ソフトバンク孫正義社長 後継者指名に潜む3つのリスク

 「シニアのユーザーを完全無視とは大した度胸だ」
 携帯電話会社ソフトバンクモバイル(7月1日付で社名をソフトバンクに変更予定。親会社のソフトバンクはソフトバンクグループに変更予定)宮内謙社長の発言に対し、インターネットの掲示板が炎上している。5月19日、2015年夏モデル発表会で「本質的にガラケーは必要ない」とバッサリ切り捨てたことへの反発が渦巻いているのだ。
 「60代のスマホ比率は5%くらいといわれているが、本当はスマホを使いたいという人の深層心理はすごく高まっている。きれいな写真が撮れたり、音楽が聴けたり、どう考えてもスマホの方が優れている。ガラケーやガラホを宣伝したいなんて全然思っていない」(宮内社長)
 NTTドコモやKDDIは引き続き“ガラホ”を発表するが、ソフトバンクモバイルはスマホしか発表しなかった。それを受けての発言である。

 「お前ごときが深層心理を語るなよ!」
 ネットが炎上しただけでなく、関係者さえ真意をいぶかったのも無理はない。
 直前、ソフトバンクには衝撃が走っていた。3月決算発表の席で孫正義社長が、後継候補に創業直後から仕える腹心の宮内副社長ではなく、昨年10月に米グーグルから引き抜いたばかりのニケシュ・アローラ氏を指名したのだ。インド出身のアローラ氏は独Tモバイルの欧州部門幹部を経て米グーグルでナンバー2に当たる上級副社長を務めた逸材。まだ47歳と孫社長よりも10歳若く、6月の株主総会を機に代表権を持つ副社長に就く。これに伴い、65歳の宮内氏は代表権のないヒラ取締役に降格し、国内携帯電話事業の社長に専念する。結果、新生『ソフトバンクグループ』のかじ取り役は孫社長とアローラ副社長コンビが担うことになる。
 いくら国内通信事業がグループ最大の稼ぎ頭とはいえ、後継候補から見事に外された宮内氏の胸中は複雑だろう。

 同じことは他の役員や幹部クラスにも言える。入社からわずか8カ月の新人が“ポスト孫”へ一気に駆け上がったのは、ソフトバンクの古参役員がそろいもそろって「社長の器にあらず」とダメ押しされたことを意味する。いくらアローラ氏が輝かしい経歴を持つとはいえ、孫社長の側近を自負してきた面々がショックに打ちひしがれないわけがない。
 「宮内さんのガラケー発言を“孫社長”に置き換えれば言い得て妙です。だから宮内さんの発言の真意を『後継者から外した孫社長への当て付けじゃないのか』と詮索する向きさえいる。それほど社内は唐突な後継人事に慌てふためいているのです」(経済記者)

 孫社長による罪作りな“はしご外し”には続きがある。かねて同社長は「60代で次の世代に事業を継承する」と公言し、'10年7月に後継者発掘と育成を目的に私塾『ソフトバンクアカデミア』を設立した。その趣旨に照らせば、60歳の誕生日を迎える2年後の'17年8月をめどに塾出身者が“ポスト孫”に就くに違いないと世間は受け止めた。
 ところがそんな“期待”に反し、塾出身者ではないアローラ氏が後継候補に躍り出たのである。これではソフトバンク関係者、孫社長のファンならずとも「アカデミアの設立自体、自らの存在感を見せつけるためのスタンドプレーだったのではないか」との疑念が募る。ソフトバンク・ウオッチャーは辛らつだ。
 「記者会見で孫社長は『事実上の後継者指名なのか』との質問に『答えはイエス』と言い切った。そのくせ、なぜかトップ交代の時期には言及していない。それどころか『まだまだ引退するつもりはなく、第一線で経営を継続していく』と言い放った。この分だと2年後どころか、5年、10年後も社長の椅子にしがみついている可能性だってある。後継指名も彼一流のスタンドプレーかもしれませんよ」

 ならば、アローラ氏への指名は何を意味するのか。ウオッチャーが続ける。
 「彼ほどの優秀な人材は、いつ世界のトップ企業からヘッドハンティングされるかわからない。それを食い止める切り札がソフトバンクグループの次期社長という手形を切ることに他なりません。まあ、それぐらいの処遇を約束しなければ、今後激増するに違いない彼へのアタック攻勢を阻止できないという危機感の裏返しです」

 株式市場では、自らの後継者候補を次々とパージすることで保身に走るのではないかとの観測さえ飛び交っている。
 「口さがない連中は『絶対服従のペッパーくんを後継に指名するんじゃないか』などと囁き合っていますよ」(担当記者)

 シニア市場の放棄、社内人事の軋轢、サプライズの後継者指名−−。
 孫王国の前途、波高しである。

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