石田ゆり子や深津絵里が「結婚しない」のは摩訶不思議なことですか?

石田ゆり子や深津絵里が「結婚しない」のは摩訶不思議なことですか?
左:石田ゆり子公式instagramより、右:深津絵里オフィシャルサイトより

 2015年の国勢調査報告を元に算出された、2015年の生涯未婚率(50歳になった時点で一度も結婚を経験していない人の割合)は、男性23.37%、女性14.06%(国立社会保障・人口問題研究所『人口統計資料集(2017改訂版)』より)。つまり、2015年の段階で、男性の4~5人に1人、女性の7人に1人が、50歳になった時点で一度も結婚を経験していないということである。

 国勢調査は5年ごとに行われているが、生涯未婚率は年々上昇しているわけで、地域差はあれど、もはや、結婚をしない人の存在は特に珍しくないものとなっていると考えられる。結婚しない人が増えると少子高齢化が加速するじゃないか、と危惧する声は大きいが、しかし、みんなが結婚している社会は正常ではなくむしろ異常であると指摘する声にも耳を傾けたい。コラムニストの荒川和久氏は著書『超ソロ社会 「独身大国・日本」の衝撃 』(PHP新書)にて、「むしろ、今思えば、高度経済成長期、ほぼ100%が結婚していた皆婚社会のほうこそ、長い日本の歴史の中でも異質なものであり、異常だったとみなした方が自然なのである」と見解を述べている。

 そもそも大前提として、結婚する・しないは当人の自由だ。

 にもかかわらず、「結婚するのが普通」と見なす風潮は依然根強く、「結婚していないのはその人に何か欠陥があるのでは」と後ろ指をさされる社会傾向はまだ残っている。しかも、そういった時代錯誤な固定観念に人が縛られることを、時代を牽引する存在であるはずのメディアが後押ししている場合もあり、非常に残念だ。見出しも主旨も、「結婚しないなんて変」という偏見に基づいている記事の例を紹介する。

▼独身なのが不思議な美女ベスト10。3位は鈴木京香・49歳…(女子SPA!)

 <独身なのが不思議な美女>だ。「結婚するのが普通」であるうえ、「美女ならなおさら、男性から求められるものだから結婚しているに違いない」、「結婚していない美女がいることは不思議でならない事象だ」と無邪気に信じている人がいるのだろう。美女なのに“適齢期”を過ぎても独身である以上は、特殊な主義主張を持っているか、性格などに難があるか、「男運が悪い」か……と、邪推されるものである。その空気はごく自然に私たちのまわりに漂っていて、疑問を持たずに生きていくことも可能だけれど、息苦しさを覚える人も相当数いるはずだ。

 本文冒頭には、<結婚する・しないは個人の選択ですが、仕事が忙しすぎてタイミングが合わないのか、それとも譲れない理想があるのか……。「なぜ未婚なんだろう?」と思う人を調査しました。 アラフォー以上の美女を女子SPA!編集部が26名ピックアップし、30代女性200名を対象にアンケートを実施>と記事の概要が記されている。結婚経験のないアラフォー以上の美女(女性芸能人)をピックアップして、『独身と聞いて「不思議だ」と感じる女性有名人は誰ですか?』と質問するような調査内容は、不遜だし例の空気をいっそう濃くしているように思える。このような調査を行って発表すること自体、「結婚しない人にはおかしな理由があり、結婚する人が普通で正常」という先入観を強化していく。

 ちなみに「美人なのに独身だなんて不思議」という、持ち上げているんだか見下しているんだかよくわからない批評を受けている当該アンケートのランキング入賞者は、1位石田ゆり子(47) 2位深津絵里(44) 3位鈴木京香(49) 同じく3位稲森いずみ(45) 5位松下由樹(49) 6位中谷美紀(41) 7位沢口靖子(52) 8位天海祐希(50) 9位片平なぎさ(58) 10位滝川クリステル(39)だった。競争が激しいとされる芸能界で長年活躍し、不動の地位を築いた錚々たる顔ぶれだ。経済的な欠落を補うべく結婚という選択をする事例も世の中にはあるが、彼女たちは独身でも経済的に逼迫することもないだろう。

 また、芸能人の結婚事情をクローズアップする記事というのは、当該芸能人の性別によって解釈や表現が異なるものが多い。

 “未婚でイケメンの男性芸能人”に対しては、「独身貴族」「(一般女性の憧れとして)最後の砦」という表現がなされ、独身を肯定し、結婚が発表されると「○○ロス」と嘆きの声が溢れたりもする。それが“未婚で美人の女性芸能人”となると、どこか憐れみの目を向けられ淋しい存在かのように扱われる。男性であっても、“イケメン”以外はこの限りではなく、結婚相手に厳しい条件を提示しているお笑い芸人などは「変人」扱いされたりもしているのだが。いずれにせよ、「結婚しないこと」に意味を持たせすぎである。「結婚する・している状態」よりも、「していない状態」のほうが異常だということなのだ。何なんだ、この不自由さは。結婚なんて、してもしなくてもどちらでもいい。その単純な合意が、どうしてこんなにとりづらいのだろう。

 「結婚していないこと」に意味を持たせすぎている点についてさらに言えば、結婚相談所や「婚活」パーティーなどの場では、男女どちらも最低限の身だしなみや清潔感に気を遣い、場を和ませることや、年収や家庭的度合いなどが重要だといわれるが、実のところそんな諸条件をクリアしていなくても「結婚」を達成している人は本当に多い。

 何度か書いたことがあるが、街に出ても、子供の送り迎えで保育園に行っても、美人ではない母親(私は未婚母だが、ほとんどが結婚経験のある女性と推察される)は、そこらじゅうにいる。地元に残っている友達と連絡を取った時は、元同級生たちの話(主たる話題は誰々が結婚したという話)を聞くことになるけれど、友達の話を聞く限り、美人・不美人と既婚・未婚に因果関係があるとは思えない(ついでに言えば、結婚時期と美人・不美人も関係なさそうだし、性格の善し悪しも無関係のようだった)。いや、そもそも美人・不美人の基準自体、個々によって異なるのだから、美人の多くは結婚しているか否かを客観的に判断することなど不可能だ。

 話が脱線してしまったので戻すと、つまり「結婚している人」が何か優れているとは到底言えず、「結婚していない人」におかしなところがあるとも言えないだろうということである。「したい」気持ちがあるとしたら、運、そして縁なのではないだろうか。そして「したくない」人に、無理矢理それを勧めたり、おかしな人間だとレッテル貼りをしたりすることもまた、非常に無意味だということを、よくよく知っていただきたい。

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