中国のGDP操作疑惑 経済専門家「ヤラセではないか」

中国のGDP操作疑惑 経済専門家「ヤラセではないか」
中国のGDP操作疑惑 経済専門家「ヤラセではないか」(写真=Thinkstock/GettyImages) (ZUU online)

米国では、2008年の金融危機以来、国内総生産(GDP)の伸びが年率2%台あたりをさまよい、米連邦準備制度理事会(FRB)が自信をもって金融正常化と利上げ加速に踏み切れない最大の理由となっている。だが、そんな米国を尻目に、中国では年率6%代後半の成長が安定的に継続し、世界を驚かせている。それでも、以前の二桁台よりは経済拡大スピードが落ちているというのだから、なおさら驚異である。

世界中が経済の長期停滞にあえぐ中、そんな順調なGDPの成長は、本当に可能なのだろうか。何か裏があるのではないか。事実、米国ではここ数年、中国の経済統計数値の集計・分析・発表などで人為的な操作が加えられているとの疑惑が繰り返し論じられている。

具体的に、何が問題なのか。米国の論調から探ってみよう。

■あまりに予定調和 『ならし作業』の粉飾か?

中国国家統計局が10月18日に発表した、今年7~9月の第3四半期のGDPによると、中国経済は前年比6.7%成長し、1~3月の第1四半期、4~6月の第2四半期に続き、政府の成長目標6.7%をドンピシャと達成した。

これに?みついたのが、調査会社キャピタル・エコノミクス、中国担当エコノミストのジュリアン・エバンス=プリチャード氏だ。同氏は、「3つの四半期にわたって数字が同じであるのは、データが『ならし作業』で粉飾されていることを示唆している」と述べた。

エバンス=プリチャード氏によると、中国政府発表の数字が不審な理由は、「まず、国際的な文脈から見て、特異である」ことだという。同氏は、「中国が3四半期連続でまったく同じ成長率を報告したのは、1992年にロイターが中国発表の数字を集計し始めて以来、初めてのことで、こんなに安定したGDP成長率を達成している国は、他にはほとんどない」と訝る。

普通なら、通年で成長率にムラがあるものなのだ。同氏は、「(常に操作が疑われている)中国の基準からしても、極めて珍しい」と評した。また、前年比6.7%成長が今年度の政府目標の6.5~7.0%のど真ん中という数字であることも、専門家の「ヤラセではないか」との疑いを深めている。エバンス=プリチャード氏は、中国国家統計局の発表が、今や規模で世界2位となった中国経済の今年に入ってからの減速を反映したものになっていないとする。

疑念が深まる理由のもうひとつは、経済の活性度をあらわす貨物取扱量、旅客輸送実績、建設中の建物床面積などの数字の伸びの鈍化と、GDP値の堅調な伸びに整合性がないことだ。エバンス=プリチャード氏は、「貨物取扱量、旅客輸送実績、建設中の建物床面積などはあまり話題にはならないが、2012年に中国のGDPが減速を始めて以来、GDPの動きと乖離を見せるようになった。

こうした指標が鈍化しているのに、GDPは堅調であるため、我々はそうしたところに注目している」と述べ、GDPの数値に信頼性がなくなった理由を説明した。また、世界経済全体の減速に伴って、輸出される中国製品への需要も落ち込んでいるはずだ。

■実際の成長率は5%程度

こうしたことを踏まえ、2016年の中国経済の実際の年率成長は5%程度になるだろうと、エバンス=プリチャード氏は米メディアに語っている。

米シティグループの著名エコノミスト、ウィレム・ブイター氏も、「中国は本当の経済成長率を誇張している」との立場だ。ブイター氏は2015年9月の中国経済ショックの際、「他に入手できるデータを見ると、実際の2015年の中国のGDP成長率は政府発表の6.9%には遠く届かず、実際は4%、あるいはそれ以下だった」と分析している。これが真実だとすると、中国経済はすでに準停滞期に突入しており、先進国のGDPに毛が生えた程度の成長しかできていないことになる。

とはいえ、GDP値が全く信用できないわけではない。中国共産党指導部や中国政府は正確な経済指標を必要としており、そうしたデータを実際に入手しているというのだ。問題は、名目GDPから実質GDPを算出するために用いられる物価指数であるGDPデフレーターを「創造的に活用して」最終発表の数値に操作が加えられているところにあると、エバンス=プリチャード氏は言う。

また、地方政府高官は、中央政府のGDP目標の達成に出世がかかっており、粉飾に走りやすいともいわれる。そのため、地方政府のデータは、特に信用できない。また、成長目標値達成のためには手段を選ばず、現在危険なレベルに達している企業債務などの急増に、さらに拍車がかかっている可能性もある。

■一部のアナリスト「粉飾にもメリットはある」

このように、米国では中国のGDP操作疑惑が非常にネガティブに見られているのだが、一部のアナリストは、そうした粉飾にもメリットがあるとする。

なぜなら、「経済の主要指標を操作することは、(上記の、景気刺激のための貸し出し急伸などが行われない限り、)債務を増大させてバブルを引き起こし、経済を過熱させるよりは、害が少ないからだ」と、米キャピタル・エコノミクスやスペインの大手銀行ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリアのエコノミストたちは語る。「不動産などのバブルをこれ以上過熱させないようにしながら、経済成長も実現させるのは、並大抵なことではない」と、ブルームバーグ通信は論評している。

■投資家はどのように対応すべきか

中国のGDP操作が疑われるなか、「商品投資の天才」と呼ばれ、現在は米ロジャーズ・ホールディングス会長を務める著名投資家、ジム・ロジャーズ氏の「中国推し」はブレていない。今秋を含め、度重なる中国経済の変調の兆しにもかかわらず、「中国経済が他国の経済と違うところは、過去25年に一度も景気後退を経験していないことだ。非常に奇妙なことだ」と述べ、中国経済が他国の経済と根本的に違っているとの見解を表明、全幅の信頼を寄せている。GDP操作など、気にしていない様子だ。

だが、ロジャーズ氏は2007年に中国株が上げ切ったところでちゃっかり売り抜け、暴落後には押し目買いを始めている。投資家はこうした例に倣い、中国政府の怪しい発表に調子を合わせておき、GDP値の粉飾が維持できなくなった際に、もうけが出るポジションを組んでおくべきなのかもしれない。(在米ジャーナリスト 岩田太郎)

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