今月より共済年金が厚生年金と一元化されました。この2つの年金の違いと改正予定の内容を確認しながら、今後の年金額にどのような影響があるのかを検証します。
■共済年金と厚生年金の違い
共済年金は、国家公務員、地方公務員、私立学校の教員が加入している年金で、厚生年金は民間の会社員が加入している年金です。
この2つの年金の違いは、共済年金の場合、「職域加算」があることです。この職域加算は基礎年金の上乗せであり、厚生年金にはありません。この職域加算があるため、共済年金の方が厚生年金と比較して将来もらえる年金が多くなっていました。
■共済年金と厚生年金の一元化
2015年10月の改正で共済年金の職域加算が廃止となります。その代わり、年金払い退職給付制度というものが導入されます。
また、共済年金の給付額の算定基礎が、給与金額の1.25倍で計算される(手当を給与の25%とみなして計算する)手当率性だったのが、厚生年金と同様に標準報酬月額へと変更になります。
この標準報酬月額では、実際に支給された手当の金額を給与手当に加算して、一定の掛金率を乗じて、給付額の算定基礎が計算されます。
よって、同じ給与であれば、同じ年金の掛金の負担であったのが、実際の手当の金額により、年金の掛金の負担が変わってきます。
■標準報酬月額について
標準報酬月額は、毎年4月から6月までの報酬の平均額を基に、標準報酬月額等級表により、原則、年に1回決定(「定時決定」という)されます。そして、その年の9月から翌年の8月までの各月の標準報酬月額として、年金の保険料等の算定基礎とする仕組みです。毎年4月から6月までの報酬の平均額は、残業手当や通勤手当も含んだ金額となります。
今までは、厚生年金がこの仕組みで計算されていましたが、2015年10月より共済年金も同様になります。よって、特に共済年金に加入していて、給与以外の手当や残業手当を多くもらっている人は、厚生年金の負担も多くなります。
また、定期昇給等で報酬が大きく変動した場合には標準報酬月額を改定する「随時改定」等があります。さらに、期末手当等の金額を基に、「標準期末手当等の額」を決定します。
■平均標準報酬月額について
将来、受け取る年金は、標準報酬月額を基に計算した平均標準報酬月額により、決定されます。平均標準報酬月額は、厚生年金に加入していた全期間での標準報酬月額の平均額になります。
この計算方法は複雑ですが、年金定期便には、自分の平均標準報酬月額が記載されています。
共済年金と厚生年金の一元化は、毎月の給与から天引きされる年金の金額の負担の不公平感をなくすものであるともいえます。簡単にいえば、会社員でも公務員でも実際に支給された給与金額を基に同じ基準で、年金の計算をしていこう、という狙いがあるといえます。(提供:ライブリー 退職金と未来のお金)
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