本好きのリビドー

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(提供:週刊実話)
       

悦楽の1冊『『どこからお話ししましょうか 柳家小三治自伝』 柳家小三治 岩波書店 1500円(本体価格)

80歳を迎えてすべてを語り下ろす

 昨年から“令和の新シリーズ”と銘打って続々とリリースされた、柳家小三治の朝日名人会での高座を収めたCDの録音がなにしろ素晴らしい。
 特に絶品なのがまくら(野暮を承知で説明すれば、噺家が落語の本題に入る前に、客席の空気をほぐすために語るいわばプロローグ的な雑談の部分)で延々と40分近く、仲間(とはいえそのメンバーは小沢昭一永六輔加藤武桂米朝と錚々たる顔ぶれ)と長く続けた句会で出たお題“桜餅”をめぐって俳句の面白味を、絶妙な匙加減で脱力気味にたっぷり聞かせておいて、いきなり「植木屋さん、ご精が出ますな」…と居合抜きの一閃のごとく、鮮かな導入で始まる『青菜』と『鰻の幇間』を収録した1枚。前者は幾度聴いても惚れぼれする、まさに名人芸の呼吸だ。
 そのものずばり、「ま・く・ら」というタイトルで講談社文庫刊のトーク集も、各編がそれぞれ短編小説のような味わいと定評の高い著者だが、今回のシリーズにはそのまくらだけをCD化した『あの人とっても困るのよ』と『人形町末広の思い出』も含まれて、これが嬉しい(駐車場に居ついてしまったホームレスとなぜか友達になってしまう『駐車場物語』や、ひたすら子供の頃の食べ物を熱く語る『玉子かけ御飯』も往年の名作ゆえ併せてぜひお試しを)。本書はその小三治師、初の自伝として音源とセットで揃えておきたいお薦めの1冊。
 師、五代目小さんはじめ多くの巨匠たちの回想、そしてここでは名を伏せるがかなり踏み込んだ表現で同業の人物への好悪もはっきり窺えて興味深い。なかで「弟子たち」の章で触れているのが、ほとんど4年前にまだ60代で急逝した柳家喜多八だけなのにより切なさが深まる。
_(黒椿椿十郎/文芸評論家)

【昇天の1冊】

「遠きを知りて近きを知らず」ということわざがある。他人のことは分かるのに、自分のことを実はよく分かっていないという意味だ。

 出身地や居住地についても同じだろう。自分が住む(または生まれた)都道府県の歴史や地理、つまり、どのようにして成り立ったのか、その過程について、地元民は意外と知らない。

 そこで読んでおきたいのが、『47都道府県の歴史と地理がわかる事典』(幻冬舎/1000円+税)。現在の都道府県は昭和22年の地方自治法によって定められた行政区分だが、かつては県名ではなく国名で呼ばれ、東京・埼玉などは「武蔵」、関西でいえば大阪は「河内」「和泉」(一部は「摂津」)など、旧国名で分けられていた。そして、各地には1000年以上の歴史と、地理的な要因からくる独自の風土があった。それ抜きに現在の姿は語れないといっていい。

 例えば、森林率が日本一高い(84%)県は? ―高知県。どこか骨太な県民性は、自然が豊かという地理的特徴が影響しているらしい。

 面積が7777㎢、ラッキー7が4つ並ぶ縁起のいい県は? ―静岡県。広いだけに、もともと「伊豆」「駿河」「遠江」の3つの国に分かれていた。このため、同じ県民でも性格が微妙に異なるなど、知れば知るほど自分の住む場所への理解が深まり、かつ愛おしく感じてくるだろう。

 日本の国土は狭い。いや、たとえ狭くても、都道府県によって歴史は千差万別なのだ。日本は興味深い国であると、改めて実感できる1冊。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)

【話題の1冊】著者インタビュー 戸田真琴
あなたの孤独は美しい 竹書房 1,500円(本体価格)

孤独の中で生きぬく術を_一緒に考えたい


――処女のままAVに出演したそうですね。始めた動機は何だったのですか?
戸田 これまで受けたインタビューなどでは「凝り固まった自分の価値観を変えたい」「知らない世界を知りたい」など、一部を省略して答えてきました。しかし、育った家庭や周りの環境に起因するもの、自分自身の理想や貞操観念へのこだわりなど、実際はもっとずっとたくさんの細かい理由があります。本書には、これまでで一番多くの理由を書いていますので、詳しくは本を読んでいただけるとうれしいです。

――実際に経験したAV業界は自分にとってどんな世界でしたか?
戸田 思いのほか、というと失礼かもしれませんが、入る前に抱いていたイメージよりもすごく真面目でちゃんとした世界だと思いました。前知識なく、紹介やスカウトでもなくHPから応募して面接に行ったので、住む世界が違う感じの方がたくさん出てくるようなイメージでしたが、今日まで怖い思いや悲しい思いをすることなくやって来られています(笑)。いい作品を作ろう、売ろうという気概に満ちた方に会うたびに、自分自身もやる気が満ちるのを感じましたね。
 デビュー当時にメーカーの広報担当さんに熱い思いでサポートしていただいた話や、これまでで一番大変だった撮影時の話なども、この本を構成する上で大事なエピソードとなりました。

――孤独を愛する姿勢が伝わってきますね。戸田さんにとって“ぼっち”とは?
戸田 “ぼっち”という言葉には大きく二通りの意味があると思っています。一つはクラスや会社で友達がいない、1人行動を余儀なくされるなどの『身体的ぼっち』。もう一つが、周りに人がいてもどこか心の奥が満たされない、友達といてもどこか孤独感を感じるなどの『精神的ぼっち』です。
 この本では身体的なぼっちだけでなく、心の底にある孤独感のようなものについても言及しています。助け合おう、支え合おうという精神性が美しいとされる社会の中では、孤独というものは寂しいもの、人間として何かが不足している状態であるかのように思われます。しかし、孤独とは皆が当たり前に持っているもので、それを認めてあげることが、自分自身を愛するきっかけになるのだと思っています。
 孤独は磨き上げると「孤高」になり、それはその人自身のかけがえのない「魅力」になります。透き通るような孤独の中で、自分自身を生きぬく術を一緒に考えたい、という願いを込めた本になりました。
(聞き手/程原ケン)

戸田真琴(とだ・まこと)
AV女優。2016年、処女のままSODクリエイトよりデビュー。’19年、スカパー!アダルト放送大賞女優賞受賞。趣味の映画鑑賞をベースに各媒体にコラムを寄せるほか、自身も処女映画監督として処女作を撮影中。

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