良書の『ランダムハウス社』破産の波紋 表面化した出版界の“負のスパイラル”

 米環境問題への警告書など、良書を出版してきたことで知られる武田ランダムハウスジャパンが、昨年12月12日に東京地裁へ自己破産を申請。破産手続き開始決定を受けた。徐々にその波紋が広がっている。
 直接的な原因は、単行本不況がある。だが、破産の引き金となったのは'11年7月に出版した『アインシュタイン その生涯と宇宙』のコンピューター・ソフトによる翻訳ミス。回収と修正作業などのロスが発生した結果、収益を圧迫したのだ。

 同社は'03年5月にランダムハウス社(親会社はドイツのメディア系コングロマリット、ベルテルスマン社)と講談社の合弁で『ランダムハウス講談社』として設立された。
 '07年1月に出版したゴア米副大統領(当時)のドキュメンタリー映画を出版化した『不都合な真実』は実売10万部のヒットとなり、業務拡大のけんいん力となった。
 この資金をもとにタレント本(つるの剛志『つるっつるの脳みそ』など)の出版を手がけ売り上げを拡大してきた。
 さらにその後に出した『最後の授業』『フェルメール展の図録』などの販売も好調で、'08年12月期には売上高約12億円を計上。社員数も30人に膨れ上がった。

 しかし、それからは出版不況の中でヒット作も減少。'11年3月期の売り上げは約4億5000万円に激減し、約2億円弱の最終赤字を計上していた。
 破産直近の売り上げは約3億2000万円にとどまり厳しい状況が続いていた。ここにきて回収事件もあって決済難に陥り、今回の措置となったのだ。負債は債権者207名に対し、約9億2600万円。
 「2010年に合弁会社契約打ち切りで講談社が手を引き、当時の社長だった洋書販売会社出身の武田雄二氏が全株式を個人で引き受けた。このあたりから資金繰りが悪くなり、編集者も次々に辞めていった。破産申請時はわずか6名でした」(出版界事情通)

 これだけの良書を出しているにもかかわらずスポンサーがつかなかったのは、出版業界がかなりの“負のスパイラル”に陥っているからだろう。
 しばらくは、この空回りは止まりそうもない。

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