本好きのリビドー(238)

本好きのリビドー(238)
(提供:週刊実話)

◎快楽の1冊
『ご笑納下さい―私だけが知っている金言・笑言・名言録』高田文夫 新潮文庫 630円(本体価格)

★オールスターが放った「貴重なお言葉」集
 世間では揶揄的なニュアンスで呼ばれることの多い俗にいう“一発屋”芸人だが、実はとんでもない話。一発すらも当てられずに消えてゆくか、いつまでも、ただしがみついている者があまたのこの世界で、たとえ一瞬だけ、どんなワンフレーズのみでも、世を席巻した代表作を残したもの勝ちというべきだろう。しかし、残念ながら宿命的に、彼らの持ちギャグや決め台詞のほとんどは文字にすると致命的に台なしになるのは否めない。

 「フォー!」「グー!」「ルネッサーンス!」「ワイルドだろぉ?」「ラッスンゴレライ」…次々に書き連ねるだけで思わず眼前に無限の荒野が広がるが、その点、笑芸界最強の目利きにして御意見番たる著者の“神の手”に厳選吟味されたキラーフレーズに溢れた本書。格が違う。

 往年の名シリーズ、戸板康二の「ちょっといい話」、あるいは永六輔「無名人名語録」の系譜を受け継ぐそのお笑い版として、どのページをめくっても傑作揃いだが、発言の主にしてからが、志ん生・森繁・談志・たけしと並ぶ超弩級の大物たちはもちろん、三宅裕司夫人(スーパー天然で有名だとか。病院に来て集中治療室〔ICU〕に行くのに「CIAはどこですか?」と尋ねたり、旅先のホテルのフロントに「お宅のベッドインは何時なの?」など武勇伝無数)のような一般人に至るまで実に多士済々だ。

 よく釣り好きの口にする“へらぶなに始まりへらぶなに終わる”の格言ではないが、つくづく年を重ねるほど味わいの増すのが駄洒落。不朽の名作「むかうところ手品師」「猪木あっての物真似」を生んだ高田文夫氏の眼はぬかりなく現代を活きる言葉の端々にも配られて、爆笑の閻魔帳としてのみならず資料性も大。
(黒椿椿十郎/文芸評論家)

【昇天の1冊】
 絶えることのない戦争や紛争と、それを報道する戦場ジャーナリストたちのルポ。だが、伝わってくる情報はほんの一部にすぎないことを思い知らされるのが、『娼婦たちは見たイラク、ネパール、中国、韓国』(KADOKAWA)である。

 第1章がイラク。イラク戦争下、アメリカ軍がかの国へ進軍した際、バグダッドでは兵士と娼婦たちの性交渉が日常的に横行した。娼婦たちはイラクの女性を始めフィリピン人、「ガジャル」と呼ばれるロマ族の女たちと、ここでも“多国籍”だ。

 娼婦と米兵は、何の抵抗もなく装甲車の中で行為に及ぶこともあるらしい。イラク人の間ではこんなことがささやかれていた。「アメリカがイラクにもたらしたものは民主主義ではなくポルノ」。

 第2章はネパール。ここではかつて政府軍と反政府組織の間で戦闘が繰り返された。戦場カメラマンは「デウキ」と呼ばれる女に出会う。デウキとはネパールの最下層の女たち。“寺に捧げられた”という名目でカラダを売っている。

 ネパールにはカースト制が残っている。娼婦たちは、この制度によって差別された者たちだ。

 「小姐」(チヤオチエ)という娼婦がいる中国、韓国の米軍基地に実在する「洋公主」(慰安婦)が第3章、4章に登場する。いずれも社会の底辺で生きる人々だ。彼女たちから見た「戦争」とは、「兵士」とは、また「世界」「平和」とは一体何なのかを、著者の八木澤高明氏が提起する、読み応えある1冊だ。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)

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