別の日、この2人を知る元トシュカ幹部からも話を聞いた。
「Tは森上以上のワルですよ。脱税事件で食えなくなっていた時期を救った森上をあっさり捨てた。Tは実質的な財務責任者だが、さすがに月2回の出勤で月収300万円は高い。この件が理事会の疑義になると、今度は盟友の会社をスケープゴートにしたってわけ。脱税事件からの腐れ縁なのにね。恩義も仁義もない」
開成ブランドどころか、『開成仁義なき戦い』の様相だ。要は森上氏が投資家を騙して集めた金と、金もうけの会社を取り合っているだけの話。
「こんないい加減な人物たちの手によるクリニックと、トシュカの民事再生、森上は自己破産でバイバイですから、大きな疑念がある」(前出の元株主O氏)
ところで、開成OBが作り上げたこの詐欺話に太鼓判を押していた人たちは、この実態をどう見るのか。
投資家たちに「同業社のアデランスもこの会社を狙っている」と勧誘した元U銀行のプライベートバンカーS氏は、別件での不正発覚で同社をクビになったが、現在は邦銀に転職。金融業界も相変わらず、他人に厳しく身内に甘い。
そして、最も気になるのが『念書』を出してまで森上氏を支援したメナードの野々川会長の反応だ。本誌の取材申し込みに対し「係争中のことであり、取材は受けられない」(同社法務部)とお決まりの口上だったが、この係争とは一部の株主との民事訴訟だという。一連の森上氏の行状に、メナード側は告発すらしていないのは解せないのだが…。
「今年3月25日、ITCに東京国税局の査察が入った。各種会議を実際に仕切っていたのは誰かをしつこく追及されたので、理事会は『森上とT税理士』と供述。事実、森上はトシュカ破綻後もクリニックに出入りし、実質的な財務責任者のT税理士と詳細に指示していた。利益隠しを指示した資料がごっそり押収されたので、今秋にも国税が東京地検に告発するのではないか。Tにはマエがあるし、当局もやりやすいはず」(別の捜査関係者)
これまでは上手に立ち回り、ITCを手中に収めたT税理士もいよいよか。
主人公の森上氏は破産後の現在も、東京都庁に近い西新宿にそびえる家賃40万円強の超高級マンションに住む。再三取材を試みているが、これまでは接触できていない。
本誌が実施したトシュカ元株主へのアンケートで、「経営者を告発する動きには賛同するか?」の問いには回答者の3分の2が「賛同する」と答えている。また「もっと話したいことがある」と答えている元株主もいる。
強制捜査も間近との情報も入っている。今号では関係登場人物の一部を仮名等にしているが、事件化の際は全てを実名で報道する。
ちなみに本誌は当然ながら、関係者の写真やデータは取材入手済みであることを書き添えておく。
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