東芝&シャープ投資マネー2000億超の不安 アップル液晶商法の甘い勧誘(2)

 アップルの都合で計画の途中変更を迫られる場面も予想される。それどころか「シャープの場合はソニーとの悪夢再現となろうものなら目が当てられない。お家騒動体質に火がつきかねません」と市場筋が顔を曇らせる。
 「ソニーはテレビ用液晶パネルを生産しているシャープ堺工場(大阪府)の共同出資会社に現在7%出資している。これを'11年4月末までに34%へ引き上げる予定だったのですが、テレビ事業で赤字が続いているソニーは、価格の安い台湾からの調達量を大幅に増やすことに急きょ転換した。シャープにとっては踏んだり蹴ったりで、内部にはソニーへの反発が渦巻いています」

 そんな中、アップルが持ちかけた美味しい商談にパクッと飛びついた図式といえば話が早い。もし、これで生産ラインが動き出した段階でアップルが「安い台湾メーカーから調達する」と言い出せば、シャープは天下に醜態を晒し笑いものになるのは自ずと明らかだ。
 その点、東芝にはアップルとのタッグに“一日の長”がある。東芝は'09年暮、フラッシュメモリーを生産する四日市工場(三重県四日市市)の能力を増強した際、投資額1500億円のうち500億円をアップルからの前金で賄っている。当然、出資に見合った見返りを期待してのことで、今回の液晶新工場にしても「工場の施設整備は東芝、製造ラインはアップルが保有するなど、かなり突っ込んだ交渉が続いている」(情報筋)模様だ。

 言い換えれば、スマートフォンの世界制覇に向け野心を顕わにしたアップルは、以前にも増し、製品の安定供給に意欲を燃やしていることになる。従って途中でアッサリ放り出すなどの“浮気”は考えにくいが、このことは巨額の資金を投入して生産ラインを建設するシャープや東芝の「下請け化」に直結しかねない。そのこと自体、両社ともある程度は了承済みだろうが、こんな穿った見方もある。
 「この円高基調が続く中、アップルが未来永劫にわたってシャープや東芝から調達する保証はない。それこそ途中で方針を転換し、両社から吸収したノウハウを台湾や韓国メーカーに注入しないとも限りません。金だけはタップリあるアップルにとって、1000億円程度の出費で高度な技術を余すところなく入手し、第三国で活用できるならば安い買い物かも知れません」(業界関係者)

 アップルが韓国の液晶パネルメーカーにラブコールを送らなかったのは「韓国勢がスマートフォンを手がけており、ライバルとして手強いと映ったから」(経済記者)と一般に理解されている。しかし、シャープにしてもスマートフォンで「2、3年以内に年間の国内販売500万台」のアドバルーンを掲げており、アップルのライバルであることにはかわらない。それだけにアップルが持ちかけた、いささか美味し過ぎる商談について市場関係者は「秘めた魂胆がなければいいのだが」と胸の内を披瀝する。

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