異常加熱 “ヒアリパニック”に踊らされるな! 「蟻は蟻でしかない」市販薬で死滅

 「殺人アリ」と呼ばれるヒアリ。漢字では「火蟻」書く。その名の通り、刺されると火の粉をかけられたような熱さに似た激しい痛みを感じる毒アリだ。

 環境省は7月7日、100匹を超える南米原産の強毒のヒアリが、東京港の大井埠頭(品川区)のコンテナ内で見つかったと発表した。いずれも働きアリとみられ、その場で殺虫剤をかけて駆除したという。
 「コンテナは中国と香港を経由し、6月27日に大井埠頭で陸揚げされ、30日には千葉県君津市に陸送、中身が取り出されたという。コンテナが大井埠頭に返却された後、7月3日の時点で点検していた作業員が1匹を見つけており、“ついに東京にも上陸した”となったのです」(社会部記者)

 日本国内で最初にヒアリが発見されたのは5月26日。兵庫県尼崎市で、やはり貨物船のコンテナ内だった。さらに神戸市、愛知県弥富市、大阪市でも相次いで発見され、大阪市では女王アリと見られるものも確認されたことから、大量繁殖の可能性も出たために国も本格的な対策に乗り出した。

 まさに“ハチの巣を突いたような”騒ぎとなっているが、「これではまるで“ヒアリパニック”ですね」と言うのは、ノンフィクションライターの窪田順生氏だ。
 「ヒアリは日本中に急速に拡大したということではなく、ここ数年でじわじわ広がったのでしょう。中国の検疫がザルになったというべきか、このような危なっかしいアリが入ってきた。しかし考えてみれば、日本には刺されると死亡することがあるスズメバチもいますからね」

 ヒアリに刺されると激痛が走り、刺された箇所が赤く腫れ上がる。さらに、1度に何度も刺すため、同じような場所に複数の腫れができることもあるという。
 「毒に含まれる成分に対して人体がアレルギー反応を起こしたり、時にアナフィラキシーショックを起こし、適切な処置をしなければ死に至る場合もある。これはハチに刺された時も同様です」(医療ライター)

 環境省が公開している「ヒアリの簡易的な見分け方」は、(1)全体が黒色であればヒアリではない。(2)全体が赤茶色でも腹部が黒っぽい赤色でなければヒアリではない。(3)全体が赤茶色で腹部が黒っぽい赤色という特徴が一致しても、なおヒアリとは限らない。と解説している。

 ちなみに、アメリカ全土でヒアリに刺される人は年間約1400万人で、毎年100人程度が死亡。一方、日本でスズメバチに刺され死亡する人は年間約20人いる。
 「報道では『殺人アリ』と呼び、ヒアリが虫などに群がって食べ尽くす映像と重ねて日本地図が出てくる。もっと冷静にできないものかと思ってしまいます」(前出・窪田氏)

 かつて日本で発見され“殺人グモ”と騒ぎになったセアカゴケグモは、すでに41都道府県で生息が確認されているという。専門家筋は「外来生物の侵入を水際で完全に食い止めるのは現実的に無理だろう」との見識を明らかにしている。外来種と言っても、蟻は蟻なので、市販の殺虫剤で普通に死滅させることができる。とにかく、ヒステリックなパニックがさらなるパニックを呼ばないように冷静に対応することが肝心だ。

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2017年7月20日の社会記事

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