それを象徴するのは、米アマゾンが11月中旬から日本で販売を始めたタブレット端末『Kindle Fire』(以下・キンドル)だ。
「『キンドル』が、アップル社のiPadなどと決定的に違うのは、世界最大のネット通販会社であるアマゾンが開発・販売しているという点です。当然、他のタブレット端末よりネット通販が使いやすくなっていますから、家電量販店にとっては『キンドル』そのものが“ライバル店舗”といっても過言じゃないわけです」(経済記者)
そもそもアマゾンは、ネット通販で家電も扱っている。しかも、その圧倒的な資金力にモノをいわせて、メーカーの卸値をも下回るほどの価格攻勢を仕掛けているのだ。実店舗で勝負する家電量販店側は、「このままではアマゾンにつぶされる」と悲鳴を上げている状況なのに、自分たちの店舗でも『キンドル』を取り扱わざるを得ないという。
「現実に店頭に『キャンドル』を陳列するかどうかはともかく、話題の商品がなければユーザーの目には“時代遅れ”と映る。だから渋々置いているのが実情です。それどころかヨドバシカメラは、商品の横に貼り付けたバーコードをスマホで読み取ることでアマゾン価格がわかるようにしており、アマゾンに対応した価格での販売をセールスポイントにしている。これではヤマダ電機などのライバルが、価格競争に追随せざるを得なくなる。家電メーカーとしても、アマゾンが仕掛けた価格破壊競争と心中を迫られるのだから、たまったものじゃない」(同)
これまでのネット通販はさほど世間の注目を集めることもなく、価格破壊力としてはイマイチだった。ところがアマゾンの鳴り物入りでの参入を機に量販店が価格競争に巻き込まれたことから、事情は一変した。
「そこで、公取委が『いよいよ我々の出番』とばかり、しゃしゃり出てきたわけです」(家電量販店OB)
かねて家電量販店は、卸値よりも安く売る不当廉売などの問題で公取委から何度も警告を受けてきた。ところがアマゾンに代表されるネット通販は、店舗を構える量販店と違って具体的な形で目に見えず、独禁法に抵触するかどうかの判断がしにくいことから警告の対象になっていない。これでは家電量販店が「ネット通販は我々を追い詰めるほど価格破壊にのめり込んでいる。それなのに警告の対象外というのは不公平だ」と不満を募らせて当たり前。家電量販店OBが続ける。
「公取委の担当者が記者会見でヤマダに異例の条件をつけた際、『前例になる』と口にした。その真意は『今後、厳しく運用する。従ってネット通販は独禁法の対象に組み込む』との意思表示と理解する向きが少なくない。もしそうならば、家電量販店各社は拍手喝采を送るに違いありません」
公取委が繰り出す“次の一手”が、俄然注目される。
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