の1台が、XVの後継車(3代目)であり、また、世界共通の車名となったクロストレックである。例によって、プラットフォーム、パワートレインなどは、スバルの代表車種である新型インプレッサと共通だ。
一目でXV、いや、クロストレックだと思わせるボディのサイズは全長4480mm(先代XV比-5mm)、全幅1800mm(先代XV比±0mm)、全高1580mm(先代XV比-15~+5mm)、ホイールベース2670mm(±0mm)、最低地上高200mm(先代XV比±0mm)と、先代XVとエクステリアデザイン、ボディサイズともに大きくは変わっていない。
新型クロストレックの大きな特徴は、スバル最新のアイサイトを搭載していることに加え、パワーユニットは、先代XVでは1.6リッターガソリンと、2リッターガソリン+モーターのマイルドハイブリッドとなるe-BOXERが用意されていたのだが、クロストレックでは2リッター直噴水平対向エンジン+モーターのe-BOXER、145馬力、19.2kg-m、WLTCモード燃費16.4km/L(FF)/15.8km/L(AWD)+マニュアルモード付リニアトロニック(CVT)のみ。そして注目すべき点が、先代になかったFWDモデルを追加したこと。基本は、悪路や雪道での脱出性能を高めるXモードを搭載するスバル自慢の四輪駆動システムを採用したAWDなのだが、こうしたクロスオーバーモデル、全高の低いSUVと呼べるクルマながら、「使うのは街乗りや高速走行のみ。ヨンクはいらない」。あるいは「できるだけ安く手に入れたい」というユーザーにも応えてくれることになる。

ラインアップはシンプルで、上級グレードのリミテッドと基本グレードのツーリングがあり、それぞれにAWD、FWDが組み合わされるだけ。つまり4つの車種から選ぶことになる。なお、クルマのキャラクターからオールシーズンタイプとなるタイヤサイズは、リミテッドは開発基準の225/55R18、ツーリングは225/60R17サイズと異なる。
リミテッドとツーリングでは、装備面も異なり、フルLEDヘッドランプ、11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ(ナビゲーション機能88000円はセットOPコードUGのステアリングヒーター&シートヒーターなどがセットで13万9500円)&インフォテイメントシステム、前席パワーシートなどは、リミテッドに標準、ツーリングにオプションとなる。が、気が利いているのは、ツーリングにもリミテッドの上級装備を追加できるところ。アルミパッド付スポーツペダルとLEDリヤゲートランプなどの一部装備を除き、ツーリングでもリミテッド同様の装備内容に仕立てることができる。

さて、本題である。
タイヤサイズによる違いは大きい!?
まずは価格だ。AWDモデルを例に挙げると、ツーリングはかなりリーズナブルと思える288.2万円。リミテッドは328.9万円。差額は40.7万円と小さくない。が、クロストレックのインテリア、インパネデザインを完結する縦型11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ&インフォテイメントシステム装着前提なら、驚くことはない。リミテッドにはそれが標準装備され、ツーリングとの実質的な差額はグッと縮まるのだ。その上で、クロストレックの足もとを引き締める18インチタイヤ&ホイールなどが標準装備されるのだから、リミテッドは決して高すぎはしない。
では、リミテッドとツーリングで異なるタイヤサイズによる乗り味はどうなのか? 乗り心地は17/18インチタイヤを問わず、どちらも文句なしに素晴らしく快適だ。シートの分厚いクッション感、適切なホールド感もあり、高級車さながらの路面に左右されにくい、大げさに言えば“魔法の絨毯に乗っているかのような”乗り心地を示してくれる。初試乗した際、まず驚いたのがその乗り心地の素晴らしさだった。アクセル踏むとスッと濃厚なトルクがリニアに沸き上がり、ペダルコントロール性に富み、中高回転域の気持ち良さある水平対向2リッターエンジン+モーターによるマイルドハイブリッドのパワーフィール、特筆すべきロードノイズの遮断性能やルーフへの高減衰マスチックシーラー採用による車内の静かさといった点も、リミテッドとツーリングで変わりようもない美点と言える。

が、タイヤサイズによる乗り味、操縦感覚はけっこう違う。18インチタイヤを履くリミテッドは濃厚にして落ち着き感、穏やかさある上質なドライブフィールが。17インチタイヤとなるツーリングは同じAWDモデルとの比較で言えば、より軽快感ある加速フィール、操縦性、一段としなやかかつ、いい意味でおおらかな乗り味、ドライブフィールが特徴となる。可能なら、両モデルに試乗することをおすすめしたい。結果、ツーリングの走りのテイストが好みなのであれば、必要なOPを選択していけばいい。
では、先代XVになかったFWDの選択はどうか。「街乗り、オンロードメインの使い方だから前輪駆動で十分……」というのであれば、悪路の走破性、最低地上高にこだわる必要はなく、クロストレックのFWDもアリだが(4WDとの燃費差は微小)、個人的には立体駐車場への入庫容易性も高まる(全高はクロストレックの1575mmに対して1515mm)、スポーティな走行性能にも大満足できるインプレッサ(クロストレックのベース車)のFWDでいいようにも思える。カタチだけどうしてもクロスオーバースタイルじゃなきゃダメ、というケースを除けば、であるが。

新型クロストレックの真打ちがAWDだとすれば、あとはツーリングか、リミテッドで悩むだけ。実際の販売では半々とのことだが、ツーリングに11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ&インフォテイメントシステムなどのオプションをあれこれ付けていくのであれば、いっそ、将来の下取り価格の優位性も期待できるハイグレードのリミテッドを選ぶのが、正解だと思える。ちなみにサンルーフはリミテッドにのみ選べるオプションだが、前席は気にならないものの、後席は頭上空間が狭まる印象だから、実際にショールームなどでサンルーフ付きのクロストレックの試乗車の後席に座ってみることをすすめる。身長172cmの筆者の場合、ドラポジを決めた運転席背後の膝まわり空間は210mmとたっぷりなのだが、頭上空間は100mm(低全高クロスオーバーSUVのホンダ・ヴェゼルのサンルーフ付きとぴったり同じ)。

とはいえ、駆動方式、グレードを問わず、マイルドハイブリッド1種類となった水平対向エンジンの気持ち良さ、静かさ、特筆すべき乗り心地の良さを味わうことができるのが、お値打ち価格の新型クロストレックと言っていい。