米リクルート会社Vaultが発表した2種類の投資銀行ランキング。一方は知名度を重視した「世界で最も権威ある投資銀行」ランキングで、この結果は先日ZUU onlineでも詳報したが、首位はゴールドマン・サックスだった。そしてもう一方、働きやすさを重視して順位付けされたランキングで堂々の首位に選ばれたのは、ゴールドマン・サックスではなく、「世界で最も権威ある投資銀行」ランキングでは4位のブラックストーンだった。次いでゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーという結果に。

 仕事と報酬のバランスの良さに加え、万全のサポート体制やキャリア展望など、仕事にやる気が出る労働環境が整っているという点が上位の企業に共通している。

 長時間にわたる勤務やプレッシャーなど「仕事自体はハードだが、それを補う報酬(給与面だけではなく精神的な充実感や達成感)が得られるか」が、評価基準のポイントになっている。

■10位 クレディ・スイス

 1856年に設立された世界大手の国際銀行。スイスのチューリッヒに本拠をおき、世界50カ国以上に拠点をもっている。権威度ランキングでは7位にランクインにし、「業界のリーダー的存在」「可能性を伸ばしてくれる会社」など、総合的に見て自社に誇りを持って働いているスタッフが多い。しかし労働環境という点では、年収や就労時間の長さがマイナスに。

■9位 ペレラ・ワインバーグ・パートナーズ

 元モルガン・スタンレーの副会長によって2006年に設立された国際投資銀行。米国のニューヨークを本拠地に、英国のロンドンやインドのドバイにも支店をもち、投資アドバイザリー、資産管理を業務としている。組織力の高さ、万全のトレーニングとサポート体制への評価は高いが、「労働時間が長い」「常に事業拡大を念頭に仕事をしないといけない」など、スタッフの不満は仕事へのプレッシャーとバランスに集中。

■8位 J.P.モルガン

 世界屈指の総合金融サービス会社兼銀行持株会社・J.P.モルガン・チェース・アンド・カンパニーの投資銀行部門。ニューヨークに本社をかまえ、年間2兆 4000億ドル(約288兆円)の資産を運用している。権威度ランキングではトップ3にランクインしたが、働きやすさでは8位どまり。

 大企業という組織化された形態がアダとなり「プロセスに手間と時間がかかり過ぎる時がある」「上部からのプレッシャーが重い」といった不満の声が。ただしキャリアを向上させるチャンスが無限にあり、給与の高さにも満足しているスタッフが多い。

7位 グリーンヒル・アンド・カンパニー

 1996年にニューヨークで設立された独立系投資銀行。世界14カ国に拠点をもち、M&Aアドバイザリー、企業再生、ファイナンスなどの業務を、法人・機関・政府を対象に行っている。権威ランキングでは9位だが、労働環境の良さ、仕事の充実度、高給与という点では定評がある。

 改善すべきは「昇進のチャンスが予測しにくい」「社外でも交流を深める機会が欲しい」など、内部における不透明さとコミュニケーション不足だろう。

■6位 フーリハン・ ローキー

 独立系では世界最大手のアドバイザリー専門投資銀行。1972年にロサンゼルスで設立されて以来、ロンドン、東京、パリなどの海外の大都市にも進出。民間企業、機関、政府を対象に、M&Aアドバイザリー、企業再生、妥当性評価などのサービスを提供している。

 ほかの投資銀行同様、仕事の拘束時間の長さに不満を唱える声が多いが、「手本にしたい上司が多い」「投資銀行の中では最高の労働環境」と心地よく働ける社内の雰囲気が高評価につながっている。

■5位 センタービュー・パートナーズ

 スイスの国際金融機関・UBS AGのブレアー・エフロン副会長と、米投資銀行・ワッサースタイン・ペレラの元CEO・ロバート・プリュザン氏が2006年に共同設立したブティック型投資銀行。M&Aアドバイザリーと企業再生を柱に、本社のあるニューヨークのほか、ロンドン、ロサンゼルス、サンフランシスコにも拠点をもっている。

 業務内容によっては仕事量が増加し、それによってスタッフのストレスも蓄積されやすくなるようだが、給与面などを含めた好条件と優れた上司による指導に満足しているという声が高い。

■4位 エバーコア

 世界27カ国に拠点をもつ独立系のブティック型投資銀行。ブラックストーンとロジャー・アルトマン元米財務副長官によって1995年に設立され、M&Aアドバイザリー、企業再生、新規公開、事業分割など幅広いサービスを提供している。

 上部から下部まで「ベストの人材がそろっている」うえ、絶妙なチームワークで最大限の効果をあげられる環境が整っているという。

 権威度ランキングでは6位だが比較的小規模な企業なため、「欠勤のカバーがきかない」「ゼネラリストプログラムの出来にムラがある」など柔軟性と一定性に欠ける点がマイナスに。

■3位 モルガン・スタンレー

 金融業務リーグテーブルでは常に上位にランクインしている国際投資銀行。本拠地である米国のニューヨークを筆頭に、世界42カ国で法人・機関投資家向け証券、グローバル・ウェルス・マネジメント、資産運用業務を展開している。

 一部で「給与の低さ」を指摘する声もあるが、スタッフは概ね「一流企業の格式の高さ」「充実度の高い仕事内容」に、やり甲斐を感じているという結果に。

■2位 ゴールドマン・サックス・アンド・カンパニー

 権威ランキングでは1位に選ばれた世界最大級の投資銀行。1869年にニューヨークで設立されて以来、金融業界の先駆けとして大規模な国際事業を展開している。M&Aアドバイザリーグループの導入や、リサーチレポートのデジタル化に最初に着手した企業でもある。

 両ランキングで上位に選ばれたという快挙から、ステータスと労働環境のバランスが上手くとれている印象を受ける。キャリアアップのチャンスや、一流の人材および顧客とのコミュニケーション面では高ポイントを獲得しているが、「長時間勤務に見合わない給与額」が最たる不満としてあげられている。

■1位 ブラックストーン

 元リーマン・ブラザーズのピーター・ピーターソン氏とスティーブ・シュワルツマン氏によって1985年に設立された、世界最大のM&Aブティック型投資会社。4つの主要部門(バイアウト、不動産、オルタナティブ、財務アドバイザリー)で構成されており、2014年度の収益は75億ドル(約9005億円)という国際巨大企業である。

 権威ランキングでは4位と惜しくもトップ3の座を逃したが、働きやすさという点では堂々の首位に。「スタッフ一人ひとりの声を大切にし、プロ意識の高い人材が各チームを動かしている」という活気とチャンスに溢れた労働環境、高給与、将来性などが首位の座をもたらした。

 しかし「自分の意見やゲームプランを明確にする」必要性があり、それをプレッシャーにと感じるスタッフもいる。(ZUU online 編集部)