女性アスリートの肢体を性的に鑑賞することを、「男はそういうものだから」で許容する社会のままでいいのか

女性アスリートの肢体を性的に鑑賞することを、「男はそういうものだから」で許容する社会のままでいいのか
田中理恵公式サイトより

 性暴力の問題が取り上げられる際、被害そのものを無効化するような報道がなされることがある。例えば最近では、映画界の重鎮であるハーヴェイ・ワインスタイン氏が長年、女優やモデル、女性スタッフに対して性的暴行・セクシュアルハラスメントを行っていたことが明るみになった際に、『バイキング』や『ワイドナショー』(共にフジテレビ系)で、性被害よりも「枕営業」の存在に注目するような報道が行われていた。

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 ワインスタイン氏の報道において最も重要なことは、映画界において性暴力が横行していたこと、そしてそれが業界内で黙殺されていたことだ。そこに「枕営業」という視点を強調することは、「とかいって、枕営業のために近づいたんじゃないの」という穿った見方を視聴者に植え付け、被害を軽視することになる。またそうした目線があるということによって、被害の告発がしにくくなるという影響もあるだろう。

 これは、wezzyでもたびたび取り上げている痴漢冤罪の問題も同様だ。

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 痴漢問題もまた、冤罪をなによりも真っ先に取りあげることで、痴漢被害そのものを軽視することに繋がる。ましてや、「男性のための痴漢対策ワークショップ」で行われていたような、痴漢被害を笑いものなど断じてあってはならない。

 最近、Asagei plusが2012年9月に掲載した「体操 田中理恵 「カメラマン」に対抗した仰天措置 「恥骨テーピング」で激写封じしていた」という記事が、ツイッター上で再び話題になっていた。

 この記事では、カメラマンが「ハプニング」が起きることを期待し、股間部分にフォーカスをあてていたが、田中氏は恥骨部分にテーピングをして「エロ激写」を封じていた、とされている。文中に使われている「理恵ちゃん」という言葉も、アスリートへのリスペクトが感じられないし、記事全体だけでなく、締めに使われている「何ともコーカン度の高い美女なのである」という悪ふざけの言葉は、明らかに田中氏を性的に侮辱したものになっている。

 また、ここ数日、2chのまとめサイトなどでゴゴ通信の「【動画】いわて国体の表彰式動画が女子は63万も再生されるも男子は7000再生 この差はなに?」という記事も話題になっていた。

 2016年10月に開催されたいわて国体の表彰式動画の再生数が、女子は62万9411再生、男子は7083再生という圧倒的な差がついているという記事だ(再生数は2017年10月23日、16時13分のもの。2017年10月25日16時24分段階では、女子702971再生、男子11867再生)。ゴゴ通信の記事には再生数に差がついた原因は、直接的には書かれていない。しかし、動画のコメントや、この記事を引用した2chのまとめサイト、ツイッターなどには、女子の選手が着ているユニフォームの露出や、太もも、胸、腹まわり、そして選手の容姿を比べた感想が無数に溢れていた。女子と男子で動画の再生数が異なるのも、それらを理由とする意見がほぼすべてだった。

 芸能界での性的暴行が「枕営業」の問題にすり替えられるのも、痴漢被害の問題よりも痴漢冤罪が注目されてしまうのも、この二つのケースからうかがい知れる「女性は、ただ存在しているだけで、性的に消費される」ことが関係しているのではないだろうか。

 芸能界での性暴力も痴漢も、具体性を伴った暴力であり、それだけで断罪されるべきものである。それにもかかわらず、そうした被害を無効化したり、笑い話にしたり、軽視する背景には、この社会では、女性を性的に消費することが躊躇なく許されているからなのかもしれない。

 もちろん他者を性的にみることや欲望を覚えること自体を否定することはできない。女子と男子の表彰式動画の再生数の差は、意図して作り出されたものでもないだろう。だが、田中氏は、体操競技のユニフォームを着て、オリンピックという大舞台で、自分のパフォーマンスを行っていただけだし、表彰式動画の女子・男子は、陸上競技のユニフォームを着て、表彰式に参加していただけに過ぎない。ただそれだけだ。性的に誘惑する意図を持たないシーンなのに、「エロい」と言われて注目を浴びてしまう。そこに注目することに、まったく悪びれない社会が出来上がってしまっている。

 こうした事実は、「そういうものだから仕方ないじゃないか」と簡単に開き直って、済ませていいものではない。「枕営業」に注目したり、「痴漢冤罪」ばかりを取りあげる人びとも、女性が社会の中で性的に消費される存在とされているということ自体はおそらく認識している。いや、女性を性的に消費していること自体は認識している、のほうが正しいのかもしれない。だからこそ「枕営業」など、性的な魅力を武器にする女性の話を取りあげるのだろう。

 「女性側も性的消費を望んでいるのだから良い」としたり、一方で「女性側が無防備だから興奮する」としてみたり、消費態度は一様ではない。いずれにせよ、男性が女性に性的な欲望を向けることは自然であり、何ら問題ないとの解釈が前提にある。その態度が、性暴力の問題を軽視し、セカンドレイプなど、様々な形で新たな暴力として現れることに繋がることなど思いもしないのだ。

 再生数のひとつひとつは、個人的な欲望でしかないのかもしれない。でもその集まりが、結果的にどのような形で現れているのか、社会のあり方が映し出されていのかを一度立ち止まって考えてみるのはどうだろう。性暴力が、加害者と被害者という関係に留まらない、社会全体の問題であることに気が付けるかもしれない。
(wezzy編集部)

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「女性アスリートの肢体を性的に鑑賞することを、「男はそういうものだから」で許容する社会のままでいいのか」の みんなの反応 13
  • 匿名さん 通報

    羽生結弦くんの動画は女性様の欲望コメントで一杯ですよ

    15
  • 匿名さん 通報

    この手の記事が出ると、必ずトンチンカンな論理のすり替えをする男が現れる。

    5
  • 匿名さん 通報

    この手の記事に意見があると必ず「論理のすり替え」だと過敏に反応してマイナーな意見を受け付けない男/女が現れる。

    3
  • 匿名さん 通報

    男女平等であるべきです。体操もバレーも酷いです。スポーツは男女を分けずに混合にして実力でレギュラーを選ぶべきです。まあ、混合にして女性がレギュラー取れるかは疑問ですが。

    2
  • 名無しさん 通報

    メスがメスであるが故の特典を活用している一方で、ネガティブな部分は一切許さないという、合理性に掛けた記事だとは理解できた。、

    2
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