好き勝手いうタレントを放置するワイドショーへの疑問。春香クリスティーンの芸能界休業は「バカヤロー」なことではない。

好き勝手いうタレントを放置するワイドショーへの疑問。春香クリスティーンの芸能界休業は「バカヤロー」なことではない。
『ワイドショー』オフィシャルサイトより
       

 日頃、『バイキング』(フジテレビ系)といったワイドショー・情報番組をみていると、「なぜタレントがやいのやいの勝手なことを言っているのだろう」という疑問を抱く。この問題は好き勝手、思ったことを直感的に話していいものではないだろう、と。

 11月26日の『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、今年3月で芸能界を休業することを発表した春香クリスティーンの話題を取り上げていた。所属事務所は今月19日に春香クリスティーンの芸能界休業を発表するとともに、「仕事に没頭するあまりに自分のしたい勉強が思うように手に付かず、5年間在学した上智大学を中退したこと」、そして「海外視点のコメントを求められることが多くなるにつれ、中途半端なコメントしか話せない自分に悩むようになった」と彼女の悩みも公表していた。

 春香クリスティーンの決断を、シンガーソングライターの泉谷しげるは「バカヤローだよ、この女は。おまえの成長記録になんで付き合わなくちゃいけないんだよ。テレビ必要なのは即戦力ですよ。俺たちインプットしたことねえよ」と批判。さらに、「自分だけのさ、すごく重要なことを言おうとする根性が嫌なんだよね。重要なことを言えるのはさ、総合的なことじゃない、バカいっているうちに一個当たっちゃったでいいんだよ」と持論を語り、東野幸治に「良いことを言おうとしなくていい? 10個暴言を吐いて、1個真理をついたらいい?」と聞かれると「本当そうだよ」と同意していた。

 本当にそうだろうか?

 『ワイドナショー』に限らず、日本のワイドショー・情報バラエティ番組では、ゴシップだけでなく注目を浴びている事件や不祥事などが日々取り上げられる。その中には、非常に繊細な、時に加害者を安易に断罪することでむしろマイノリティへの偏見・差別が強化されてしまうような事件や、複雑な歴史・背景をおさえなければ理解できないような問題もある。

 例えば、先日wezzyで取り上げた、『バイキング』での、IKKOの「成人した男性同士のレイプは、どこからどこまでがレイプなのかわからない。刺激されて、まさぐられて、その人が興奮したってことは犯罪にはならない。どっちかっていうとその人が悪い」という発言は、レイプ被害を軽視する発言だ(IKKO「男性同士の性的暴行は興奮したら犯罪ではない」。芸能人井戸端会議番組と化している『バイキング』)。さらに、取り上げられている話題が、かつての性暴力を告発された俳優のケヴィン・スペイシーが、告発者への謝罪と共に、自身がゲイであることを公表したというものであったことを考えれば、「ゲイ(あるいはゲイに限らない男性)へのレイプはそういうものなのだ」という性的暴行への偏見を強化しかねないものでもある。決して「1個の真理のために吐かれた10個の暴言のうちに1個だから、それでいいんだ」と看過していいようなものではないだろう。

 武田鉄矢はこの問題に対して、泉谷に同意を示しつつ、こう述べていた。

「日本のコメンテーターで、頭のいい人たちはいっぱい出ているじゃないですか。◯◯大学を出たとか、昔は官僚だったとか。そういう人たちがニュース番組のコメンテーターをやって切り盛りしているんだけど、彼らの最大の欠点はわかりませんって言わないこと。わかりませんって言わないコメンテーターはものすごく危険なんだよね。俺達が頑張ってわかりません、興味ありませんって言い続けようよ」

 これは、泉谷に比べればまっとうな発言だろう。経済の専門家はあくまで経済の専門家であって、性的マイノリティの専門家ではない。特定の国の政治に詳しい専門家であっても、別の国の政治に詳しいとは限らない。同じ分野であっても、全ての領域について、解説できるわけでもない。それにもかかわらず、専門家として一家言持つかのような振る舞いをするのはたしかに危険なことだ。そんなとき、素直に「わからない」と答えることができるのが理想的だ。

