この記事をまとめると
■兄弟車となるトヨタbZ4Xとスバル・ソルテラでは販売方式が異なっている



■トヨタはEVへの不安があるためにサブスク&リースに限定したとも読める



■スバルは消費者と一緒に「安心と愉しさ」を共有しようとしているように見える



似て非なる兄弟車は販売方式も違った

トヨタの本格的な電気自動車第1弾となるbZ4Xは、個人向けにはサブスクリプションのKINTO、法人向けにはリースだけの販売になる。一方、bZ4Xと共同開発されたスバル・ソルテラは、現金一括やクレジット販売などでも購入できる。



スバルはこれまでの新車販売と変わらないが、トヨタの場合はbZ4Xの所有者が個人向けでは株式会社KINTOになる。

つまり、トヨタのEV販売のほうが独特なのだ。



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その理由を、トヨタはバッテリーの劣化やそれに伴う下取り価値の下落に対する消費者の不安をやわらげて永く乗り続けてもらうことが目的だとする。また、EVが処分される段階で容量を残すリチウムイオンバッテリーを回収し、二次利用やリサイクルにつなげるにも、確実な回収を行うにはリース方式がよいと理由づける。それからKINTOであれば、整備代も月額料金に含まれるので、故障などへの心配も減るとしている。



バッテリーの劣化は、たしかにEVの不安要素ではある。しかし、それはスマートフォンやラップトップ型パーソナルコンピューターなど、端末機器も同じだ。

また、使い方によっても寿命は異なる。



トヨタはbZ4Xについて、10年20万kmまたは容量70%を保証するとしており、それが今日のEV用リチウムイオンバッテリーに対する標準的な評価だ。したがって、年間走行距離2万km以上というような人はKINTOの利点を実感するかもしれない。しかし、それ以下の利用であれば、ほぼ心配ないといえる。



兄弟車なのにbZ4Xは「リース&サブスク」ソルテラは「通常販売」! 初の本格EVの販売方法がトヨタとスバルで異なるワケ



バッテリーへの不安が減れば下取り価格も落ち着くだろう。10年ほど前に、初代リーフ初期型の中古車価格が大きく下がったのは、当時のEV用リチウムイオンバッテリーの仕様によるものだ。

この10年間で世界的に改良されている。



EV後の二次利用のためのバッテリー回収も、EVは通信によってすべて把握されているので、基本的には追跡できる仕組みだ。ただし、メーカーにとってリースのほうが容易に回収できる利点はあるかもしれない。



EVのほうが整備や故障の頻度は少なそうだが……

そもそもEVは、整備や故障の少ないクルマだ。エンジンオイル交換はない。回生を活かした減速を適正に使えばブレーキパッドの減りも少ない。

法定点検以外に保守管理で多額の費用がかかることは稀なはずだ。つまり、EVを現金やクレジットで販売しても、消費者はほとんど不安なく利用できるということだ。



逆にトヨタは、約10年遅れではじめてEVを販売するので、自分たちや販売店が不安だからサブスクリプションやリースに限定すると読めなくもない。前田昌彦副社長の「日本の充電網は未成熟」の言葉が象徴しているのではないか。



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一方で、定額利用というサブスクリプションは、音楽配信やスポーツクラブなどの利用で多くの人が気楽に楽しめる恩恵を提供している。時代に合った方法として、EVのみならずクルマ全般に行き渡ってもいい仕組みだ。

現金一括でもクレジットでも、そしてサブスクリプションでもEVに乗れますと、単純にいえば済むことだ。



スバル・ソルテラは、月販150台の計画だが、企業の旗頭としている「安心と愉しさ」をEVでも実現しようと、消費者とともに着実に進めていこうとする思いが、購入方法に制約をつけない販売とした理由ではないか。新しいことへの挑戦には不安が伴う。



しかし、その痛みは企業と消費者と一緒に解決していこうとする姿勢は、まさに「安心と愉しさ」を共有しようというスバルの真心ではないか。



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太陽を意味するラテン語のソル、大地を意味するテラを組み合わせたソルテラという車名には、明るい未来を想像させる希望が読みとれる。