G-7ホールディングスは、「オートバックス」と「業務スーパー」を核に全国に躍進するメガフランチャイジーである。同社は2024年11月、EC事業の強化を目的として、「neel(ニール)」で知られる老舗時計EC企業である新流を子会社化した。
―御社の事業内容や強みについて教えてください。
1975年の創業以来、車関連商品・サービス、食品関連、生活用品の販売を通じて成長してまいりました。 特に「オートバックス」と「業務スーパー」の2大FC事業を中心に600店舗以上を運営し、東証プライムに上場しています。当社の強みは、「全てが早い」ということです。通常3カ月かかる出店準備を半分ほどの期間で完了させることができます。

オートバックス事業では、私が参画した当初は10店舗程度でしたが、かなり速いペースで出店を進めました。業務スーパーについても、当初は赤字でしたが、一定のエリアに集中して出店するドミナント戦略で1年間に20店舗ほど出店し、翌年には売上が130%になるなど、驚異的な成長を遂げました。
当社は「見込みがないものはすぐ見直す」という決断の早さも特徴です。過去には、いろいろな不採算事業からの撤退もしましたが、その分、オートバックスや業務スーパーなどの成功に繋げることができました。
M&Aにも積極的に取り組んでおり、食品卸のジャパンフードサービスや、海外に車を輸出するクラウントレーディングなど、様々な分野の企業をグループに迎え入れ、業容拡大を図ってきました。
EC事業強化へ、老舗EC企業「neel」との出会い
―新流の譲受を検討したきっかけについて教えてください。
当社はこれまで実店舗を通じて成長を遂げてきました。
自社でEC事業を1から立ち上げ、広告費をかけながら、競合他社に勝つことは非常に難しいと感じました。そこで、既存のEC事業会社を譲受し、ノウハウや顧客基盤を活用することを検討しました。
そんな時、M&A仲介のストライクから新流のご提案がありました。既存事業とは異なる分野でEC事業を立ち上げたいと考えていたため、時計という商材にも惹かれ買収の話を進めました。
―どのようなシナジーを見込んでの決断でしたか?
新流は、楽天市場のショップオブザイヤーを長年受賞するECのプロフェッショナルです。当社はECのノウハウが不足しており、EC事業強化のためには、新流の力が必要不可欠でした。
25年の歴史を持ち、メーカーから直接仕入れた商品を販売することで、国内メーカーからの信頼を得ています。横浜に2店舗を構え海外メーカーからの信頼も厚く、当社にとって魅力的なパートナーでした。
―今後の協業内容を教えてください。
新流のブランディング力を活用して、当社商品を新流のECサイトで販売したいと考えています。また、新流のノウハウを取り入れることで、当社のECサイトの販売力強化も目指していきたいと思います。
M&Aを成長戦略の柱に、事業規模拡大を目指す
―御社のM&A戦略について教えてください。
当社は、オートバックスと業務スーパー以外の事業は、ほとんどM&Aで譲受した会社です。既存事業であるオートバックスと業務スーパーは、出店によって成長を続けていますが、新規事業については、M&Aによって成長を加速させていきたいと考えています。
5年ほど前、中期経営計画で売上高2500億円という目標を掲げました。既存店舗の売上成長だけでは、目標達成は難しいと考え、M&Aを積極的に活用することにしました。
M&Aであれば、既に軌道に乗っている事業をグループに取り込むことができ、成長を加速させることができます。今後も積極的に活用し、事業規模の拡大を目指していきます。
ミートテラバヤシのM&Aは大成功事例
―これまで多くのM&Aを検討された中で、特に成功したと思える案件はありますか?
精肉の加工販売を手がけるミートテラバヤシのM&Aは、大成功だったと言えます。ミートテラバヤシは、もともと横浜の会社でしたが、当社のグループに入ってからより一層、業務スーパーの店舗にテナントとして入ることで、他地域にも店舗数を大幅に拡大することができ、利益の大幅な増加にも繋げられました。譲受時の店舗数は100店舗弱でしたが、現在は193店舗にまで拡大しています。ミートテラバヤシにとっても、当社にとっても、非常に良いM&Aになりました。
―今後、注目している業界や、新規事業の開拓方針について教えてください。
今後は、既存事業とは全く異なる業態で、第3の柱となる事業をM&Aで作りたいと考えています。業界にこだわりはありませんが、ネットで販売できることを基準に考えています。
―今後M&Aを検討されている経営者の方にアドバイスをお願いします。
経営者には、それぞれの考え方があるため、私ができる助言はありません。ただ、M&Aは、自社の成長戦略の一つとして、有効な手段だと思います。M&Aを検討する際は、自社の状況や目標を明確にし、専門家のアドバイスを受けながら、慎重に進めることが重要だと思います。
写真・文:M&A Online
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