多くの教習所でセダンベースの教習車が用いられている

今ではすっかり過去のボディタイプとなってしまった感のあるセダン。一部の高級車や輸入車では根強い人気があるものの、5ナンバーサイズ前後のコンパクト~ミドルクラスのセダンはわずかな車種を残してほぼ絶滅してしまったといっても過言ではない。



しかし、そんな現在でもセダンが主流となっているジャンルがあるのをご存じだろうか? ひと昔前まではタクシーもそのジャンルのひとつとなっていたが、現在はJPNタクシーを筆頭としたスペースユーティリティと乗り降りのしやすさを重視したボディタイプになっているので、これは異なる。



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それ以外のセダンといえば、そう、教習車である。



現在でもトヨタからカローラアクシオベースの「トヨタ教習車」や、マツダから海外で販売されているMAZDA2セダン(旧デミオセダン)ベースの「マツダ教習車」がリリースされており、多くの教習所で導入されているのだ。



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教習車として使用するには当然ながらいくつかの条件があり、道路交通法施行規則第24条により「乗車定員5人以上のもっぱら人を運搬する構造の普通自動車で長さが4400mm以上、幅が1690mm以上、軸距が2500mm以上、輪距が1300mm以上のもの」となっている。



ここで勘のいい人ならお気付きだと思うが、この条件は主に乗車定員とボディサイズにのみ名言されていることがわかる。そのため、別にセダンでなくてもこの条件を満たしていれば教習車として採用することに何ら問題はないのである。



なお余談ではあるが、マツダ教習車のベースとなったMAZDA2セダンは全長が4320mmとなっており、長さ4400mm以上の条件に合致しないため、「仮免許練習中」のプレートホルダーを装着して全長を伸ばしている。



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この手法は教習車としては一般的であり、過去にはマツダ・ファミリアや三菱ランサーをベースにした教習車でも輸出仕様の長いバンパーを装着して全長を稼いでいたこともあったのだ。



話が横道に逸れてしまったが、このようにセダンである必要はない教習車であるにもかかわらず、いまだにセダンが教習車として採用されている理由としては、運転のしやすさがある。



教習所に通うユーザーは当然ながら自動車の運転になれていないわけで、そんなドライバーでも極力安心安全に教習してもらうためには、車両感覚や見切りのよいセダンボディが重宝するということになるのだ。