どうして行政や周囲の大人は小さな命を救えなかったのか、やりきれない。東京都目黒区のマンションで両親の虐待により5歳女児が死亡した事件で、警視庁は6月8日、父親の船戸雄大容疑者(33)と、母親の優里容疑者(25)を、保護責任者遺棄致死の疑いで送検した。
「長女の結愛ちゃんの死亡が搬送先の病院で確認されたのが、今年3月2日。頭部や目の周囲に打撲痕があり脳内出血も確認され、死因は低栄養状態や免疫力低下で引き起こされた肺炎による敗血症。明らかに虐待死でした。体重も平均で20キロのところを12キロしかない状態だったのです」(社会部記者)
これにより翌日、すでに雄大容疑者は傷害容疑で逮捕、起訴されている。
「夫婦はもともと、香川県善通寺市に住んでおり、一昨年12月には自宅近辺で唇から血を流し歩いている結愛ちゃんが保護され、いったんは児童相談所が保護していた。さらに昨年3月の寒い中、屋外に放置されている結愛ちゃんをパトロール中の警官が発見。この時も結愛ちゃんは、児童相談所が一定期間保護していたのです」(同)
優里容疑者は前夫との間に結愛ちゃんをもうけ、'15年に離婚。'16年4月に結愛ちゃんを連れ雄大容疑者と結婚した。そこへ'16年9月、夫婦の間に長男が生まれ、結愛ちゃんへの雄大容疑者の虐待が始まったとされる。
「雄大容疑者は香川県内にある大手冷凍食品会社に勤めシステム関係を担当し、リーダー的な存在だったという。周辺関係者によれば、当時は『家事を分担して妻を助けていかないと』などと、よく嬉しそうに家庭について話していたそうですが、実際はその裏で、娘への虐待を繰り返していた。事件を知った同僚たちは、雄大容疑者の二面性に驚いていたほどです」(地元記者)
そうした香川での生活で、3度目の児童相談所の介入が近いことを察した雄大容疑者は、とんでもない行動に出る。
「他の土地への逃走を思いつき、今年1月に一家で目黒のマンションへ引っ越したのです。香川の施設から引き継いだ都の品川児童相談所も家庭を訪問したが、優里容疑者に頑なに拒まれたといいます」(児童相談所関係者)
香川では保護された際、2度とも傷害容疑で送検されたが、起訴までには至らなかった。こうした流れが、結果的に最悪の事態を招いたのだ。
生まれてから5年間、苦しさしか知らなかったであろう、結愛ちゃんが哀れだ。
トピックス
もっと読む
-
結愛ちゃん虐待死事件「私は鬼母…」弁護士明かす実母の懺悔
「懲役8年は大変重い刑です。結愛ちゃんは戻ってきませんが、こうなってしまったことを裁判が終わってからもしっかり考えてください。人生をやり直してください」 裁判長からの説諭に、スーツ姿の船戸優...
-
<目黒女児虐待死事件から考える>児童相談所さえしっかりすれば虐待死はなくなるのか
どうしたら虐待死をなくせるのかーー。(写真はイメージ)「もうおねがいゆるしてゆるしてくださいおねがいします」香川県善通寺市から東京都目黒区に転居して、今年3月に児童虐待で亡くなったとされる5歳の船戸結...
-
大阪3歳児ポリ袋虐待殺人 年下男にハマった美人母の“鬼行”(2)
雫ちゃんが通っていた近所の保育所は、“田中一家”の印象を「ごく普通の家庭。男の方も子煩悩な人で、よく送り迎えしてはりました」と話す。加えて、マンション近隣でも、家族3人での散歩姿が目撃されている。「“...
「事件」に関する記事
-
「母さん、コロナに感染した」新手のオレオレ詐欺にご用心
「昨年のマスク不足の時期は『お金を払ったのに通販で注文したマスクが届かない』という相談がありました。ここ最近は、血中酸素飽和度を計測するパルスオキシメーターが、『届かない』『頼んでもいないのに送りつけ...
-
「ワクチンを無駄にしないため預り金を」コロナ詐欺最新手口
新型コロナウイルスがもたらした大きな不安。詐欺師たちがその不安につけこもうとしているのだ。敵の手口を知れば、防ぎ方が見えてくる。最新のコロナ詐欺手口ーー。 「昨年のマスク不足の時期は『お金を...
-
殺人容疑、89歳妻逮捕=包丁で夫切り付け―熊本
熊本県南関町の民家で住人の男性(92)が殺害された事件で、県警玉名署は4日、殺人容疑で、同居していた無職の妻(89)を逮捕した。同署によると、「覚えていません」と供述しているという。逮捕容疑は昨年12...
次に読みたい「事件」の記事
-
「井の頭公園バラバラ殺人」事件は“人違い殺人”だった【後編】
1994年4月に発生し、多くの謎を残したまま2009年に公訴時効となった「井の頭公園バラバラ殺人事件」。4月で事件から21年、時効から6年が経つことになる。この事件は、発生当時から謎が多く、未解決事件...
-
連休の各地でわいせつ事件相次ぐ 花火大会や路上で起きた事件の内容は…
(MachineHeadz/iStock/GettyImagesPlus/写真はイメージです)花火大会の季節が到来したが、その楽しい時間に卑劣な事件が起きた。わいせつ事件が相次いだ連休初日、その詳細を...
-
買収事件「妻とは共謀していない」 河井克行容疑者
去年の参議院選挙を巡る買収事件で、河井克行容疑者(57)が東京地検特捜部の調べに対し、「妻とは共謀していない」などと供述していることが分かりました。前の法務大臣・河井克行容疑者と妻の案里容疑者(46)...