ラリー仕様のWRX S4は総額は約1200万円ナリ!

 WEB CARTOPでもおなじみの自動車評論家、国沢光宏さんがドイツで開催されるWRC(世界ラリー選手権)第10戦ラリー・ドイツに挑戦! 今回ラリー・ドイツ取材のチャンスを得た新人編集部員篠田は、ラリーについてはまったくの素人。そこで2回に渡り、渡航前の国沢さんにラリーとは何か、国沢さんはなぜラリーに挑戦するのかについてお話を伺った。前回までの取材でラリーについてはかなり理解が深まってきた私、篠田。



 すると、国沢さんに「せっかくだからラリーカーに乗ってきなよ!」とすすめられ、なんとタイラリー・キングスカップで優勝したスバルWRX S4に試乗することに! ラリーカーはナンバープレートがついており、公道走行が可能。ということで、私も実際にハンドルを握り、ラリーカーがどんなものなのか体感してきた。



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 まずはなんといっても迫力満点のエクステリア! スバルを象徴する青系のボディカラー、WRブルー・パールに装飾された派手なデカールが目を引くが、バンパーの取り外しがしやすいように改良されているほか、普通車ではあまり見られなくなったマッドガードやボンネットピンなど細かな部分にもラリーカーらしさを感じる。



【国沢光宏がWRCに挑戦】新人編集部員がド緊張のラリーカー初試乗! 衝撃の乗り味とは?



 ドアを開けるとまず目に飛び込んでくるのはフルバケットシートに5点式シートベルト、ロールケージだ。不要な内装やシートなどは競技車のために取り払われている。スペアタイヤやドリンクホルダーなどが置かれているだけで、あとはむき出しの状態だ。

助手席には三角表示板や消火器など、ラリーカーに必要不可欠な装備も搭載されている。



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 これだけしっかりと作り込まれていたら、さぞお金がかかっているだろうと思い、失礼ながら費用を聞いてみたところ、「改造費はおよそ800万円程度で、新車で購入したため、総額は約1200万円」とのこと!



 国際格式の競技でも優勝できるレベルにまで仕上げており、「タイラリーではこのWRX S4でエントリーすると、生半可なクルマは参加してこなくなった」という。そのために2017年に出場したタイラリー・キングスカップではWRX S4よりもパワーのあるクルマばかりがそろってしまったそう。しかし、上位のクルマが次々とリタイヤしていき、優勝を果たしたという奇跡のようなリザルトを残したクルマだ。



普通のクルマよりも乗りやすいことに驚いた!

 装備についてお話を伺っているとラリーカーらしい部分がよくわかったのだが、このWRX S4、運転席に乗り込むと、私が思っていたラリーカーのイメージとはだいぶ異なっていた。たとえば、2ペダルのCVTであること。

もちろんパドルシフトがついているので、マニュアルモードで走行することもできる。確かに2ペダルは便利なのだが、競技車両はMTというイメージがあるのでちょっとビックリ。



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 走り出してみると、想像していたよりもずっと乗り心地が良いことに気がついた。じつは私自身、サーキット仕様のクルマに乗る機会があるのだが、その手のクルマに装着される硬いサスペンションがラリーカーにも使われていると思っていた。だが、実際に乗ってみるとハードなグラベルコースでも衝撃を減らすため、けっこうソフトな仕様になっているようで、思っていたよりも快適。



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 快適装備でいうともうひとつ、スバルの運転支援システムであるアイサイトの機能が残されていたことにも驚いた。

これは国沢さんのこだわり。確かにこの機能があれば、移動区間(リエゾン)で役に立ちそうだ。 



 ラリーカーならではの特徴ともいえるのが、車内で聞こえるさまざまな音だ。車内は後部座席や遮音材を取り除いているため、ロードノイズや試乗時に急に降り出してきた雨の音、何かをひきずっているような音(これはブレーキから泥を落とすためのスクレーパーから発生したものだった)などがよく聞こえた。最初は音にびっくりしてしまったが、ラリーカーとしては当たり前とのこと。じつは何かを壊してしまったのかと思い、少し焦ってしまったが、それを聞いてホッと胸をなでおろした。



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 驚くことに全体的な印象としては、普通のクルマよりも乗りやすかった! 安定感と、どこまでも走っていきたくなるほどの加速感が心地よい。一通りの撮影を終えたあと、1人で「もう少し走ってきます!」とドライブを楽しんでしまうほど。確かに国沢さんのいう通り、日常的にも乗りたくなるクルマという意味がよく理解できた。



 いよいよ8月22日(木)~25日(日)に開催されるラリー・ドイツが目前に迫ってきた。次回はついに国沢さんがドイツで大暴れ! そしてラリー初心者篠田を待ち受けるものとは? 果たして結果は……次回もお楽しみに!