脳のストレスを「溜めない」 8つの方法

脳のストレスを「溜めない」 8つの方法
脳のストレスを「溜めない」 8つの方法(写真=The 21 online) (ZUU online)

■カギは「セロトニン」にあり!

マインドフルネスやぬり絵など、最近ではさまざまなストレス解消法が存在する。本記事では、脳科学の観点からストレスを解消する方法を紹介したい。キーワードは「セロトニン」。脳内に存在するストレス物質を除去する方法を、セロトニンの第一人者である有田秀穂先生にうかがった。

■「ハッピーホルモン」がストレス解消に効く!

多くのビジネスマンから、「ストレスをなくす方法を知りたい」という声を聞きます。しかし、残念ながらストレスを「消す」ことはできません。ただ、ストレスをコントロールして、心のバランスを整えることならできます。その鍵となるのが、「セロトニン」という物質なのです。

セロトニンは別名、ハッピーホルモンとも呼ばれ、元気や幸福感をもたらします。しかし、これが欠乏すると、自律神経が乱れ、過度な興奮や集中力・意欲の欠如など、心のバランスを崩す原因となります。放っておけば、うつ病にもつながります。ストレスに負けないためには、セロトニンを上手にコントロールすることが欠かせないのです。

では、どうすればセロトニンを上手にコントロールできるのか。それにはまず、ストレスを感じたときに起こる、脳の反応から説明いたしましょう。

■ストレスへの自覚がなくなると危ない!

脳はストレスを感じると、2段階の反応を示します。

第1段階では、ストレス状態を脱しようと身体が反応します。脳内の危機管理を司る「ノルアドレナリン神経」が働き、交感神経が高まります。具体的には、危機に対処するために血圧が上がるなど覚醒状態となるのですが、一方で、パニック・不快・不安感を感じます。これは身体にとって自然なことであり、この段階で、ストレスに対処すればあまり問題ありません。

しかし、この段階で長くストレスにさらされ続けると、第2段階である脳がフリージングした状態に移ります。

脳がストレスへの抵抗を止めているため、ストレスに対する自覚はありません。しかし、脳の視床下部の「ストレス中枢」が興奮し始め、見えないところでストレスが蓄積されていくのです。すると、脳の下垂体を介して副腎皮質という部分からストレスホルモン、別名コルチゾールと呼ばれるものが分泌されます。

コルチゾールは、免疫力の低下や高血圧を招き、さらには肥満・糖尿病を発症させることがわかっています。そこで、ストレスにさらされる前にハッピーホルモン・セロトニンを十分に分泌させ、仕事の後に癒し物質であるオキシトシンを分泌させる生活が重要になります。

セロトニンの分泌を促す3つのキーワード

セロトニン分泌を促す3つのキーワードは、「太陽光」「リズム運動」「グルーミング」です。一番簡単なのは、太陽の光を浴びること。誰にでもできるシンプルなストレス解消法なので、ぜひ朝の習慣にしたいものです。

続いて「リズム運動」。一定のリズムに合わせた運動のことで、ウォーキングやジョギングはもとより、よく噛んで食べる、意識して呼吸する、歌うことも含みます。ストレス解消に必要なのはあくまで、疲れた脳を活性化させセロトニンを分泌させることなので、この程度の運動量でも十分です。

もう一つ欠かせないのが「グルーミング」。スキンシップや他者との交流のことです。これにより、セロトニンの働きを助ける「オキシトシン」が分泌され、視床下部のストレス中枢を鎮静化します。

次のページから、この3つを応用したストレス解消法をご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

■一流のビジネスマンは、朝の過ごし方が違う

朝起きてから出勤までの間に、ほんの少しでいいので運動する習慣をつけよう。5~30分が目安で、できれば通勤時のウォーキングなどとは別に時間を設けたい。具体的には、公園や水辺など自然の中でのウォーキングやジョギングがお勧め。ストレスにさらされる前にセロトニンを分泌させておくことで、朝から意欲的に仕事に取り組めるのだ。

その1 太陽光を浴びる

人は、網膜に一定以上の光を取り入れると、セロトニンが分泌される。目安は夏なら15分、冬は30分の日光浴。必ずしも外に出る必要はなく、室内でも十分。朝起きたらカーテンを開けることを習慣にしよう。そのためにも、今より早く起きる習慣をつけよう。くもりや雨の日は、「高照度」の照明器具の光を浴びても同じ効果がある。

