再編カヤの外 新日鉄・住金から袖にされた「神戸製鋼」の修羅(2)

       

 ちなみに、一時は粗鋼生産量で世界トップに君臨した新日鉄は、中国や韓国企業の後塵を拝し、いまや6位の座に甘んじている。国内3位の住金にしても世界の23位で、'02年に川崎製鉄とNKKの統合で誕生したJFEホールディングス傘下のJFEスティールにしても国内2位とはいえ、世界ランクは9位でしかない。この2、3年来市場で「本気で新日鉄を買収するのではないか」と囁かれ、バブル拡大路線を突き進むアルセロール・ミタル(ルクセンブルク=世界1位)に代表される新興勢力とは対照的に、かつては「世界の鉄鋼トップ10」に4社が名を連ねた日本勢の地盤沈下は目を覆うばかりだ。

 だからこそ、冒頭で述べたように神戸製鋼が切るであろう再編カードが俄かに注目を集めているのだが、選択肢は自ずと限られる。いま市場で囁かれているのは、新日鉄・住金との資本関係を清算し、ライバルであるJFEの傘下に入るか、それとも座して死を待つように中国・韓国資本の軍門に下るか。どちらにせよ、神鋼経営陣が遠からず厳しい決断を迫られるのは間違いない。
 前者は決して荒唐無稽な見方ではない。企業の合併・統合は「メーンバンクを同じくすること」が大前提。実際、JFEも旧NKK(日本鋼管)は旧富士銀行がメーンで、旧川崎製鉄は旧第一勧銀がメーン。両行が旧日本興業銀行と統合してみずほフィナンシャルグループが誕生したのはご承知の通り。
 その意味でJFEはみずほ主導の統合だった。しかも神戸製鋼は旧第一勧銀がメーンで、当然ながらみずほFGとのパイプが太い。従って、みずほ主導でJFEを駆け込み寺にする可能性が出てくるのだ。その場合、両社トータルの粗鋼生産量は現在の世界ランクで4位(新日鉄・住金が合併すれば5位)に浮上する。

 厄介な問題に発展しかねないのは後者の場合である。というのも神鋼はアルミや建設機械などの売上比率が高く、鉄鋼事業の売上高が4割強とはいえ、新型技術に独自の強みを持っていることから、海外の新興企業にとっては「垂涎の的」(関係者)。喩え単独での生き残りを目指したところで野心も顕わな海外勢がいつ牙を剥かないとも限らない。
 「中国や韓国企業は新日鉄にひれ伏す恰好でノウハウを伝授され、いまや新日鉄を上回る企業に成長している。ただ、彼らは量でこそ日本勢を凌駕していますが、品質や技術の面ではまだ日本勢に及びません。だから神鋼を買収すればノウハウがタップリ吸収できる以上、遠慮しません。それこそ株安に乗じての敵対的買収を厭わないでしょう」(経済記者)

 新日鉄と住金から突き放された神戸製鋼を巡る業界を挙げての不気味な争奪戦が、早くも水面下で始まったようだ。

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2011年2月26日の社会記事

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