世界で繰り広げられる“少数派の権利”の暴走

 同性、両性を愛する人、違う性で生きたいと願う人…。レスビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとったLGBTという言葉は近年、広く知られるようになった。

 去る6月のこと。米国で『マスターピース・ケーキショップ対コロラド州公民権委員会』という「同性愛者の権利か」「信仰の自由か」で争われた裁判の判決が下さた。事件の経緯はこうだ。

 「米コロラド州で同性婚の男性カップルが結婚式用のケーキを注文したのですが、洋菓子店の店主が『自身の宗教的信念から作れない』と断ったのです。そこで同性婚カップルが、『同性婚者への不当な差別だ』と訴えました。州公民権委員会は『性的指向を理由とする差別を禁じた州法に違反する』として是正命令を出しましたが、米連邦最高裁判所は『店主の信教の自由の権利も尊重しなければならない』と指摘し、店主側の主張を支持する判決を下したのです」(在米日本人ジャーナリスト)

 ちなみに米国では2015年、全州で同性婚が公認されている。同性婚カップルから見れば、洋菓子店の注文拒否は明らかにそれに違反しているとして訴えたわけだ。

 米連邦最高裁判所は今回の裁判で「信仰の理由から買い手の要望を断る理由は店主にもある」と指摘し、店主側の勝訴を言い渡した。ただし「信教の自由」と「同性婚の権利」との関わりについては言及を避けている。

「差別は違法」という観点から見れば、同性婚者は社会では少数派だから権利は守られるべきだという声は当然だろう。しかし一方で、弱者の権利を重視するあまり、多数派の当然の権利を無視する傾向が見られ出したことに声を上げる人々もいる。

 「豪州のある医者が難民の診療を断りました。それが『困窮者を追い出すとは』とメディアに報道されるとバッシングが始まり、難民は正式の健康証明書を所持しておらず、治療費も払えない状況だったとの医師の反論は聞き入れられず、結局、病院の移転を余儀なくされたのです」(在豪州商社マン)

 日本でも旅行者が治療費を踏み倒すケースが頻発している。多数派は「差別だ」の前に“なす術”がない場合もあるようだ。

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2018年11月17日の社会記事

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