日本に投資が根付かない一番の理由は「投資=投機」の考え方

日本に投資が根付かない一番の理由は「投資=投機」の考え方
日本に投資が根付かない一番の理由は「投資=投機」の考え方(写真=Thinkstock/Getty Images) ((ZUU online))

 11月22日、品川インターシティホールにて、マネーフォワード主催の「お金のEXPO 2015」が開催された。今回は、コモンズ投信代表取締役社長の澁澤健氏、セゾン投信代表取締役社長の中野晴啓氏、レオスキャピタルワークス代表取締役社長の藤野英人氏の3人がおこなったトークセッションの内容をお届けする。

■有名な投資信託が本当に良いのか?

 日本には、現在約5700本もの投資信託が存在しているが、その中から私たちはどのようにして投資信託を選び出せば良いのだろうか。

 中野氏は、「投資をする上で、まず知っておきたいのは、有名、自分が知っている、大きいといった要因での投資は疑って欲しいです」と述べた。

 続けて、藤野氏も「投資において重要なのは成長するかどうかの観点であり、規模や知名度と成長率は全く関係ない」とした。

 澁澤氏は、成長と長期投資のキーワードから、複利の効果と長期投資における時間を味方にする大切さを述べた。「毎年5%の利益をあげる商品に100万円を投資するとして、30年後には利息の150万円(5万円×30年)と、投資資金100万円の250万円が手元に残るイメージが大きいと思います。しかし、複利の概念があって、複利で計算すると430万円と倍近い金額になります」と、若い段階から投資をすることの重要性を伝えた。

■長期投資で大きな下落を経験しないのか?

 過去にITバブルやリーマン・ショックなどが起こったことを考えると、長期で投資をしていると大きな下落を経験してしまうといった考え方もあるだろう。こうした考えに対して中野氏は、「本当の意味での投資において単日の株価の上下は全く意味のないものです。例えば、リーマン・ショックの日に相場が大きく下落したが、投資先の実態に何か影響が起こったわけではなく、相場や価格が変わっただけのこと。そうしたものは放っておくのが長期投資の考え方です」と語った。

■「投資したくなる会社」のポイント

 それでは、長期投資家の3者はどのようなことを意識して長期投資をしているのだろうか。

 藤野氏は、「投資を考えるときに社長が顧客をどのように満足させているのかを聞く」と語り、経営者の顧客へ想いと生々しい経済活動は連動するとした。

 中野氏は、「経営者が綺麗ごとを言っているかどうかは年月が経てば現れてくる。顧客無しに存続する会社、上昇する株はない」と藤野氏と同様の見解を示した。

 澁澤氏は、「これから成長する会社に投資をするのが投資の醍醐味。その成長には2つの種類がある。ひとつは新しいイノベーションで、新商品を生み出している会社。もうひとつは市場を開拓する力。日本で流行した商品を改良し、海外で横展開できる企業です」と、投資をする際に着目するポイントを語った。

■日本人の「投資=投機」の考えが投資を根付かせない

 澁澤氏は、何も考えずに証券会社や銀行に行くことの危険性について語った。「何かを売りたいと思っている人のところに行くと、残念ながら自分のためになる提案を受けることが出来ないのが現状です。皆が納得しやすいテーマに基づいた商品を提案されますが、世の中の皆がいいと思っている話に投資妙味はありません。もっとシンプルに考えて、当たり前に良い企業に投資をしているファンドを選ぶべきである」とした。

 藤野氏は、2007年にアメリカの投資ファンドスティール・パートナーズの関連会社がブルドッグソースに買収を仕掛けた時の話をした。「当時、メディアや国民は非難の声をあげましたよね。買収された社員のことを考えていない、ハゲタカファンドだ、欧米型資本主義は短期的思考だと。しかし、この時のハゲタカファンドと日本人は全く同じことをしています」と日本人投資家の投資スタイルについて言及した。

 続けて、「例えば、ブラジル投信に投資をするときにブラジル国民のことを考えていませんよね。あるいは、ブラジルから乗り換えて、中国の投資信託に投資する際に、ブラジルから資金が流出することを考えている人はいませんよね。これは、ハゲタカファンドと一緒で、多くの日本人の投資スタイルは投機となってしまっています。投資が汚いと思っている人は、投機だと思っているのが原因です」と、日本に投資が根付かない一番の理由と、長期投資の考え方の重要性をあらためて述べた。

 これに関連して澁澤氏は、投資教育の必要性を語った。「現在の投資信託残高は約100兆円と言われていますが、そのほとんどはお金を持っている高齢者が多い。そういった人たちは、一発狙いで儲けたいと思っている人たちが多い。一方で、金融機関はお金を持っていない人たちを相手にしないので、若い人は保有していない」と、日本の金融業界の課題と、若い人が投資に触れていない問題点を上げた。

 投資教育に関連して中野氏は、「米国でも投資が当たり前になったのは、今から20年~30年前です。日本の投資教育は20年くらい遅れていると言われていますから、これから変わっていくでしょう」と指摘した。

■それでは投資はどのように始めればよいのか?

 藤野氏は、「毎月5000円でもいいから自分が好きな会社にまずは投資を。預金一辺倒でなく資産にグラデーションをつけ、変動のある世界になれて欲しい。株式投資で成功している人はビジネスで成功している人が多いです」と会場に集まった若い参加者に投資を勧めた。また、「手に汗を握らない投資」が大切だとし、「まずは、3年~5年投資を続けてみて、相場の上下を経験することからはじめるのがよい」とアドバイスをした。少しづつわかってきたら投資額を増やしていけばよいとのことだ。

 中野氏は改めて日々の値動きを追うことの無意味さを語った。「もちろん雇用統計は重要だし、数字が持つ意味を理解することは重要です。しかし、その数字や値動きはコントロールできませんし、日々の値動きはどうでも良い」と語った。

■何のために投資をするのか?

 澁澤氏は、「難しいことを考えずにおおらかに考えればよい。手元にあるお金は必要なときに使えばよく、余ったら次の世代にバトンタッチすれば良い」と考えを語った。

 中野氏は、「人間は歳をとればいつかは仕事をやめます。しかし、お金は歳を取りませんから、お金に働いてもらえばいいのです」と語って締めくくった。(ZUU online 編集部)

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2015年12月6日の経済記事

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