ラッパー・シンガーのちゃんみなが、8月9日にシングル「NG」をリリース。「NO」と言われ続けたことへの怒りと反発、強い決意を示すこの楽曲はなぜ今、生まれたのだろうか。
「美人」の時の気持ちはもう乗り越えてる
――新曲「NG」は、ガールズグループオーディションプロジェクト「No No Girls」のテーマソングですが、楽曲制作の出発点はどこだったんですか?
ちゃんみな(以下同) テーマソングの制作を頼まれたわけではなかったんですけど、作りたいなっていう気持ちがあって。「美人」っていう楽曲を作る時に、実は10曲ぐらい作っていたんですよ。この曲はそのうちの1曲で気に入っていたので、このタイミングで改めて、トラックは変えずに作り直しましたね。
――当時から歌詞もできていたんですか?
その時は「Sick sick sick」から「女が死ぬ」までのブロックは作っていたので、ここだけはそのまま使って、ほかの歌詞は今回、書きました。
――「美人」の時に作っていた曲だったということですが、この「NG」は「美人」からさらに進んで、「NO」と言ってきた奴らをもう相手にしていない感じさえありますよね。その怒りをパワーに変えて、自分たちは違う世界で輝くんだという宣言にも受け取りました。
そうですね。「美人」の時の気持ちはもう全然、乗り越えてると思います。
――「No No Girls」は秋に放送予定ですが、このオーディションを今、プロデュースするに至った最大の理由はなんだったのでしょうか?
SKY-HIのゴリ推しです(笑)。前からガールズオーディションをやりたいという話はしていたんですね。でもSKY-HIが「今、どうしてもやりたい」ということで、プロデュースさせていただくことになりました。もちろん、プロデューサーとして責任を持って、救える女の子たちを救いたいっていう気持ちでやっています。
――声がその子の思いや抱えているものが現れるから、声を大事に見ていきたいとおっしゃっていましたよね。審査されていて、いい声の人はいますか?
そうですね。いますね。
トラウマを乗り越えず成長してしまっている感覚があった
――2023年12月から4月まで海外公演を含むツアー「AREA OF DIAMOND 2」を敢行されましたが、走り切った手応えを今、どう感じてますか。
あんなに長い間、走ったツアーは初めてだったので、「やったな」っていう感じはありましたね。
――韓国、香港、台湾での単独ライブでは現地の熱いファンに迎えられたと思うのですが、海外公演を振り返っていかがでしたか?
日本語が通じない国なのに、みんなが私の曲を歌ってくれていて。その姿を見て、びっくりしましたね。
――「AREA OF DIAMOND 2」は、過去の自分や幼い自分を取り戻すというテーマがありましたが、今回、そうした過去の自分に向き合った理由は何だったのでしょうか。
「パール」っていうのがテーマだったんですよね。海底や奥底にある真相みたいなものが、長い間の私のテーマでもあったんです。昔のトラウマを乗り越えきれずにそのまま成長していってる感覚だったり、私の中で、受け入れなきゃいけないのに、受け入れないで過ごしてきてしまったものがあって。それを消化できたらいいなっていう気持ちと、それをエンタメに落とし込みたいっていう意図が今回のスタートでしたね。
――自分の中の小さな自分を大事にするというメッセージや、ピアノを弾く少女と一緒に作る演出など過去の自分と向き合う表現がありましたが、改めて、自分の半生に向き合う経験は、ちゃんみなさんの中に何を残しましたか?
ちゃんと、過去に自分が乗り越えた部分とか、やってきたことを振り返って、褒めてあげないとなと思いました。
「できる」と思ったらその時、やれることをやるだけ
――7月7日に結婚と妊娠を発表されましたが、祝福の声や反響が多くて驚いたとおっしゃっていましたね。
そうですね。嬉しかったです。
――体調はいかがですか? 大きな変化を感じたりすることはありますか。
もう、変化しかないです。幸い、つわりはなかったですけど……。
――そうですよね。動くのが大変とか、そういうしんどさですか。
この話を始めたら1日じゃ済まないですよ(笑)。でも、自分で「できる」って判断してやってますし、スタッフに愚痴をこぼしつつ、絶賛、がんばってます。
――体調と相談しつつ、周りとの信頼関係がある中でできていることなんですね。
そうですね、私のチーム、仲いいので(笑)。いつもほんとに感謝していますね。
――バタバタ忙しいと、つらくても乗り越えられるみたいなところもありますよね。
いやいやいや(笑)。
――8月18日のSUMMER SONICにも出られますよね(※取材はSUMMER SONIC開催前)。しかも野外のマリンステージですが、その時は、体を動かすのは控えたりしながら出演される予定ですか。
もちろん。今しかできないことだしっていうことで、サマソニ用の演出を考えてます。どういう状況でも、やりたいことはやりたいので。その時に合った方法で、やれることをやるというだけですね。
未来から逆算して行動するタイプ
――結婚を発表された時、「かっこいいママになってさらにパワーアップするね」とコメントされていましたが、ママになってアーティストとして活動するイメージは抱けていますか?
そうですね。
――これから5年後、10年後、どういうアーティストになっていたいというイメージはありますか?
一応、あります。でも言わないようにしてます(笑)。周りのスタッフには共有はしてるんですけど。
――デビュー当時から「このときにはこうなっていたい」と先を見据えて活動していたんですか?
そうですね。逆算して行動するタイプです。
――いい意味で計算高く、論理的に活動されているんですね。
そうだと思います(笑)。
――ロジカルな策士としての一面と、表現者としてのエモーショナルな自分が同居していると、それが喧嘩したりすることはないんですか?
それはないですね。そういう面と、作品とはまた別なので。昔からプロデューサー気質なんです。だから特に切り替えるということもなく、活動できていますね。
取材・文/川辺美希
Photo:Momo Angela
Stylist:RiBBON
Make-UP:Yuko Nozaki
Hair:Yuta Kitamura
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