 とはいえ、コメンテーターとしての役割を求められている以上、「わからない」と答えられないのが実情だろう。しかし、だからといって、暴言を吐いていいという態度で望むのは間違いだ。わからないのであれば、わからないなりに、留保をつけた上でコメントをする、その人なりに適切と考える回答をするといった振る舞いが必要なはずだ。

 番組から求められる役割をまっとうするためにも、そして「わからない」と答えないで、しかし暴言を吐かずにコメントするためにも、日々のインプットは欠かせない。春香クリスティーンは多忙な芸能活動の中で、自身のインプットが不足していることを痛感し、今回の決断に至ったのではないか。至極真っ当な、誠実な態度だ。「成長していく様をみてください」と言ってもないのに、「おまえの成長記録になんで付き合わなくちゃいけないんだ」などと暴言を吐かれる謂れなどない。自分の人生をどのように使おうが、その人の勝手だ。

 これは決して「勉強不足のタレントはニュースにコメントをするべきではない」と主張したいのではない。専門家ではないからこそ素朴な疑問や、誰もが躊躇してなかなか言えないことを自身のキャラクターを利用して述べる、というのは芸能人の強みだと思う。それが、視聴者の感覚に最も近く、理解を促すことが出来る場合だってあるはずだ。とはいえ、そうしたタレントが非常に問題のある差別的発言をしてしまうことがある。そこで必要なのは、番組制作側のコントロールなのではないか。

 以前から「なぜワイドナショー・情報番組は、タレントばかりが集まって、タレントばかりが発言するのだろう?」と思っていた。例えば『ワイドナショー』は、MCの東野幸治、山﨑夕貴あるいは秋元優里、そしてコメンテーターの松本人志がレギュラーだ。たびたびゲストとして出演するのは石原良純、指原莉乃、長嶋一茂、ヒロミなど、やはりタレントで、専門家として起用されるのも、一部弁護士はいても、あとは芸能レポーターや現役中高生らがほとんどだ。こうした出演陣が、特定のトピックに専門的なコメントをすることや、全体をコントロールすることは、ほとんど不可能だろう。

 先に言及した『バイキング』のは、メインMCが坂上忍で、日替わりMCをブラックマヨネーズ、柳原可奈子・高橋真麻、おぎやはぎ、フットボールアワー、雨上がり決死隊が務めている。それぞれの曜日にレギュラー出演陣としてタレントや女優・俳優などが参加し、不定期ゲストもタレントがほとんどだ。専門家として芸能レポーターや映画評論家、弁護士なども出演しているものの、番組が取り上げる問題は非常に幅広く、十分に網羅できているとはいえない。そもそも専門家がコメントをしても、タレントがすぐにそれを遮るため、機会も時間もきちんと確保されていない。

 程度に違いはあれど、時間帯や局が変わっても、こうした状況にあることに大した違いはない。

「情報番組であって、報道番組ではない」という言い訳は通用しないだろう。情報番組だからといって差別的な言動を「暴言」「毒舌」などとコーティングし、ネタとして消費していい理由にならない。取り上げられる問題によっては、明確な被害者が存在し、取り上げられ方によっては、偏見・差別を強化することになる。新たな被害者が生まれかねないだろう。

 長年、視聴率の低迷が叫ばれているテレビではあるが、それでも他に比べれば、現在も多大な影響をもつメディアであることに変わりない。テレビに出られるということは、テレビ番組を制作できるということは、ひとつの権力だ。その影響力を十分に自覚しなければいけない。「暴言を吐いていい」と開き直るべきではないし、そうしたタレントをコントロールできないような番組を制作するべきではない。「わからない」ことは知ったかぶらずに素直に受け止め、コメンテーターとして、スタッフとして必要な知識をインプットする姿勢が求められる仕事だ。春香クリスティーンの決断のどこが「バカヤロー」なのだろう。
(wezzy編集部)

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「好き勝手いうタレントを放置するワイドショーへの疑問。春香クリスティーンの芸能界休業は「バカヤロー」なことではない。」の みんなの反応 1
  • エルモ 通報

    とても共感しました。 自分が思っていることの多くは実は「偏見」の可能性があると思います。 メディアの影響は大きいです。 そこで発言する人はその「責任」を自覚してもらいたいです。

    1
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