その2 ウォーキング

朝のウォーキングは、セロトニンを分泌させる「太陽光」と「リズム運動」を兼ね備えたお勧めの方法。通勤時に歩くという人もいると思うが、それとは別に「歩く」ことに集中する時間を設けたい。

集中するといっても、音楽を聴きながらはOK。リズミカルな曲や運動の調子にあったミドルテンポの曲ならば、かえって脳がリズムに集中し始め、セロトニン分泌の効果が高まるのだ。

■昼のグルーミングでオキシトシンを増やそう

その3 ランチのおしゃべり

ランチは一人ではなく、なるべく誰かと一緒に摂りたい。会話をしながら食事をすることでグルーミング効果があるからだ。とくにセロトニンの働きを助けるオキシトシンは、気の置けない人と会話をすることで分泌される。

よく職場で、女性がおしゃべりをしながらお弁当を食べている光景を目にするが、これはまさにグルーミング。実はストレス解消にとても効果があるのだ。

その4 呼吸を整える

お昼休みなど休憩時間で簡単にできるセロトニン分泌法もある。それが「呼吸」。

やり方は簡単だ。まず、みぞおちに手を当てる。その際、必ず息を「吐く」ことから行なうこと。鼻からでも口からでもいいので10~15秒かけてゆっくり息を吐く。ポイントは、腹筋を使ってお腹をへこませること。息を吐ききったところで、自然に息を吸う。これを10分くらい繰り返すのだ。

■夜のメラトニン分泌でよい睡眠を

セロトニンは夜になると、メラトニンという睡眠ホルモンに変化する。よい睡眠はストレス解消に不可欠だが、メラトニンはよい睡眠をサポートしてくれるのだ。

ただ、昼間のセロトニン分泌量が十分でないと、十分なメラトニンが得られないことも。そこでお勧めなのが夜、仕事の後にジョギングなどのちょっとした運動をすること。残業後に何もせず直帰し、スマートとフォンをいじりながら寝るのは、疲れが残るのでやめておこう。

その5 ちょい飲みと家族の団らん

仕事の後に同僚と「ちょっと一杯」というのも、ストレス解消のためには効果あり。会話によりオキシトシンが分泌され、ストレス中枢を静めてくれるからだ。その意味では別にノンアルコールでも構わない。

ただ、大切なのは、疲れない程度の「ちょっと」であることだ。なお、狭い部屋でお互いの肩が触れ合うくらいの距離ならなお好ましい。もちろん、家族と食卓を囲んでおしゃべりするのも、同様にグルーミングとなる。

■まだある! ストレスを減らす方法

その6 ペットと触れ合う

スキンシップによるグルーミングは、ストレス解消の王道。子供とプロレスごっこをしたり、膝の上で絵本の読み聞かせをすることも効果的だ。また、人間ではなく、犬や猫といったペットでも構わない。

触れ合ったり、話しかけたりすることで同様の効果がある。返事がなくともオキシトシンは分泌される。ペットを飼えない人は、猫カフェ・フクロウカフェなどに出かけるのもよい。

その7 カラオケ

リズム運動と同様にセロトニンの分泌に効果的なのが「カラオケ」だ。曲に合わせてリズムに乗れることに加え、腹式呼吸で声を出すので呼吸も深くなる。これは一人でも十分効果があるが、大勢で行けばグルーミング効果も期待できる。とくに、全員でハモれる曲を選べば、より共感が深まる。人が歌っている曲を口ずさむだけでも効果がある。

その8 涙活

涙には、自律神経のスイッチを切り替える機能がある。ストレス下では、交感神経が過度に働き緊張しがちだが、涙を流すと副交感神経が働き、リラックス状態になるのだ。映画・ドラマ・ドキュメンタリーと、泣くための題材はなんでも良い。ただし、自分のストレスではなく、他人に共感して泣くことがポイントだ。

有田秀穂(ありた・ひでほ)医学博士
1948年、東京生まれ。セロトニンDojo代表。東京大学医学部卒業、医師免許取得。東海大学病院、米国ニューヨーク州立大学留学などを経て、東邦大学医学部統合生理学にて、坐禅とセロトニン神経・前頭前野について研究。同大学にて教授を務めたのち、名誉教授に。『脳からストレスを消す技術』 (サンマーク出版)ほか著書多数。(取材・構成:西澤まどか)(『The 21 online』2016年6月号より)

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