芸人で初めてのTCC新人賞を受賞で話題、グランジ・五明インタビュー

芸人で初めてのTCC新人賞を受賞で話題、グランジ・五明インタビュー

芸人で初めてコピーライターの登竜門「TCC新人賞」を受賞しCM業界でも活動中のグランジ・五明拓弥が著書『全米は泣かない。』を上梓。
五明がCMに携わるきっかけとなった澤本嘉光、au「三太郎シリーズ」の篠原誠、LUMINE「試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。」の尾形真理子ら名だたるコピーライター・CMプランナーと対談した著書は、CM業界関係者だけでなく全ての人に刺さる内容だと話題となっている。そこで現在そしてこれからの芸人とCMの仕事について、五明に話を聞いてみた。


――出版記念イベントでCMクリエイティブディレクターの箭内道彦さんとトークショーを行われました。箭内さんのチームの一員としてテレビCMにも関わっていらっしゃるそうですが、どのような経緯で?

「日本雑誌広告協会という団体が主催する『日本雑誌広告賞』の審査員をやらせていただいた時に、たまたま隣の席だった箭内さんに『よかったら今度一緒にやらない』声とをかけていただいて。審査員は箭内さん、尾形真理子さん、「リオオリンピック」閉会式のディレクションなどもされた佐々木宏さん...と錚々たる面々がいらっしゃって、その中になぜかグランジ五明がいるという(笑)。正直『どうせ口だけなんだろう』と思っていたんですが2週間後にはお話をいただいて、テレビCMに関わらせていただきました。テレビCMは初めての経験だったので何をやっていいのかわからので、とりあえずいただいた資料を見てありったけ考えました。初めてのこととはいえ、設定が用意されていて、そこから作るというのは、芸人としてネタを作るということをずっとやってきているので、わからないなりにたくさん作りましたけどね」

――著書の中で「コピーライターと芸人は似ているとことと違うところがある」と書かれていましたが、どんなところに違いを実感されました?

「芸人は自分が主役ですが、CMプランナーやコピーライターは商品が主役。僕はずっと"主役"を考えてきたので、そこが難しいです。でも、僕をメンバーに入れてくださっているということは、芸人としての感覚を求められているのかなと思って、あまり考えすぎないようにしましたね」

――ダイドーさんのテレビCMのほかには、どんなCMを手掛けられているんですか?

「CM業界に関わるきっかけになった澤本嘉光さんからお話をいただいて、ちょっと前にラジオCMで『ラフォーレ原宿』と『森美術館』のCMをやらせていただきました。今、J-WAVEで流れてます。
僕がCM台本を書いて、『ラフォーレ原宿』はシューレスジョーと僕、「森美術館」は犬の心・押見(泰憲)さんがナレーションをやっています。CMの現場に芸人を連れていくと、結構喜んでもらえるんですよね。吉本にはたくさんいるんですよ、テクニックは持ってるけど仕事に困ってるヤツらが。信頼できる人に仕事を回すこともできますし、僕もクオリティーを上げたいですし、芸人仲間みんなが少し潤ってもらえればいいですね」

――著書で対談された方々はそれぞれ自分のスタイルを確立されていますが、五明さんはCMを作る時はどういうスタイルですか?

「まだスタイルなんてないですから、(著書を)見直しました(笑)。自分の本に付箋を貼って活用しています。みなさん参考になるんですよね。篠原(誠)さんがおっしゃってた『いいと思ったものができたら、もうひとつ作って、それを競わせる』とか実践しましたね。『面白いアイデアを思いつくまで、ひたすら考える』とか『諦めるな』とか、みなさん共通してるのが根性論なんですよ」

――著書の中で、コピーライターは「大喜利」で使う頭脳と似ているというお話がありましたが、五明さんは芸人として使う頭とCMで使う頭は違いますか?

「僕は一緒です。コピーライターやCMに関することを習ったことがないんで、その脳みそがないんですよ。だから芸人で今までやってきた方程式でやるしかないんで」

――著書では対談された方からの課題にも挑戦されていますが、やってみていかがでしたか?

「ふざけちゃダメなんだなと思いましたね。僕は大喜利で考えちゃってるところがあるんで。『○○のコピーを30個考えろ』という課題では、『これは同じこと言って数をかせいでるだけだ』と指摘されて。とにかく恥ずかしいです。やりたくなかったですよ。だってダメ出しがずっと残りわけじゃないですか」

――でも、尾形さんは「この視点はすごい」と絶賛されているものもありました。

「いや、尾形さん優しいなと思いましたよ(笑)」

――CMの仕事をする上で、芸人の経験が役立っていると思うことはありますか?

