中村獅童さんインタビュー/未知なる世界へと導いてくれる 歌舞伎『あらしのよるに』

中村獅童さんインタビュー/未知なる世界へと導いてくれる 歌舞伎『あらしのよるに』
中村獅童さんインタビュー/未知なる世界へと導いてくれる 歌舞伎『あらしのよるに』(写真=プレミアムジャパン) (ZUU online)

400年以上もの歴史を誇る歌舞伎は、時代を映した作品を生み出すことで伝統を築いてきた舞台芸術である。今を生きる役者たちがその伝統を体現することで守り伝え、常に革新のエネルギーを注ぎ続けることで進化を遂げてきたともいえる。

中村獅童さんは、その精鋭の担い手の一人。歌舞伎界で活躍する上では後ろ盾となる父親が廃業したため、自らが選んだ道は決して平坦なものではなかった。そんな彼が2002年の映画『ピンポン』で頭角を現し、その存在を強烈に印象づけたことはいうまでもない。当時、獅童さんの活躍を目にした故・十八代目中村勘三郎さんは「お前さんは歌舞伎を観たことがない人を振り向かせることができる。それはお前さんにしかできないことなんだ」という言葉を獅童さんに贈った。過去には「歌舞伎では主役級の役は無理ですよ」といわれたこともあった獅童さんだったが、この勘三郎さんの言葉に突き動かされ、強固な使命感が芽生えた。それが、さらなる高みを目指す大きな原動力となっているのである。

新作歌舞伎への取り組みは、まさに獅童さんにとっての使命である。そんな彼が主役を勤めた絵本『あらしのよるに』が初めて歌舞伎化されたのは2015年9月のこと。京都での公演はなかなか難しいとされるなか、京都・南座で上演されたが、口コミの評判が瞬く間に広がり、札止めになるほどの好評を博した。それから約1年。この12月に、東京・歌舞伎座へと舞台を移し、再演することが決まった。歌舞伎役者にとって、ホームグラウンドである舞台で、一つの演目を任されることは大きな仕事。南座よりも舞台が広く、客席も多い。歌舞伎座仕様に創られる『あらしのよるに』は、さらにスケールの大きな作品となることは間違いない。

『あらしのよるに』は、オオカミのガブとヤギのメイの勇気と友情を描いた物語。敵対関係にあって友達になることを許されるはずもないオオカミとヤギがさまざまな苦難を乗り越えて、絆を深めていく。2002年にNHK教育テレビ(現・Eテレ)で放映された「てれび絵本」で、朗読を担当したのが獅童さんとこの作品との出会いだった。のちに映画でも、獅童さんが主役のがぶの声優を務めている。

歌舞伎の新作にはさまざまな手法があるが、絵本という媒体を表現するには、歌舞伎のアナログな演出法を取り入れることが最適だと獅童さんは考えた。

「NHKの番組で朗読をすることになったのは、僕が『義経千本桜』の『四の切』で狐忠信を勤めていたのを番組のプロデューサーがご覧になって抜擢してくださったからなんです。この演目でも人間が狐を演じているわけですが、歌舞伎には動物を擬人化する演出が手法としてありますので、オオカミやヤギを表現することができるんです。例えば舞台から花道へと引っ込むときに使う“飛び六方”を“オオカミ六方”にアレンジしたり、顔も歌舞伎の化粧法である”隈取り“を動物っぽく描いてみたり。衣裳は、これまでも野田版『研辰の討たれ』など、歌舞伎の衣裳も手がけてこられたコスチューム・アーティストのひびのこづえさんが担当してくださったので、とても素敵になりました。ほかにも、台詞の代わりに、古典の義太夫狂言仕立てにした場面もあります。僕は義太夫って、現代のラップに似ていると思っています。心の叫びみたいなものを表現するのには最適ですね」

歌舞伎には風や雪などの気候を太鼓の音で表現するといった、観客の想像力や感性に訴える素晴らしい演出が存在する。『あらしのよるに』は歌舞伎の魅力を伝えるという、獅童さん自身の使命を果たす機会となることだろう。

中村獅童
(プロフィール)

1972年東京生まれ。1981年に歌舞伎座『妹背山婦女庭訓』で二代目中村獅童を名乗り初舞台。祖父は昭和の名女形と謳われた三世中村時蔵、父はその三男、三喜雄。2002年、映画『ピンポン』のドラゴン役で数々の賞を受賞。以降、萬屋一門の若手として立役を中心に歌舞伎の舞台に立ちつつ、映像や歌舞伎以外の舞台でも幅広く活躍し、新たな歌舞伎ファンを増やしている。

スタッフ:
取材・文/山下シオン、撮影/宅間國博、スタイリスト/岡部俊輔(UM)、ヘアメイク/masato(marr)

衣裳:
コート:4万8000円(税抜)(theSakaki / OVERRIVER 電話:03-6434-9494)
カットソー: 3万円(税抜)、シューズ:6万8000円(税抜)(visvim / F.I.L. TOKYO 電話:03-5725-9568)

【公演情報】
歌舞伎座12月公演 「十二月大歌舞伎」
12月2日(金)~26日(月)
第一部 午前11時開演 新作歌舞伎『あらしのよるに』 出演:中村獅童 ほか

チケットホン松竹 電話:0570-000-489
チケットWeb松竹 http://www1.ticket-web-shochiku.com/
ご観劇料(税込)3000円~1万7000円

この冬、子供から大人まですべての人が楽しめる感動作 新作歌舞伎“あらしのよるに”にご期待ください!

(提供:プレミアムジャパン)

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