福島原発「作業員6000人」の現実[第5弾] 現役作業員がタブー告発 原発とセックス差別「妻が性交を拒否!」 ジャーナリスト・水石徹(3)

       

 元気そうな桜井さんだが、1週間前に会ったときよりは明らかに痩せ細っている。
 「奥さんとイチャつきすぎて痩せちゃったの?」
 と冗談を飛ばすと、
 「いや、そうじゃない。去年もそうだが、この時期はどうしても痩せ細ってしまう。俺たち原発作業員に言わせれば、これは夏痩せなんかじゃなく“原発痩せ”というやつだ」
 そう言うと、やっと原発敷地内の話に入った。

 蒸し暑い雨の日が続いて、上下ツナギ服にカッパ着て作業するから、サウナなんかより暑苦しいし、ぶっ倒れるくらい息苦しい。体重が減るのは当たり前だ。それに一体型の全面マスク着用だから、顔じゅう火照って汗は吹き出るし、それで目の部分が曇ってしまう。それじゃ外が見えなくなって作業できなくなっちゃう。目に汗も入るしね。どうしようもないから、指入れてマスクをちょっと浮かせようとすると、班長から、
 「指突っ込むな! 放射能吸いたいのか!」
 と怒鳴り声が飛んでくる。だからマスクは絶対に外せないんだ。

 それなら、東電、元請けの大手ゼネコンが何か対策を考えてくれているかというと、それはまったくない。知っていながら知らんフリということ。莫大な予算が使われているけど、作業員に対しては満足なマスクも用意できない。結局、作業員それぞれが知恵をしぼるしかない。
 マスクの内側と外側に丸い小さな磁石を1個ずつくっ付け、内側の磁石に汗を吸い込みやすい茶色の紙を挟んでおく。
 外の磁石を動かすと、内の磁石といっしょに紙も動いて、マスクの曇りがそこだけ取れるという仕掛けだ。これを繰り返せば、なんとか外が見えるようになるから作業はできる。
 ほかに食器用の洗剤『ママレモン』を使う手もある。それでマスクの内側、外側を前もって洗っておくと、大して曇らなくなるんだ。事故原発で働くかぎり、ママレモンは必需品だよ。

 こんなことで俺たちがどれだけ苦労しているか、世間はわかっちゃくれないだろ。総理大臣も国会議員も全面マスク着けて視察に来たけど、おエライさんだって何もわかっちゃいない。あれは国民向けの点数稼ぎだろ。事故原発の最前線で戦っているのに、汗で見えなくなる、そんなマスクを使っているなんて、時代遅れも甚だしい。
 ただ最近は、作業員によって半面マスクもある。同じ事故原発敷地内でも放射能の薄い場所がある。そこに振り分けられた作業員は半面マスクでいいというわけだ。全面マスクと違って、ゴーグル部分がないから、こりゃ働きやすい。目に汗が流れ込むことはあっても、作業着の袖で簡単にふき取れるからね。

 連載初回で触れたが、尾てい骨の部分にふやけた吹き出物ようなものができたのは、桜井さんが事故原発で働き始めてからだという。化膿しないものの、痒みがひどくなり、しょっちゅう掻いているうち、そこに白っぽい瘡蓋ができた。それをはがすと瘡蓋がまたできる−−そんなイタチごっこが今年春ごろからずっと続いてきた。
 皮膚科の医者からは、
 「疥癬虫(ヒゼンダニ)に噛まれて感染したか、ヘルペス(単純性疱疹)かもしれない」
 と、塗り薬を処方されていた。だが瘡蓋も痒みもいっこうに消えない。
 それで6月、原発作業員であることを伝えると、
 「放射能の影響があるかもしれない」
 と言われたから、桜井さんがドキッとするのは当然。早速、はぎ取った瘡蓋が精密検査に回されることになった。そして7月15日、その検査結果が桜井さんに伝えられた−−。(以下次号)

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2014年7月31日の社会記事

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