「昨年6月に報道によって発覚した16歳未満の女性への暴行事件などを受け、昨年10月、日米軍司令部は再発防止策として米兵の行動を規制する内規『リバティー制度』を強化。午前1~5時の基地外での飲酒や酒類提供店への入店禁止などの綱紀粛正を行いました。
ですが、強化以降も米兵による凶悪犯罪は相次ぎ、制度の実効性について疑問視する声が上がっています」(地元記者)

リバティー制度とは 

米軍の内規である『リバティー制度』。その目的は米兵による事件や事故の防止だ。それだけに、導入後も凶悪犯罪が相次ぐ実状に沖縄県民からその実効性について疑問の声があがるのも無理はない――。
『リバティー制度』は、2012年10月、米海軍兵2人が本島中部の住宅街で帰宅途中の20代女性に性的乱暴をした集団女性暴行事件が導入の発端となり、在日米軍は全軍人を対象に午後11時~午前5時の外出禁止令を発令。それ以降、米兵による事件事故が発生するたびに、在日米軍は同制度の強化と緩和を繰り返してきた。
強化といっても、表面上のルール変更の域を出ず、米軍が自ら組織に対する教育や管理体制を徹底し、抜本的に見直すわけではない。「制度が米軍内でどこまで周知されているのかは甚だ疑問」と前出の記者も呆れる。

制度強化も実効性はゼロ

「10月の制度強化後も基地周辺の沖縄市では普通に米兵が明け方まで飲んでいるのを見かけます。制度見直し後の昨年11月2日に那覇市の学校法人・尚学院のドアを壊したとして米海兵隊上等兵の20代男性Aが、建造物損壊などの容疑で書類送検、器物損壊の罪で略式起訴されました。12月29日には同じ男性が泥酔状態で車のワイパーを折り曲げ器物損壊容疑で現行犯逮捕されています。事件が発生したのは午前4時15分頃でした」
Aの事件からリバティー制度見直し以降も米兵が外出禁止時間内にも外出していることが浮き彫りとなっている。併せて、在沖米軍の管理体制の不十分さもあぶりだされている。
さらに、制度が強化されたものの、基地の外にある自宅やホテルでの飲酒は規制対象外となっているなど、”抜け穴”もある。

県議会議員からは内容が後退していると批判も

前出の記者が続ける。
「そのような状況に対して県議会の米軍基地関係特別委員会でも、『リバティー制度』が機能しているとは言い難いなどの批判が相次いでいます。
今年1月以降に摘発された米軍関係者の凶悪犯罪は8件と1992年以降、過去最多となっています。そのうちの4件は性犯罪事案です」
23年前、集団暴行事件が制度導入の発端となった。にもかかわらず、その後も性犯罪が後を絶たない事実は何を示しているのか――。
11月と12月に起きたAによる両事件について1月7日、岩屋毅外相は記者らの質問に対し、「重要なのは、米軍が発表した一連の再発防止策が実際に事件事故防止につながることだ」と述べるにとどめている。しかし、一連の事件から、米軍の再発防止策の一環であるリバティー制度が機能していないことは明らかだ。形骸化している制度に、実効性を期待する姿勢は事実上、“放置”を宣言したと同義と捉えられても仕方なさそうだが…。


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