まるで難破船のネズミ 電気メーカーの苛烈リストラは技術流出を顧みない麻薬だ(2)

 例えばパナソニック。同社は創業者である松下幸之助氏の強い意向もあって日本的な家族主義を標榜し、長らく人員削減には慎重だった。ところが2000年に中村邦夫社長(現相談役)が唱えた“聖域なき改革”を機に次々とリストラを断行、遂にこの秋には“最後の聖域”本社人員の大幅削減に着手した。同社の本社には企画部門を中心に総勢7000人のスタッフがいた。これを10分の1以下に削減するという荒技だ。
 「それでなくてもテレビなどの不振事業で大幅に人員を削減しているし、三洋電機の白物家電事業を中国のハイアールに売却したことで、わずか1年間に3万6000人がパナソニックを去った。そこへ本社リストラの追い打ちだからハンパじゃない」(経済記者)

 一方、台湾の鴻海精密工業を“駆け込み寺”にしたものの、出資比率を巡って攻防戦が続いているシャープは8月2日、今年度中に国内を中心に5000人の希望退職者を募集すると発表した。同社が希望退職を募集するのは昭和25年以来のこと。もはや背に腹は代えられなくなった何よりの証拠で、記者会見した奥田隆司社長は「経営者として断腸の思い」と語った。
 さらに、40歳以上で勤続5年以上の社員全員を対象に、7月に希望退職を募集したNECでは、9月末に2393人が一斉に退職した。今年に入って同社は、経営再建策としてグループを含め総勢5000人の削減を打ち出しており、7月に行った希望退職はその一環だった。これでまたゾロ同社の経営に暗雲が立ち込めるようだと、再び人減らしの“誘惑”に突き動かされかねない。

 日本を襲うリストラの大嵐を巡っては、笑うに笑えない話もある。外資、とりわけ韓国企業が優秀な技術者を一本釣りしているのだ。
 「サムスン電子は、ソニー、パナソニックなどの優秀な技術者に対し、年収の10倍保証や専属秘書、運転手付きの車支給などの好条件を提示して誘いをかける。3年とか5年など契約期間はありますが、日本への帰省費用や会社の家賃負担などのエサをまかれればグラッとくる者が出ても不思議じゃない」(前出の記者)

 ソニーがサムスンと合弁事業を始めた際、通産省(当時)は「日本の最先端技術が流出する」と難色を示したが、ソニーは押し切った。これぞ日本の電機メーカーが束になってもサムスンに対抗できないルーツである。
 ご多分に漏れず、ソニーも年内に1万人の人員削減に踏み切る。4月に就任した平井一夫社長は大胆な事業再編に着手、同社の本流である「エレクトロニクス復活」への布石を怠らないが、同社ウオッチャーは冷ややかだ。
 「かつてソニー技術者の中でも世渡りがうまい面々は週末になると韓国に飛び、高額なアルバイト料を稼いでいた。ソニー地盤沈下の要因は明らかなのです」

 日の丸企業が恥も外聞もない人減らしに邁進すればするほど、回りまわって自分の首を絞める。実に皮肉なリストラ狂想曲である。

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