「芸人を10年以上やってると、ボツネタとか設定だけ作ったものとかがめちゃめちゃあるんですよ。捨てるのも忍びないからとっておいたんですけど、それが活用できるのがうれしいです。よかったです、少しはお金になって(笑)。今、それを掘ってますね。その貯金もそろそろ尽きようとしてるんですが」

――蓄積してきたものが、形を変えて活きてきているんですね。

「蓄積が大事というのは、澤本さんも『とにかくアーカイブをためなさい』とおっしゃってました。『アーカイブにあるものと、自分の思ったものを掛け合わせえると、新しいものができる』と。すばらしい言葉ですよね。それが載っているのが、この本です!(笑)」

――逆に、CMの仕事が芸人として役立っていることは?

「知り合いが増えましたね。新人賞を獲ると入れるTCC(東京コピーライターズクラブ)の同期が20人くらいいて、年1回会合があるんですよ。その幹事を決めるのに、名前を伏せて大喜利で決めようということになって、僕が優勝して幹事になりました。人生で幹事なんてやったことないんですけど、年に1回忘年会をやるようになって、友達が増えました(笑)。この年になって別の世界の話をきくと、すごく面白いんですよ。この十何年、芸人としかほとんどしゃべってなかったんで。新しい風が入ったというか」

――五明さんの著書は広告業界の人にとってはもちろんバイブルですが、そうじゃない人にとっても仕事をする上、生きていく上でのヒントになるような本ですよね。

「みなさん、そう言ってくれます。広告業界じゃないところで働いている人も、『これ広告の人に向けた本じゃないですよ。普通に働いている人にも刺さる本じゃないですか』と。group_inouのimaiさんというミュージシャンの方と仲がよくて月一でトークライブもやってるんですが、さっきのアーカイブをためるという話では音楽も同じで『過去の作品やパターンをため込んで、自分のとミックスさせたら新しいものができる』とおっしゃってましたね。『刺さる言葉の作り方』の本ですが、実は『どうすれば仕事が上手にできるか』、そういう本なんじゃないかなと...僕は思いました、みんなの意見を聞いて(笑)」

――第一線で活躍されている方々も、それぞれ違ったスタイルで成功されてますもんね。

「篠原さんは体育会系ですし、澤本さんはとにかくアーカイブをためて、逆に過去のものは見ないという意見もあって、いろんな方いらっしゃいますから。対談させていただいた7名の方で自分はどのタイプなんだろうと照らし合わせながら読むと面白いですよね。そうすると、僕が印象に残った言葉を綴った"肝に銘じます"がより刺さるんじゃないかなと」

――尾形さんは、コピーは"あるある"だとおっしゃっていましたよね。その感覚は芸人さんに通じるものがあるのでは?

「尾形さんのルミネのコピーは、女子あるあるですよね。あるあるネタって、僕はお客さんが構えるど真ん中よりも、アウトコース低めギリギリいっぱいにバーンと入るのが気持ちいいのかなと思ったら、尾形さん的には、ボールを受けるためにちょっと手を動かしたところが一番気持ちいいと。受け手側もちょっと自分で考えたいんだとおっしゃってて、なるほどなと思いましたね。僕はストライクゾーンの中でやってましたけど、そうじゃないんだって。ボール球を振らせるっていうことなんですよね」

――あるあるネタもそうですし、尾形さんは東野幸治さんのようにMCがうまい人は優秀なコピーライターになれるとおっしゃってましたし、やはり芸人さんとは近いものがあるんですね。

「だからずっと澤本さんに、コント書いてくださいっていってるんですけど。書いてくれないですね」

――今回は課題でクリエイターの方々からダメ出しされましたが、逆にクリエイターの方が書いたコントに五明さんがダメ出しするのはいかがですか?

「『キングオブコント』優勝したら、お願いしてみます。ダメだしできるような賞を取ってから。絶対やっていただけないですよね(笑)」

――CMの仕事を始める前と後では、広告業界に対するイメージが変わりましたか?

「イメージとか全くなかったですね。興味がなかったというわけじゃないんですけど。柏市の実家から通っていた時、新宿まで1時間くらいの電車の中で東京ガスの感動するCMを見て涙を流してストレス解消するという時期があったんですよ。お父さんのチャーハン編と、お母さんのお弁当箱編、ぜひ見てほしいです。でも、別にCM業界に入りたいとか、CM作りたいというのはなかったです。それがまさか、その会社で最初にCMをやることになるとは...その時の五明拓弥は知る由もなかった」

――やっぱり、そういう感動できるCMを作りたいですか?

