まるで難破船のネズミ 電気メーカーの苛烈リストラは技術流出を顧みない麻薬だ(1)

 経営不振にあえぐ半導体大手、ルネサスエレクトロニクスが9月に行った早期退職者募集に、会社の予想を約2000人上回る7511人が名乗り出た。市場関係者は「まるで難破船から逃げ出すネズミの群れ」と首をすくめる。
 同社は日立製作所、三菱電機、NECの半導体部門が寄り集まって発足した会社。自動車制御用のマイコンでは世界シェア4割を誇るが、慢性的な赤字体質に陥ったことから、政府系ファンドの産業革新機構を中心にトヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、パナソニックなどが総額1000億円超を出資して再生させるシナリオが進行中。一方、この官民を挙げた『日の丸再生プロジェクト』に対抗すべく、米国の投資ファンド、コールバーグ・クラビス・ロバーツが買収に意欲を燃やしている。業績はともかく、大胆なリストラで贅肉を削れば再生の可能性があり、将来的にボロ儲けが見込めるとのハゲタカ一流の見立てである。

 そんな青い目、黒い目による水面下の攻防戦が展開されている折も折、会社の内情を知り尽くした幹部社員までもが“集団脱走”し、10月末で一斉に退職する。営業や生産現場の混乱が予想されるが、会社は「事業活動に大きな影響はない」と強調。難破船のネズミは「想定内」というのだ。
 「赤尾泰社長は工場の閉鎖・売却と人員削減を至上課題に挙げており、早期退職に当たっては、応募が計画に達しなければ整理解雇を検討すると脅しをかけた。その場合、割増退職金はもらえない。しかも、日立出身の赤尾社長はNECや三菱電機出身に冷たかった。会社は出身ごとの募集者数を発表していませんが、NEC出身が突出しているはずです。工場の閉鎖・売却にしても主なターゲットは旧NEC系で、これが難破船ネズミの真相。官民支援や青い目ファンドの傘下に入れば丸裸で放り出されかねないとの警戒心もある。その点、割増退職金は魅力でしょう」(ルネサス関係者)

 ルネサスの親会社にしても「生半可なことでは再生がおぼつかないのを承知している反面、下手に介入すれば抱き合い心中を余儀なくされるとして完全に腰が引けている」(情報筋)。だからこそ政府が「日の丸半導体は潰せない」と延命に汲々としているのだが、それをいいことに派閥力学にアグラをかいた赤尾社長がつかの間の宴にウツツを抜かしているのだ。
 問題は会社と永別し、外に飛び出す社員の今後である。ルネサスだけではない。バブル崩壊を機に、日本の有力企業は競うようにしてリストラの名を借りた大胆な人減らし策に打って出た。会社は“人材”を踏み台に生き長らえるにせよ、希望退職に応じた社員のその後はほとんど知られていない。

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