ダウンサイジングはCO2規制への対応策

ダウンサイジングとは、言葉通り、サイズの縮小化だ。その上で、ダウンサイジングターボとは、エンジン排気量を縮小してターボチャージャーによる過給を行う考え方を指す。



欧州で見られるダウンサイジングターボの場合、たとえば2リッターターボを1.5リッターターボにするのではなく、もともとは自然吸気(NA)の2.4リッターエンジンを1.5リッターターボに載せ替える、といったイメージだ。



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なぜ、そんなことをするかというと、CO2規制への対応策である。排気量を減らすことでCO2排出量を一気に下げると共に、排気量を減らしたことで失われた低速から中速のトルクをターボチャージャーで補完するという考え方だ。またエンジンサイズ縮小はクルマ全体の軽量化につながり、燃費と運動性能にプラス効果が期待できる。



では、なぜ欧州でダウンサイジングターボが増えているのかと言えば、欧州CO2規制が世界でもっとも厳しいからだ。



日本ではダウンサイジングよりもハイブリッドに特化

CO2規制、言い換えれば燃費規制であるのだが、欧州、日本、アメリカ、さらに中国やインドなど、各国や各地域によって数年先の達成目標に違いがある。



自動車メーカー各社のエンジン開発責任者がいう。

「欧州CO2規制は2021年目標(95g/km)と厳しいが、今後はさらに急激な厳格化が求められており、その対応はダウンサイジングターボを含めて複数の選択肢を同時進行で進めなければならない」。



現時点(2020年6月)では、欧州CO2規制への対応策として主流なのが、ガソリン車のダウンサイジングターボと、48Vマイルドハイブリッド。また、開発コストがかかるが普及が進んできたのが、PHEV(プラグインハイブリッド車)である。



欧州車では主流のダウンサイジングターボ! 日本車がほとんど採用しないワケ



欧州以外では、ダウンサイジングターボの普及はどうなっているのか? 世界最大の自動車市場、中国では電動化に対する規制が優先するため、ダウンサイジングターボはメジャーではない。



世界第二位の自動車市場、アメリカではトランプ政権になり燃費規制に関する議論が大揺れとなっていて、電動化を含めて次世代車の将来展望が見えない。また、フリーウエイ(高速道路)での移動が多い国柄のため、排気量ダウンはエンジンの高回転化となり燃費改善には向かないことも、ダウンサイジングターボの普及が進まない理由だ。



そして日本だが、なんといっても、世界屈指のハイブリッド大国。燃費改善とCO2排出量削減の観点では当面、ハイブリッド車が優先されるため、ダウンサイジングターボの普及は積極的に進まないだろう。