この記事をまとめると
トヨタの「GR」ブランドについて解説



■「GR」はGAZOO Racingの略称



■「GRスポーツ」「GR」「GRMN」の3つが存在



GAZOOはもともと通信ビジネスの名称だった

トヨタの“GRスープラ”に6速MTが追加されたり、GRカローラの登場が予告されていたりする。電動化時代にもエンジンの鼓動を愛するトヨタのスポーツ路線は揺らぐことないという印象だ。



さて、「GR」がGAZOO Racingの略称だというのは、ご存じのことだろうが、そもそもGAZOOとは何を意味しているのか知っているだろうか。



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GAZOOというのは、現在の豊田章男社長が、まだ中堅時代に展開した通信ビジネスの名称だった。名前の由来は「画像(GAZOO)」で、ディーラーの端末で中古車情報が画像付きで検索できるというサービスがはじまりだ(1997年)。



その後、自動車関連の総合eコマースサイトとしてGAZOO.comを展開(1998年)するなど、当初はレーシングとは無関係なものだった。



そのGAZOOがモータースポーツと関わるきっかけとなったのが、豊田章男氏(当時は副社長)がお忍びでニュルブルクリンク24時間レースに出場したとき。豊田章男氏がモリゾウという名前としたように表立ってトヨタをアピールできない状況だったこともあり、参戦チームはGAZOO.comが母体というカタチをとらざるを得なかった。



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その後、2009年にはニュルブルクリンク耐久レースへGAZOO Racingとして参戦するようになり、2016年にはトヨタのワークス活動全体がTOYOTA GAZOO Racing(TGR)という名称で統一されるようになったというのが、おおまかな経緯だ。



その後2017年11月には市販車に「GR」ブランドが展開されることが発表された。トヨタのなかでスポーツカーを専門に開発するGRカンパニーが立ち上がり、クルマの仕様によって3つのヒエラルキーに分類するとされた。



それが「GRスポーツ」「GR」「GRMN」の3つだ。



当初のヒエラルキーとは意味合いが変わってきている

当初の基準では、「GRスポーツ」はトヨタの量産モデルを基本にエアロパーツやサスペンションでスポーティに仕上げたスポーツコンバージョンモデル。



「GR」はGRスポーツの基準にドライブトレイン(トランスミッションのギヤ比やLSDなど)まで手を入れた、よりスポーツ度の高いモデル。



そして「GRMN」はエンジンまで手を入れた純度の高いモデルで、台数限定を基本とした究極のスポーツカーとされていた。



ただし、現在では少々変わってきた。GRスポーツが、スポーツコンバージョン仕様であることは当初からそのままだが、「GR」については実質的にGRカンパニーが企画したスポーツカーに使われる名称となっている。つまり「GRスープラ」、「GR 86」、「GRヤリス」といった量産スポーツカーがGRに分類されるというわけだ。



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現時点では「GRMN」を冠しているのはGRNMヤリスのみ。GRカンパニーの企画したスポーツカーを究極的にバージョンアップした仕様に与えられるといえる。



その内容は、最高出力こそGRヤリスと同じ200kWだが、最大トルクは390Nm(ベース車は370Nm)まで引き上げられ、クロスミッション、機械式LSDなど駆動系も強化された仕様となっている。



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余談ながら、GRMNヤリスはマーケティング名称であり、届出等に関わる名称は、GRヤリス GRMNとなっていることは豆知識として覚えておきたい。



「GRMN」は“GAZOO Racing Meister of Nürburgring”を縮めたもの。GAZOO Racingの原点であるニュルブルクリンク耐久レースで鍛え抜かれた開発陣の心意気を感じさせる。最新のGRMNヤリスについては、TGRレーシングドライバーである大嶋和也選手、石浦宏明選手、勝田範彦選手、佐々木雅弘選手、そしてマスタードライバーであるモリゾウ選手によって鍛え上げられたということだ。

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