バンカメ、銀行無人化宣言「将来的には全銀行業務を自動化」

世界各地で続々と増え続ける無人銀行支店。長引く低金利政策の影響でコスト削減を迫られている多く銀行にとっては、維持費が利益を食いつぶす支店を閉鎖し、低コスト・高効率なデジタル支店に移行するという戦略は理にかなっている。

「2030年までには銀行が無人業務化されている」というKPMGの予言が、的中する日が訪れるのだろうか。

■コスト削減、業務効率化を狙ったスマートブランチ化

支店内にはATMを設置し、スタッフとのやり取りはすべてセルフ窓口端末(Virtual Teller Machine)を通すという無人支店が珍しくなくなった近年。テクノロジーの恩恵をコスト削減と業務効率化につなげる最適な手段として、多くの銀行が「スマートブランチ化」に乗りだしている。

早期段階から未来の銀行のビジョンに着目していた銀行のひとつ、ドバイのMashreq銀行は2013年、最新のテクノロジーを支店サービスに取りいれた「E Cubeブランチ」のコンセプトを打ちだした。

2年後にはドバイ初の完全自動化支店をデイラ・シティセンターにオープン。ATMなどとともにセルフ窓口端末を設置し、顧客対応サービスも万全。顧客は無人空間の中で、支払い、送金、口座開設、クレジットカード申請、ローン申請など、あらゆるバンキングサービスが利用できるという革命的なサービスでバンキング市場の常識をくつがえした。

■バンカメ、今後1年間で完全無人支店60店舗開設予定

これを機に不要な支店を閉鎖し無人支店に切り替えるという動きが、欧米、アジアで盛んになった。最も最近ではバンク・オブ・アメリカがミネアポリス州、デンバー州、コロラド州で、完全無人支店のテスト運行を実施している。

バンカメはサービス全般を自動化する一方、顧客に安心感を与える目的で常勤スタッフも1人配置。テレビ窓口が設置された専用ルームには、バンカメのATMカードやデビットカードの所有者のみがアクセス可能など、セキュリティー面も配慮している。

来年にかけて同様の完全自動型支店を50店舗から60店舗オープンさせる計画を明らかにしているほか、既に既存の支店から常勤スタッフを排除し、セルフ窓口端末に切り替えている。

■「デジタル化が人間から職を奪う」が現実に 顧客の支店離れも原因

こうした動きは多数の銀行が実施しているデジタル改革の一環であり、それにともない世界各地で何千軒という支店が閉鎖に追いこまれている。

ドイツ銀行が過去数年にわたり120店舗をデジタル化する一方で、昨年6月には25%に相当する188店舗閉鎖を発表したが、これはデジタル改革の裏側で進行する人員整理のほんの一例だ。バンカメではフルタイム従業員数は昨年だけでも6000人減った。

銀行側はコスト削減の意図とともに、顧客の支店離れがデジタル改革に拍車をかけているとしている。ナスダックのデータによると、昨年のバンカメのモバイルバンキング利用者数は前年比16%増の216万人。19%の預金預け入れはモバイルをとおして行われている。またJPモルガン・チェースのモバイルバンキング利用者も16%増の265万人に達したほか、ウェルズ・ファーゴ、シティバンクなどの大手でも消費者のデジタル嗜好が高まっている。
ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)は昨年、支店を訪れる顧客数が過去5年間で半分以下に落ちこんだとし、2000人の大量リストラを実施した。これらの銀行が人員確保ではなくデジタル投資を優先させるのも不思議ではない。

■デジタルバンキングも支店も利用したい消費者

こうした流れをうけ、未来の銀行の無人化を予測する声が多方面から挙がっている。KPMGは昨年10月発表したレポートの中で、「2030年までには銀行が無人業務化されている」と予測。AI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)を融合させることで、フロントオフィスからバックオフィスまで、あらゆる銀行業務をロボットに引き継がせるという発想だ。

ここにきてこの「単なる予測」が現実となりつつある。バンカメは無人支店計画にあたり、いずれ全業務を自動化すると宣言。融資やカード、預金処理などで行われているミドルオフィスの書類業務を排除し、フロントとバックを直結する業務ラインの構築を検討している。

しかし銀行がそこまで肩入れしているデジタル化が消費者に手放しで歓迎されているのかというと、微妙な温度差があるようだ。モバイルやオンラインでのバンキングが浸透した一方で、従来型の支店の存続を望む消費者も多い。目的によってデジタル、人間と切り替え可能な選択肢が、消費者に安心感を与えるものと推測される。

銀行が消費者の「わがまま」を受けいれるか、あくまでコスト削減を優先させるか、そしてその結果が将来的にどのような結果を生みだすのか。非常に興味深いところだ。(アレン琴子、英国在住フリーランスライター)

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2017年2月15日の経済記事

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