制御システム大手の「横河電機」今年2件目のM&Aを実施 DX、OT、セキュリティーを強化

石油、化学、電力プラントなどの制御システムを主力とする横河電機<6841>が今年2件目のM&Aに踏み切った。

課題として掲げているポートフォリオ(事業構成)の充実に向けて、M&Aを加速させているもので、計画通りDX(デジタルトランスフォーメーション=デジタル技術で生活やビジネスを変革する取り組み)や、OT(オペレーションテクノロジー=運用技術)、セキュリティー関連の企業などを傘下に収めた。

同社は2031年3月期に売上高1兆円の大台を目指しており、非連続な成長が見込めるM&Aはこの先も続くと見てよさそうだ。

シンガポール社に続いてイタリア社を

横河電機は2025年10月末に、サイバーセキュリティーや、DXソリューション(課題解決)などを手がけるイタリアのインテリシンクと、高度なグリッド制御(電力網を安定的、効率的に制御する技術)や、エネルギー管理ソリューションを開発するイタリアのウィズナムの2社を子会社化した。

両社の事業は、2024年6月に子会社化した再生可能エネルギー監視ソリューションを提供するドイツのバックス・エナジーに統合し、再生可能エネルギー分野での事業拡大を推進する。

また、これに先立ち2025年5月には、先進的なITやOTのソリューションを提供するシンガポールのウェブシナジーズを買収した。

横河電機は2021年にウェブシナジーズに出資しており、子会社化によってクラウドサービスやデータ管理、統合サービス、IT、OTなどのDX関連ビジネスを強化した。

これらのM&Aにより、横河電機は主力の「制御事業」の領域拡大を図る。

ウィズナムとバックス・エナジーの買収は、制御事業のうち「エネルギー&サステナビリティ事業」、とりわけ再生可能エネルギーの分野でソリューション提供能力を高めるはずだ。

さらに、インテリシンクとウェブシナジーズの買収を通じてDXとOTの融合を加速させるとともに、市場のニーズに対応したサイバーセキュリティーを強化して事業全体の競争力強化を狙う。

制御システム大手の「横河電機」今年2件目のM&Aを実施 DX、OT、セキュリティーを強化
横河電機のセグメント別売上高

ネットワーク接続などが背景に

電力業界では、太陽光や風力などの再生可能エネルギーが増えるのに伴って、電力網の安定的で効率的な制御が重要になっているほか、電力をはじめ石油や化学などのプラントでは、制御システムがネットワークに接続されるケースが増える中で、セキュリティー対策やOT領域の高度化が求められている。

さらに、製造業での自動化の進展や、家電、自動車などがインターネットにつながるIoT(モノのインターネット)の普及などに伴って、セキュリティーなどの重要性は一段と高まっている。

横河電機がDXやOT、セキュリティーなどの分野でのM&Aを積極化させているのには、こうした背景がある。

上振れの可能性も

横河電機は「培ってきた安心、安全、高品質なモノづくりのノウハウ」や「課題解決をやり遂げる力と信頼性」「ソリューションを提供できる経験豊富な人財」などを自社の強みとしている。

同社ではこうした強みを活かすとともにM&Aなどによって業容を拡大しており、2025年3月期は、売上高5624億400万円(前年度比4.1%増)、営業利益835億2300万円(同6.0%増)と3期連続の増収営業増益を達成した。

当初は減収営業減益を予想していたが、大型案件の売り上げ寄与や為替の変動などの影響もあり、一転増収増益に転じた。

2026年3月期も期初は0.4%の減収、4.2%の営業減益の予想だったが、2025年11月4日に発表した第2四半期決算では、2.6%の増収、0.6%の営業減益に上方修正した。

売上高の94%ほどを占める主力の制御事業で売上高、利益ともに前年同期よりも5~6%増加しているのが要因で、M&Aの進展によっては、さらなる上振れの可能性もありそうだ。

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文:M&A Online記者 松本亮一

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