「面白い方がいいですよね、やるんだったら。面白くてホロッとか」

――著書では又吉直樹さんとも対談されていますが、芸人としてだけではなく作家としても活躍される又吉さんの存在も刺激になったんですか?

「もう芥川賞ですから刺激とかのレベルじゃないですよね。又吉さんはガッツがすごいんですよ。その忙しさで、これいつ書いてんのって。又吉さん主催の『絶景雑技団』というコントライブがあるんですが、全部新作コントで。いつ書いてるのか聞いたら、寝てないって言ってましたね。好きなことに対してのガッツあります。すごいですよ、又吉さんは」

――五明さんも、好きなことにはガッツで挑むタイプですか?

「お仕事がある時は死ぬほど考えますけど、終わったらもぬけの殻になるんで。勘が鈍らないよう、常に絶やさないでいたいですね」

――著書でいろんな方と対談されて、どんなことを感じられました?

「CMのお仕事に入れていただいたんですが、やればやるほど芸人を大切にしなきゃなと思いました。軸は芸人だと。そっちを全力でやっても、本業でやってる方たちには絶対に勝てないですから。やっぱり芸人の脳みそでやることが、ちょっと面白がっていただけている状態だと思っているので、芸人は絶対におろそかにしたらダメだなと自覚しました。二つの根を張るんじゃなくて、芸人でちゃんと根を張って、CMのお仕事は枝でやるのがいいのかなと。根は幕張イオンモール劇場に張ってます」

――今後の芸人としての活動は?

「『キングオブコント』にむけて微調整している段階ですね」

――CMの仕事での展望は?

「ドア全開でまっていますので、お仕事お待ちしております。ラジオCMが面白くて、もっとやりたいですね。自分が作ったものと、自分がやりたい人とできて、それが世の中に流れるのは、なんかワクワクします。劇場はお金払ってそれが好きな人が見に来るところで、CMは意識してない人にも目や耳に入ってきたりするもの。新しい感覚で楽しかったですし、普段しないのにエゴサーチとかしちゃいました。『ラフォーレ原宿』のCMのことをTwitterでつぶやいてくれた人をリツイートしたら、『これ五明さんなんですか? 学生の頃、ライブ通ってました』って返事が来て。当時、学生だった人が劇場から羽ばたいていって、何年か経って社会人となって、また別の形で触れ合うってうのはステキなことだなと思いましたね」

――では最後に、著書『全米は泣かない。』のキャッチコピーをつけるとしたら?

「全米は泣かない。~ダメ出しで五明は泣いた~でお願いします」


五明拓弥著『全米は泣かない。』
単行本(ソフトカバー): 340ページ
出版社: あさ出版
1,620円(税込)

芸人で初めてTCC新人賞を受賞した五明拓弥が、ソフトバンバンクモバイル「白戸家シリーズ」、au「三太郎シリーズ」、TSUBAKI「日本の女性は、美しい。」、LUMINE「試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。」、ビタミン炭酸MATCH「青春がないのも、青春だ。」などを生み出した名だたるコピーライター・CMプランナーに聞いた。
・「人の心を動かす言葉」はどうやったら作れるようになるんですか?
・一流のクリエイターになるためにがどんな訓練が必要なんですか?
・アイディアが出てこない時、どうしているんですか?
・SNSで世の中に広がりやすい言葉って?
巻末には、【特別対談】『又吉直樹はどのように小説を書いて、どのようにネタを作っているのか?』を収録!
広告業界のトップを走る人たちの思考法がこの1冊に詰まっています。是非ご一読を!
【書籍情報】
『全米は、泣かない。』 五明拓弥(芸人)
× 澤本嘉光 (CMプランナー)
× 篠原誠 (CMプランナー)
× 谷山雅計 (コピーライター)
× 尾形真理子 (コピーライター)
× 福部明浩 (クリエイティブディレクター)
× 関根忠郎 (映画惹句師)
× 又吉直樹 (芸人)


■著者プロフィール
五明拓弥(ごめい・たくや)
1981年千葉県出身。
2000年に東京NSCに6期生として入学。
2005年に遠山大輔、佐藤大と共に、お笑いトリオ「グランジ」を結成。
東京ガスのラジオCMを機に広告制作に携わるようになり、同作で2016年度TCC新人賞を受賞。
受賞歴に第45回フジサンケイグループ広告大賞・メディア部門ラジオ最優秀賞、第11回ニッポン放送CMグランプリ、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSなどがある。


【グランジ】

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